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【China Joy 2015】『ストリートファイター5』はユーザーコミュニティと共に中国展開を進めていく・・・カプコン小野氏に聞く

SCEのプレスカンファレンスでムービーが流れるや否や、ひときわ大きな歓声が上がった『ストリートファイター5』。中国展開についてエグゼクティブ・プロデューサーの小野義徳氏を囲んで、合同インタビューが行われました。

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SCEのプレスカンファレンスでムービーが流れるや否や、ひときわ大きな歓声が上がった『ストリートファイター5』。中国展開についてエグゼクティブ・プロデューサーの小野義徳氏を囲んで、合同インタビューが行われました。

―――大歓声でした。

ありがたいですね。『スト5』はセンサーシップが通り次第、なるべく早く出したいと思っています。ただ出すだけでなく、簡体字にフルローカライズしてリリースします。実はこれまでも『スト4』シリーズを使って、中国全土で草の根的な大会がけっこうな頻度で行われているんです。どこから調べたのかわかりませんが、自分あてに直接メールアドレスで「ゲストに来てくれ」って連絡があるくらいなんですよ。ただ自分たちとしても、公式で出していないのにメーカーの人間が行くのは問題があって。『5』は公式で出ますので、やっと本格的に協力できるようになりました。

実は『4』でもカプコンプロツアーを全世界で開催中で、中国でも予選を実施します。中国ではご存じの通りセンサーシップが厳しいんですが、ツアーであれば問題ないと言われています。それをふまえて、いよいよ『5』では一般販売です。こんなふうに、少しずつ壁を溶かしていければと。中国人のプロゲーマーも世界で活躍していますし、ようやく機が熟したという感じですね。

―――カプコンとして『ストリートファイター』を中国で展開するのはいつ以来ですか?

実はほぼ初めてなんですよ。過去に基板が不正に流通していたり、上海のゲームセンターで海賊版が出回ったりしていました。自社で過去にPC版を展開したこともありましたが、コンソールは初めてですね。

―――いきなり『5』からというのは?

もちろん「4」も中国で出したい気持ちはあります。まだ現役タイトルですしね。実は『ストリートファイター』は各ナンバリングでユーザーコミュニティができていて、他のゲームのようにナンバリングが変わっても移転しないんですよ。過去のナンバリングタイトルのHD版を出しているが、セールスは他のIPのHD版よりも良かったりする。実際、俺は『4』ではなくて『2』を待っていた、という人がいるくらいで。そのため機会があれば『4』も出したいですね。

―――ここまで力を入れる根拠みたいなものはありますか?

自分はもう一つ別のタイトルのプロデュースをしていて、中国におけるゲームを競いあう文化を感じていました。人と競うことが好きで、他人より上手くなりたいという思いが、下手をすると日本人より強い。草の根コミュニティの大会も、手作りイベントから企業が主催しているようなものまで、多くの人が集まるんです。今回のチャイナジョイでも『ウルトラストリートファイター4』の大会を実施します。イベント用のセンサーシップがあり、それをパスして実施できることになりました。上海のソニーショップで予選を行い、土曜日にSCEブースで決勝を行うものですが、100人弱くらいエントリーがあります。このように土壌があるのだから、思い切って力を入れた方が良いと判断しました。

―――『4』のコミュニティの特徴はありますか?

実は『4』でユーザーの年齢層が若返ったんです。調べてみると『2』『3』ではなく、純粋に『4』から入ってきた層でした。理由を調べてみると、純粋に遊んでみた、YouTubeで大会の模様をみた、YouTubeで特典ムービーをみた、という3つにわかれていました。これをマージしていくのが重要だと思ったんです。せっかくYouTubeにムービーをアップするのなら、最初からローカライズされていた方が良いですよね。そこから新しいユーザーが入ってきて、新世代のプロゲーマーが育ってくることもあるでしょう。ゲームで競うことが好きな人たちに『ストリートファイター』を通してeスポーツの世界に参加して欲しいですね。『リーグオブレジェンド』でも中国人が強い。人口も多いし、十分世界チャンピオンが生まれる土壌があります。

―――SNSのWeiboに50万人のフォロアーがいるとか。

あるゲームのイベントでアドリブ的に「ストリートファイターもよろしくね」と言ったら、そこから「あいつは誰だ」ということになり、広まったようです。そのため、自分でもなるべく中国語でつぶやくようにしています。翻訳サービスを使うこともあるし、中国語教室にも通っています。 

―――プロゲーマーに草の根のゲーム大会と、過去の格闘ゲームのマーケティングとはやり方が異なっている印象です。

鋭いですね。『4』がリリースされた7年前と比べて、大きな変化に動画共有サイトがあります。動画を巡る状況は年々変わってきていて、ユーチューバーという言葉も去年からできたくらいです。これらはメーカーが上からファンを集めるのではなく、コミュニティベースで下から広がってきた文化。その中心ににいるのがオピニオンリーダーです。『5』では、そこを中心にマーケティングしていきたいですね。もう電波に頼る時代ではありません。中国展開でSCEさんと一緒にやっているのも、ソニーショップを販促拠点に使えるから、というのがあります。SCEにとどまらない場所があるんです。そのかわりカプコンのスタッフには1泊2日でも出張してイベントに行けと言っています。

―――カプコンがプロゲーマーをスポンサードすることはありますか?

これは良く言っていますが、カプコンが個人をスポンサードすることはしません。我々はコンテンツホルダーなので、それをしてしまうのは、いってみればFIFAがFIFA認定のサッカーチームを作るようなものです。あ、FIFAは汚職疑惑があるから、一緒にしちゃうとまずいか(笑)。

―――なるほど。

そのかわり、プロゲーマーが活躍できる場を積極的に用意していきます。今回のチャイナジョイで行う大会もその一つです。カプコンプロツアーも環境を提供しているだけ。それでも盛り上がれば、各国の予選大会ごとにスポンサーがついて、そこから賞金を出すこともできます。プロモーションの一環としてカプコン公認ゲーマーというのはあり得るかもしれませんが、その場合も「公認」レベルで、直接的な金銭のやりとりはしない方針です。そんなふうにして、間接的にサポートしていければいいですね。
《小野憲史》
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