2016年3月9日に円谷プロダクションからリリース。4枚のディスクに全13話を収録する。作品解説書を封入して、価格は32400円(税込)となる。
円谷プロは子ども向けの特撮ヒーロー作品でよく知られている。一方で1960年代末から1970年代初頭にかけては、特撮の技術をたっぷり盛り込んだ大人向けの作品も手がけている。同社を特徴づける独自のラインを作っていた。
スタートは1966年の『ウルトラQ』、同作の怪獣路線は『ウルトラマン』に引き継がれる一方で、スリラー、サスペンスは1969年の『怪奇大作戦』に受け継がれた。さらに『怪奇大作戦』の後に制作されたのが、『恐怖劇場アンバランス』である。
番組のタイトルは、日常や常識のバランスが崩れた不可解で理不尽な恐怖を描くことに由来する。円谷プロが大人に向けて真の恐怖を描いたが、内容が衝撃的過ぎるとして1970年に制作されたにもかかわらず、放送まで3年間お蔵入りになっていた。深夜放送、1時間枠というのも異色な作品だ。
さらに本作を歴史的な存在とするのが、その豪華スタッフ・出演陣だろう。原作、監督、脚本、出演には、後の日本の映画、テレビ、演劇、小説を背負って立つ才能が多数顔を揃えている。
原作は歴史小説の円地文子、推理作家・西村京太郎、松本清張、伝奇小説の山田風太郎ら。監督は鈴木清順、藤田敏八、長谷部安春、山際永三と、後に巨匠と呼ばれる数々の名前が並ぶ。そして脚本も田中陽造、小山内美江子、若槻文三、市川森一のビッグネームばかりだ。後に『銀河鉄道999』や『伝説巨神イデオン』など数多くのアニメでも活躍する山浦弘靖。『宇宙海賊キャプテンハーロック』などのアニメ、そして『宇宙刑事シャイダー』などのメタルヒーローシリーズ、スーパー戦隊シリーズを世に送り届ける上原正三も参加している。
出演者も興味深い。有名俳優に混じって、第2話「死を予告する女」には舞台演出で後に名を馳せる蜷川幸雄、第4話「仮面の墓場」には唐十郎が。第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」には作家・野坂昭如が顔を見せる。
アニメファンにとっては、第1話「木乃伊(みいら)の恋」に出演する大和屋竺に注目したい。後に脚本家、映画監督として名を馳せる大和屋竺は、アニメ『銀魂』や『人造昆虫カブトボーグ』でもお馴染みの大和屋暁の父親だ。
わずか13話ではあるが、様々な才能が特異点的に集結した『恐怖劇場アンバランス』は、日本の特撮史、ドラマ史の残る作品である。
『恐怖劇場アンバランス』Blu-ray BOX
発売日:2016年3月9日(水)
価格: 32,400円(税込)
BSZS10006/COLOR/約650分/Blu-ray4枚組 (予定)/モノラル/4:3/全13話収録
発売元: 円谷プロダクション/販売元:東映 東映ビデオ
「アンバランス」がBD-BOXで発売 70年代円谷プロが生み出した特撮ホラーの傑作
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