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【そそれぽ】第110回:ゲームというより芸術作品!外国人が本気で“和”を表現『TENGAMI』をプレイしたよ!

インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそ こと 津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート、第110回を迎えました【そそれぽ】のお時間です。

任天堂 Wii U
和の心が描かれたアーティスティックなゲーム『TENGAMI』
  • 和の心が描かれたアーティスティックなゲーム『TENGAMI』
  • 和紙の質感で描かれる世界、飛び出す絵本のような演出
  • 謎解きパズルアドベンチャー要素もあり
  • 先に進む方法を探索
  • 海外製とは思えない“和”のテイスト
  • Wii U版ならではの要素、Miiverse用ハンコ探し
  • ゲームというより「ゲーム性のある芸術作品」
  • 『TENGAMI』タイトル画面
インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそこと津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート、第110回を迎えました【そそれぽ】のお時間です。

「ビデオゲーム」って何なのでしょうか?哲学的なアプローチから入りました(笑)。自分にとっては、娯楽であり、息抜きであり、時にはこのように“仕事”でもあったりするのですが、基本的には“自分を高揚させてくれるもの”であることは間違いないです。では、高揚させる方法は?それはゲームによって違うし、人によってさせられ方も違うワケです。そんなことをぼんやりと考えさせられるゲームと出会ってしまったのです。はい。

というわけで、今回プレイするのはレイニーフロッグのWii Uダウンロードソフト『TENGAMI』です。


iOSアプリとしてリリースされ、世界中から注目されたインディーゲーム『TENGAMI』が、当初の発表通り、日本のWii Uでも配信開始。和紙の質感が活かされた美しいビジュアル表現をWii Uで楽しむとどのように感じるのでしょうか。そして、筆者が冒頭、哲学的アプローチで語った意味不明な挨拶の真意は!?(笑)それでは、早速プレイしていきましょう。


◆『TENGAMI』ってどんなゲーム?

■“和紙の質感”と“飛び出す絵本”的演出が魅力のアドベンチャー
海外製のインディーゲームですが、スタッフの半数が実は日本人。そのため、海外製とあなどるなかれ、和紙の質感と和の世界観描写は、日本人も納得の出来栄え。基本は非常にシンプルな謎解きアドベンチャーゲームですが、“飛び出す絵本”のような独特な演出でゲームが進行。謎解きそのものや場面転換なども、和紙のページをぺらぺらとめくるようにして、本作ならではの世界観が組み上がっていきます。

■操作はタッチのみ
操作で使用するのはWii U GamePadのタッチペンのみ。もともとiOSでリリースされたタイトルなので、ほぼそれを踏襲した形になっているようです。移動させたい場所をタッチすれば、その場所にキャラクターが移動。前述のページめくりもあわせて、すべてタッチ操作なので、難しい操作は一切ありません。


◆むしろこれは「ゲーム」なのか?という疑問が生じる

■ゲームらしさは「自分」を動かすことと、わずかなパズル要素
本作は、とにかく“和”の雰囲気を大事にしています。ゲーム中、プレイヤーがすることは、“自分”をその世界に歩かせること(探索)、考えて謎解きのパズルを解くこと、この2点のみ。そのどちらも、ゲームの雰囲気を引き立てるための要素とも言えます。ゲームの主体は、あくまでこの全体に漂う“雰囲気”にあります。

■ゲームではないという見方をしてみると・・・
突然、遊び心がたくさん詰まった“芸術作品”に見えてきます。“和”の雰囲気を大事にした世界観と音楽、和紙の質感のようなオブジェクトの数々、飛び出す絵本のような場面転換演出・・・。ゲーム性以上に、作品全体を感覚的に見て、聴いて、何かを感じてほしいという想いがにじみ出てきます。

ゲーム作品に芸術性を含ませることは割とよくあると思いますが、芸術作品にゲーム性を含ませることは、少なくともゲーム作品と同じ土壌でリリースされてきたタイトルの中には多くないと思います。そういった意図が強いとしたら、非常に挑戦的なタイトルであると言えます。


◆気になったところ

■ゲーム的にはボリューム不足
え、終わり?と、2~3時間もあればクリアできる内容でした。難易度自体が低めなので、苦労するポイントがほとんどなかったことも原因のひとつだと思います。ただ、この雰囲気を無理矢理ダラダラと続けるよりも潔くサッパリしているとも言えるので、話が短いとは言え、適切な長さであるとも思いました。

■Wii Uの仕様にもっとあわせてほしかった
HDでテレビの大画面に映し出される本作の世界は、確かに美しいです。が、操作がタッチオンリーのため、結局Wii U GamePadを見てプレイするのがほとんどになってしまいました。テレビの大画面を見ながら、目的の箇所を正確にタッチするのは至難の業です。

大画面でのプレイをより楽しむためにも、思い切って、スティックやボタン、あるいはWiiリモコンを使った操作にも対応してほしかったです。現状だと、快適でないということではないのですが、Wii Uであえてプレイする利点がほとんど感じられませんでした。

■謎解きパズルが雑
謎解きをしてゲームを進行する箇所がいくつかあるのですが、謎解きの“問題”にあたるものが、ちょっと唐突で“雑”に感じてしまいました。脈絡なく登場する“答え”への導線。せっかくの“飛び出す絵本”的演出なのに、その導線のせいで、惹き込まれていた世界観から現実に戻されてしまい、なんとなく冷めてしまいました。もう少し、世界観にあった謎解き問題であってほしかったです。

■途中を遊び直せない
クリアすると「続きから」の項目が消え、「最初から」だけになります。いくら全体がミニマムにまとまっているとは言え、ゲットし損ねたMiiverse用ハンコを探すといった繰り返しのやり込み要素があるのだから、物語の好きなところから再開できるようなチャプター的な仕組みがあると良かったと思います。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


◆総評


ゲームという媒体を使った「新しい芸術表現」!
多国籍な開発チームが追求した和の美しさ



「アドベンチャーゲームをやろう!!」と意気込んでプレイを始めると、きっと拍子抜けします。大前提として、本作の醍醐味が“ゲーム”であるということよりも、“芸術表現”であるという認識をもって臨むべきタイトルだと感じました。例えば美術館に足を運ぶ際に一緒に行く人を慎重に選ぶように、決して万人に気軽にオススメできる内容ではないけれど、外国人スタッフが徹底的に追求した“和”の美しさ、芸術性が本作の中に確かに存在しています。なので「謎解きアドベンチャー」なのか「新しい形の芸術作品」なのか、という本作に向かう気持ちひとつで評価が分かれてくると思います。

あくまで“ゲームとしての感想”を述べると、非常にシンプルで軽いアドベンチャーゲームです。難易度も低めで、話も短く、脱出ゲームなどのジャンルを含めたアドベンチャーゲームの入門編という内容でした。ただし、価格は割高な印象です。

“芸術作品としての感想”を述べてみると、デジタル分野における芸術的表現には、まだまだ“可能性”が無限にありそうだなぁという印象が強く残りました。ゲームだからこそできる芸術表現という可能性は、今後もっと発展する分野なのかもしれません。本作で言えば、外国の方からすると“和の心”“桜の儚さ”“日本の四季の美しさ”はこう見えるのか、といった感じなのですが、“美しい部分”だけを抽出して作られた作品のようにも見えてしまって「実際はそんなに良いものでもないですよ(汗)」と、日本人としてちょっと申し訳なくなりました(笑)。

どちらにしても、Wii Uで出すからにはテレビなどの大画面を見ながらプレイしやすいよう、GamePadの画面に集中しないでも遊びやすい操作体系を用意してほしかったです。これはゲームとしての遊び易さ、芸術作品としての楽しみ易さ、どちらにも繋がる重要な部分だと思うので。

【こんな人にオススメ】
・ゲーム性よりも雰囲気で楽しむゲームが好きな人
・インディーゲーム話題作に興味がある人
・ゲームを通じた芸術表現(という挑戦)に興味がある人

最後に個人的な感想ですが、世界のさまざまなゲームアワードを授賞した理由が“ゲーム性”にあると思っていたので、正直なところちょっと期待はずれではありました。世界が評価したのは“芸術性”だったんですね。ただ、これがゲームとして“なし”かと言われると、全然そんなことはなくて、むしろもっと“芸術”を求めたゲームが出てきてほしいと割と本気で思ってます。ただし、その際、ゲームジャンルにぜひ「アート」みたいなものが定着化していってほしいなと思いました。心の準備ができていないと、無駄ながっかりを覚えてしまいかねないので。「アート系ゲーム」の今後に期待です!

最後の最後に!このゲームの音楽を手掛けたのが日本人ではなく、『スーパードンキーコング』シリーズなどの音楽で知られるデビッド・ワイズ氏だということに衝撃を受けました!漂う“和”の空気作りに、音楽もかなり重要な役割を果たしていると思うので、ゲーム音楽好きな方は要チェックです。このゲームに込められた“和”の想いは本物でした!


【そそれぽ】第110回、いかがでしたでしょうか?まだまだ寒い日が続きますが、南の方から桜がそろそろ咲き始める季節、そして身の回りの環境が変わる季節でもあります。体調管理にはどうぞお気をつけて!次回もどうぞお楽しみに!


『TENGAMI』は、好評配信中で価格は800円(税込)です。

(C) 2014, 2015 Nyamyam Ltd.
Licensed to and published by Rainy Frog LLC.


■筆者プロフィール
津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ

作・編曲家・ライター。物心がつく頃にはMSXで『グラディウス』をプレイしていた無類のゲーム好き。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでニュース原稿執筆・ライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略シミュレーションゲームから格闘ゲームまで、幅広いジャンルのゲームをプレイ。

Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity

トップページ/アイコンイラスト:ウミネコ
《津久井箇人 a.k.a. そそそ》

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