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欧州大陸の中心、オーストリアのゲーム会社が来日会見

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イベントの様子
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◆政府のゲーム産業支援でスタートアップ企業が続出

オーストリア大使館商務部は11月17日、ゲーム会社の来日記者会見を行いました。会場にはミプミ・スプロイングという二つのゲーム会社と、オンライン決済用のプリペイドカードを発行するペイセイフカードが登壇し、自社の紹介を行いました。会場は同じオーストリアの企業つながりで、エナジードリンクのレッドブル・ジャパンが提供し、司会は「黒川塾」でおなじみの黒川文雄氏が担当。ゲーム開発者やローカライズ担当者などを中心に約70名が参加し、現地の情報に耳を傾けていました。

オーストリアといえばオペラやウィーン少年合唱団、アルプスの美しい山々など、日本人にとっては観光というイメージがあります。しかし近年のアプリブームにのって、ゲーム業界でもスタートアップが誕生し、世界的なヒットタイトルを排出する企業も増えてきました。政情も安定しており、治安も良好で、政府としてもさまざまな形でゲーム産業の支援に乗り出しています。こうした中で日本のゲーム会社と交流を深め、ビジネスチャンスを拡大させるために、今回のような記者会見が行われる運びとなりました。

オーストリア経済振興会社(AWS)の日本代表で、大使館商務部で上席商務官もつとめるカール・ゲンザー氏(日本で言えば国家公務員が民間企業の社長を務めるようなもので、この点でも産と官の連携の深さを感じさせます)は「オーストリアは国土面積が北海道と同程度で、人口は840万人(北海道は547万人)という小国だが、一人当たりのGDPは36980ユーロ(約536万円)で、日本よりも大きい(約370万円)」と説明します。地理的・歴史的経緯から東欧諸国との結びつきも強く、優秀なゲーム開発者が多数流入しているといいます。

毎年9月に開催されるゲームイベント「GAMECITY」では約7万人の来場者を数え、学術系の国際会議「F.R.O.G.(Future and Reality of Gaming)」も併催されます。メディアアートの国際イベントとして世界的に有名なアルス・エレクトロニカもリンツで開催されます。業界団体としては、オーストリアエンタテインメント・ソフトウェア協会や、IGDAウィーン支部、IGDAウィーンから派生した非営利団体のGame Austriaなどがあり、アクティブな活動を進めています。ブロードバンド・インターネットアクセスが80%(ドイツは58.1%)という点も注目でしょう。

ベンチャー企業への支援も手厚く、2014年には1億ユーロ(約145億円)の予算が組まれました。中心となるのがVienna Business Agency(VBA)による助成金です。資金調達や商談目的で2011年から開催されているイベント「PIONEER FESTIVAL」では過去2万人が参加。他にウィーン工科大学のビジネス・インキュベーションセンター「INiTS」による支援や、ゲンザー氏が代表を務めるAWSでも支援を実施。一方で国内市場が小さいため、当初から海外市場の開拓に力を入れているとも説明されました。

◆受注開発だけでなくアプリでオリジナルのヒットも

ミプミゲームは元ロックスターゲームズの社員が独立して5年前に設立したスタジオです。社員数は25人で、「会社は小さくてもおもしろいゲームは作れる!」を合い言葉に、さまざまなジャンルのゲームを作っています。ニンテンドーDS向けの『ANIMAL WORLD』から、PS3&Xbox 360向けの『HITMAN HD TRILOGY』、スマホ向けカジュアルゲームで初のオリジナルIP『CUTE KINGDOM』まで芸風は多彩。スマホ向けの都市育成シミュレーション『ANNO BUID AN EXPIRE』 では、ドイツ・オーストリア・スイスのアプリマーケットでランキング1位に輝きました。

一方、2001年に設立されたスプロイングはオーストリアで最も古いゲームスタジオの一つで、現在は90名弱の社員を抱えています。コンソールで10年以上の開発経験があり、5年前からはF2Pゲームに乗り出しました。一方でハイエンド向けの受託開発も続けており、自社開発のマルチプラットフォーム対応ゲームエンジン「ATHENA2」と、C++のサーバエンジン「Orion」を擁するなど、高い技術力を誇っています。

手がけたゲームはPCとコンソール向けで50本以上、モバイルとブラウザで6本(うち3本が制作中)。クライアントもUBI、アクティビジョン、マイクロソフトなど蒼々たる顔ぶれが並びます。空港建設ブラウザゲーム「SKYRAMA」は全世界で1000万人の登録ユーザーを記録しました。第二次世界大戦がモチーフのターン制ストラテジー『Panzer Tactics HD』はモバイルとSteamで販売され、日本でもコアユーザーから注目されました。アクションRPGの『Sigils: Battle for Raios』はカナダとオーストラリアで試験配信中。現在は次世代ゲーム向けオンラインクイズゲームを鋭意開発中で、アメリカの有名パブリッシャーからパブリッシュされるそうです。

最後にプレゼンしたペイセイフカードは、全世界39カ国で発行されており、欧州のオンライン決済におけるリーディングカンパニー。ユーザーはコンビニなどで16桁の暗証番号が印刷されたカードを購入し、ブラウザ上で入力して課金・決済を行います。さまざまな分野で使われており、ゲームセクターでは70%が25歳以下で、そのうち男性が90%とのこと。40番目の発行国として、日本でもサービスインを予定しています。

このほかQ&Aでは市場特性がドイツに似ており、PCゲームが非常に強く、PSの方がXboxよりも人気があること。「日本と欧州の文化的な違いを学んで、ローカライゼーションに活かしたい」(ミプミゲームCEO、グレゴール・アイグナー氏)、「コンソールゲームで洋ゲーがヒットするのは難しかったが、F2Pゲームならチャンスがあると思う。韓国や中国企業とは協業してきたが、日本は初めてなので、いろいろと勉強したい」(同リードゲームデザイナー、トーベ・マイヤー氏)などと語っていました。
《小野憲史》

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