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【RETRO51】永井豪meets格闘アクション『マジン・サーガ』―メガドライブが受け継いだロボットアポカリプス

SUDA51とレトロゲームを探訪する連載企画「RETRO51」。前回は名作『ヘルツォーク・ツヴァイ(Herzog Zwei)』をご紹介しましたが、今回も引き続きメガドライブ作品を扱います。

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SUDA51とレトロゲームを探訪する連載企画「RETRO51」。前回は名作『ヘルツォーク・ツヴァイ(Herzog Zwei)』をご紹介しましたが、今回も引き続きメガドライブ作品を扱います。



マジン・サーガ』は1993年にリリースされたアクションゲーム。同名の永井豪の漫画が原作であり、プレイヤーは主人公である兜甲児を操作してステージをクリアしていきます。内容は当時人気のあったベルトスクロールアクションですが、ボス戦は主人公が巨大化、格闘ゲームのような1対1のバトルになります。頭身の大きなキャラクターはデフォルメなしに永井豪の世界を表現しています。

リアルタイムでプレイした須田氏には当時の記憶と共に永井豪作品に対する思いを語ってもらいました。

◆特大ドット絵で表現されるベルトスクロール&格闘ゲーム




――さて引き続きメガドライブの『マジン・サーガ』です。このグラフィックスは大型テレビにも映えますね。まさに16bitという感じです。

須田:
当時はこんなに大きなモニタはなかったですからね。

――では軽くプレイしてもらいます。原作があるので、今でいうキャラゲーですよね。

須田:
そうです。『マジンガーZ』の系譜で、主人公も兜甲児です。ただ話がパラレルワールドのようになっているのでほとんど別もの。永井先生の作品にはパラレルワールドは多いんです。ゲームの開発はダイナミック企画じゃないですよね?

――開発はセガです。ダイナミック企画の協力はあるようです。

須田:
ダイナミック企画は昔からゲームに対して親和性はありました。

――基本操作は攻撃とジャンプと必殺技の3つ。『ファイナルファイト』みたいな感じですね。体力消費で必殺技というところも同じ。当時のベルトスクロール人気がうかがえます。後はレバーを入れた特殊技やボタン連打の技もあります。近いと投げが出るあたりは格ゲーの影響でしょうか。敵のキャラクターも永井豪的なデザイン。



須田:
キャラはもっとデカかったような気がするんですが。

――それはボス戦の巨大化モードだと思います。

須田:
『源平討魔伝』みたいにモードが変わるんですね。とりあえず壁ハメが基本。

――やっぱり基本(笑)。あとはY軸をずらしたり。

須田:
あ、やばい。逆にハメられました。あ、死んだ。囲まれたときは必殺技ですが、結構、体力の消費が激しい。

――残機はなぜか上から降ってくるんですよね(笑)。

須田:
もうコンティニューか。ステージの最初からやり直しです。コンティニュー回数も制限ある。

――敵も壁でハメてきますね。当時、須田さんは自分の家でプレイしていたんですか?

須田:
会社にあったソフトを借りてきて家でやっていました。先に進める自信がなくなってきた……。せめて巨大化モードを見たいです。

須田:
新しい敵が出てきました。カニですかね。等身はリアルな比率。

――デフォルメ無しのキャラ造形ですね。



須田:
デカい!これはボスかな。

――懐かしい感じのギミックですね。後ろの背景にデカキャラを表示して、実際に戦うのは手の部分だけ。

須田:
ボスファイトでは定番です。

――2D ゲームのボス戦という感じです。しかしどうやって攻撃するんですか。背景の部分にはもちろんヒットしないいし、手に当てるのかな?

須田:
正面から行ってみましょう。あれ?どうするんだ?背景には当たらない。ちなみにこっちから攻撃すると。お、当たった。

――おそらく拳が開いているときに当たり判定があるんじゃないですか。それとも先端を当てるのかな。間合いの取り方が難しい。うまく引きつけて攻撃しないとダメ。

須田:
駄目だ。難しい……。

――ヒットしても相打ちですね。こっちのダメージの方が大きいので、これだと負けちゃいます。

須田:
こっちがかなり減りますよ。相打ち覚悟で!やった!意外ともろい。必殺技2、3発で倒せました。

――おー来ましたデカキャラ!場面が変わってここからが本物のボス戦。



須田:
デカい!

――同じボスですが表現が違いますね。主人公は変身シーンとかは特になく巨大化しています(笑)。1対1で格ゲーのようです。

須田:
相手、飛び道具持っていますね。しゃがんでも喰らう。

――ガードはないんですか。

須田:
ガードあるのか。おっかっこいい!ガードのモーションいいね。剣で防ぎますね。

――ガード重要で上下段の概念もあるみたい。このボスの名前はガラダK7です。

須田:
『マジンガーZ』にもいました。有名な敵ロボットです。

――むしろこれで格ゲー作ってほしかったですね。上下段の攻防が渋い。2人で遊べたら楽しい。

◆説明不要!殺伐とした永井豪ワールド




ガラダK7とのボス戦にはなんとか勝利。デカキャラでの戦闘は迫力があるだけではなく、当時流行していた格闘ゲームの要素を取り入れています。操作もシンプルながらもレバー入力方向で多彩に変化。ガードとジャンプを軸にした渋い差し合いが楽しめます。

ボス戦が終わると特にカットシーンもなく次のステージへ。本作はオープニングデモ以外にはほとんどストーリーの要素はなく、淡々と進行します。この辺りの淡白なつくりは原作ファン向けに制作された感じがします。それでもステージのグラフィックスは美しいドット絵。永井豪の世界観が伝わってきます。

コンティニューはステージ2のボス戦前で尽きてしまいました。当時、プレイした経験があるとはいえ、アーケードゲーム並の難易度には苦戦。ぶっつけ本番ではステージ2を超えるのもやっとでした。ステージは全部で5つ、それぞれボス戦があります。ちなみに通常のストーリーモード以外に隠しコマンドを使用することでボス戦だけが楽しめるモードがあります。



――お疲れ様でした。思った以上にプリミティブなゲームでした。

須田:
これは真剣にやらないといけないゲームです。難しかった。原作にはないマジンガーも出てくるみたいです。

――説明書にはキャラクター紹介がしっかりあります。ではせっかくなので当時の思い出や永井豪作品についてお聞かせください。

須田:
そうですね、永井豪先生の大ファンです。代表作で言えばもちろん『デビルマン』は大好き。あとは『凄ノ王』が超絶好き。もちろん『バイオレンスジャック』や『手天童子』も。

――イメージ的にはバイオレンスですよね。あとはギャグ。マンガならではのなんでもありという印象があります。

須田:
ギャグでも永井先生のものはバイオレンス。それらに感化された世代です。あとはストーリーが強烈。

――この『マジン・サーガ』も最初にいきなり恋人がレイプされるんですよね。

須田:
そう、永井豪作品の恋人レイプは基本です。『凄ノ王』もそこから始まります。そこから主人公が怒りから覚醒するという展開が定番です。

――(笑)。

須田:
描写がえげつないんですよ。『バイオレンスジャック』は社内に置いてあるんですが、誰か1巻読んでいます(笑)。1番好きなのが『バイオレンスジャック』、次が『凄ノ王』かな。『マジン・サーガ』ではマジンガーが神のような存在として描かれます。

――マジンガーは若い世代にも知られているかもしれません。その後のロボットアニメに強烈な影響を与えていますし、今でも『スーパーロボット大戦』に登場します。



須田:
『マジンガーZ』は子供の頃、食い入るように観ていましたね。この『マジンカイザー』のパッケージもすごい。いきなり欠損表現。僕もマジンガーやゲッター大好きでした。やっぱりロボットの描写がすごい。

――ロボットでも生々しい雰囲気ですね。他にも永井豪作品ではゲームになっているんですか?

須田:
『凄ノ王』がゲームになっています。少し前にマジンガーの集大成である『真マジンガー 衝撃! Z編』というアニメがありました。『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』で有名な今川泰宏さんが監督。これは名作といわれています。永井豪作品のキャラクターがわんさか登場するんですよ。今川さんの『ジャイアントロボ』も横山光輝ワール混然一体となった作品ですが、『真マジンガー 衝撃! Z編』も永井豪ワールドのキャラが登場します。

――そういったクロスオーバーはアメコミヒーローみたいですね。

須田:
そうそう!マジンガーもゲッターもシリーズを重ねるととんでもないことになっていきます。最後の方のゲッターロボは宇宙サイズになります。知っていますか?

――それに影響を受けた作品は見たことがあります。しかし、僕らの世代ではロボットアニメは下火で、流行っているのは『ガンダム』くらいしかありませんでした。その後はすぐに『エヴァンゲリオン』が登場します。

須田:
なるほど。

――ただ『エヴァンゲリオン』から『ガンダム』に入る人もいるし、『スーパーロボット大戦』からゲッターやマジンガー好きになる人はいます。とはいえ、ロボットアニメ自体はそこまで人気があった時代ではない。永井豪作品も『デビルマン』や『バイオレンスジャック』 といった名前は知っていますが、あまり馴染みがありません。上の世代のものというイメージが強いです。

須田:
そうですよね。

――ちょっと入りにくいです(笑)

須田:
濃い世界ですからね。『バイオレンスジャック』は何度か休載していたので、最後は90年代で完結しました。連載後半の盛り上がりはとんでもないことになっていました。『マジン・サーガ』はそのタイミングで始まったのでとても期待していました。やっぱり永井豪作品、ダイナミックプロはとんでもないものを見せてくれます。普通のマンガではないのが永井豪イズム。

◆ポストアポカリプスの系譜の先駆者として




――では永井豪作品の一番印象に残ったエピソードなどありますか?

須田:
それはもう『バイオレンスジャック』のラストです。これはネタバレになるから言って良いのかわからない(笑)。もうびっくり、腰抜かしました。連載ではなく、単行本を買っていたんですが、最終回は待ちきれなくて連載を読んだ記憶がありますね。

――基本的に『バイオレンスジャック』はポストアポカリプスものですよね?文明が崩壊した世界が舞台。

須田:
そうです、世紀末もの。その点は『北斗の拳』や『マッドマックス』より断然早いんです。むしろそれらが『バイオレンスジャック』に影響を受けているんだと思います。何もなくなった荒涼とした世界というもの自体、永井豪先生が作り上げた世界です。

――なるほど。僕らの世代では『北斗の拳』はまだ連載が続いていたので馴染みがあります。ただシリアスなものというより、どこかおかしさがあるものという感じ。

須田:
あと『デビルマン』は有名ですね。ヒロインの牧村美樹ちゃんが街の暴徒たちに処刑されて生首吊される衝撃的なエピソードがあります。とんでもない内容でした。そして、後半のドライブ感たるや半端無い。

――マンガ表現の自由度はこの時代にかなり広がったんですね。

須田:
そうですね。



――そういったポストアポカリプス的な世界やエグい展開などに影響を受けたゲームはありますか?

須田:
うーん、なんか根底にはある気がしますが、具体的には思いつかないですね。

――今だとダークヒーローものはアメコミものっぽいですね。

須田:
そうですね、発想も世界観の構築も似ています。あとはまずロボットヒーローというジャンルそのものを生み出したことが大きい。それが『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』に脈々とつながっている。さらに主人公が心の闇を抱えているというか、暴力的な何かを秘めているか。普通の少年ですが、何かのきかっけでそれが一気に開花してしまう。

――2000年代には中二病といった設定が話題になりましたが、そういったのとまた違いますか。

須田:
違います。中二病より生々しい。基本は敵対関係やいじめっ子といじめられっ子の構図が基本なんです。一人で鬱屈している中二病という生ぬるいものではないですね。自分がリンチされるか好きな愛する女性がレイプされるかそのどちらかという世界なんです。

――(笑)。凄いですね。殺伐とした世界だ。

須田:
人間の心の闇をダイナミックに、悪の存在根源をストレートにとことん描写します。そこのリミッターの外し方は他のマンガとは一線を画する。今回のゲームにはそういった面はあまり登場しなかったんですが(笑)。



――ストーリー部分はかなりあっさりしていましたね。そもそものファンに向けて作った感じがします。ゲームとしてはどうでした?

須田:
記憶以上にちゃんとしたゲームだなと思いました。モードがどんどん変わるのもこの時代ならではでしょう。『源平討魔伝』もありましたし、3DOの名作の映画『デモリションマン』のゲームも思い出しました。シーンによってぜんぜん違うシステムで進んでいく。

――見た目は再現度が高いですね。

須田:
高いですね!セガが開発したようですが、ドット絵は非常に永井先生らしい。当時はメガドライブで『マジン・サーガ』っていうだけでなんかわくわくしたものです。メガドライブにはなんかすごいものが眠っているのではと思っていました。スーパーファミコンはいろんなメーカーが参加していましたが、当時のメガドライブは基本的にセガ製のゲームだったんですよ。そうするとすべてのゲームが面白い気がする。そういう感覚でメガドライブを買っていました。当時は本当にそういう感覚でした。

記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》
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