さて、普通「乙女ゲーム」といえば、プレイヤーが女性主人公となってイケメンキャラクターとの恋愛を楽しむもの。とはいえ乙女ゲームのもつ「面白さ」は、恋愛要素は当然のことながら、それだけではありません。
独断と偏見で乙女ゲームについて語り尽くす「オトナの乙女ゲーム道」第3回では、乙女ゲームの色々な楽しみ方についてお話ししてみたいと思いますので、よろしくお付き合いください。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
まずは基本の楽しみ方、攻略キャラクターとの恋愛です。主人公キャラを通して、イケメン達の凛々しさやカッコ良さにときめき、心を許しているからこそ見せる脆さや弱さに胸を高鳴らせ、思い悩みながらも壁に立ち向かうその背中にそっと寄り添う…などなど、豊富なシチュエーションでのドキドキを堪能できるのが乙女ゲームの醍醐味といえるでしょう。
作品によっては複数のキャラクターから同時にアピールされることもあるので、モテモテ気分も味わうこともできます。個性豊なキャラと織りなす、さまざまなタイプの恋を手軽に味わえるのは乙女ゲームならではですね。
小説や少女漫画を読むように、恋愛を軸としながらも濃密に描かれる群像劇として楽しめるという面もあります。文字でストーリーの読み解くだけだけでなく、熱のこもった演技やBGMも併せて体感できるのもゲームだからこそ。さまざまな演出が臨場感・没入感を高めてくれますね。
また主人公ちゃんの存在や大筋こそ似ていても、各キャラクターによって異なる流れが用意されています。複数のルートをクリアしていくごとに、少しずつ大きな謎や疑問が解けたり、思い返すとキャラの何気ない行動も伏線だったことに気付けたりと、繰り返しプレイして世界観に迫っていくのも面白いですよ。特に最後の最後で解放されるルートが全ての謎に繋がっていた、なんていうのが待っていた時の感動は、思わず「そういうことだったのかー！！」と声を上げてしまうほど。
最近はこうした作品そのものがちょっと少なくなりましたが、パラメーターやタイミングをきっちりと調整して「1周でどれだけのキャラクターの好感度を上げられるか」「どれだけ少ない何周でフルコンプできるか」といった、シミュレーションゲーム的な効率プレイもなかなかハマります。
この手のタイプはゲームを遊んでいない時まで、次はこうしよう、ああしようと予定を考えてしまうほど。時にはこまめにセーブやリセットも活用し、ある時はノーセーブ一発勝負で攻略キャラクターを落とせるかどうかに挑む。そんなプレイヤーの姿は「戦い」と表現しても過言ではないでしょう。
またリズムゲームにクイズ、反射神経や記憶力が試されるものなどミニゲームもうっかりのめり込んでしまう要素の1つ。良い成績を残すとキャラの「ご褒美」的なボイスを聞けたり、イベントを見れたりするので、最初はご褒美目当てに頑張ります。しかし、気付くとミニゲームの好成績を残すことが最大の目的にすり替わってしまうことも。いざクリアしてもご褒美の嬉しさより達成感のほうが勝っていた、そもそもミニゲームを遊ぶためにストーリーを駆け足で終わらせた、なんて経験ありませんか？ついついハマってしまう方は、少しばかり自重してみましょう！
攻略キャラよりも主人公ちゃんの可愛さに惚れこんでしまった人が陥るパターンに、2人の仲をお膳立てしている気分で遊ぶ「仲人」視点でのプレイがあります。襲い来る試練にも負けず、絆を深め合う2人の様子を見守り、恋が成就するよう手助けをするというスタンスですね。
「こんな可愛い主人公ちゃんなら惚れるわー攻略キャラそりゃ絶対惚れるわー」と愛でまくり、一途に相手を想う健気さに涙し、晴れて恋人になった際にはよかったねと頬をゆるめ、エンディング後やファンディスク（FD）では仲睦まじい様子にむせび泣く。結婚まで描かれた日には、仲人を通り越して花嫁姿に感動する親のような心境に。
とにかく主人公ちゃんと攻略キャラクターの幸せな未来を祈り続ける、ただそれだけの存在になりたくて今日も乙女ゲームをプレイするのです。
この「仲人」をこじらせると「この攻略キャラは主人公ちゃんを守るのにふさわしいか？！ちゃんと幸せにしてくれんのか？！」と、主人公ちゃんが可愛いあまり攻略キャラへの態度が徐々に過激になっていきます。主に私のプレイスタイルです。
「キャラとしては○○が好きだけど、主人公ちゃんを幸せにしてくれるのは△△だと思う。だが××、お前はダメだ！主人公ちゃんはやらん！出直せ！でも□□は主人公ちゃんがいないと寂しくて寂しくて震えるタイプだからどうしよう」とか、他人事のように「乙女ゲームを遊んだ人間の感想なのか、これは」と思います。
続編やFDで攻略キャラの男前度がアップしていると「よし、今のお前なら主人公ちゃんを預けてもよかろう！」と、お前は何様だといわんばかりの上から目線が当たり前！ただ、遊んでいる本人としてはめちゃくちゃ楽しんでいますし、攻略キャラもちゃんと好きなんです。周りにそういうプレイヤーがいても、そっと生温かく見守ってあげてください。害はありませんから。
このほか、アプリゲームだと推しキャラへの貢ぎやレアアイテムゲットのための課金はもちろん、おばあちゃんのように「頑張ってる孫にお小遣いでもあげようかねえ」という感覚で遊んでしまうことも。こうなると、お金を「払っている」なんて微塵も思わなくなるのがちょっと怖いところですね。無理のない程度かつ、それなりの範囲で楽しみましょう。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
今回は乙女ゲームの楽しみ方の一部をご紹介させていただきましたが、まだきっと、これ以外にもユニークな楽しみ方を見出しているプレイヤーもいらっしゃるかと思います。乙女ゲームを楽しむ要素は恋愛だけではないので、興味を惹かれた作品があればぜひ遊んでみてくださいね！
