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【TGS 2014】『ソニックトゥーン』プロデューサーインタビュー!「ソニック」シリーズ新ブランドの真意や開発秘話を訊いた

超音速のハリネズミ「ソニック」とその仲間たちが活躍する「ソニック」シリーズは、長い歴史の中で様々なタイトルをリリースし、国内外に根強いファンを数多く持ちます。

任天堂 Wii U
飯塚隆氏に直撃
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超音速のハリネズミ「ソニック」とその仲間たちが活躍する「ソニック」シリーズは、長い歴史の中で様々なタイトルをリリースし、国内外に根強いファンを数多く持ちます。

そんな「ソニック」シリーズの新ブランドが、Wii Uとニンテンドー3DSの2機種で発売する『ソニックトゥーン』です。世界観を共有しているものの、そのゲーム性や物語は大きく異なっており、単純なマルチタイトルとは到底言えない内容となっています。

これまでの「ソニック」シリーズの横スクロール型ハイスピードアクションを更に進化させた3DS専用ソフト『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』と、アクションの提供と共に「探索」の楽しさもたっぷり用意しているWii U専用ソフト『ソニックトゥーン 太古の秘宝』。ストーリー面でも大きく異っており、「ソニック」という同じ柱こそあるものの、それぞれ独立したソフトのように見受けられます。その2作品がなぜ『ソニックトゥーン』という共通のワードを掲げているのか。その疑問を、プロデューサーである飯塚隆氏に直接伺いました。

◆『ソニックトゥーン』という新たな展望


──いきなりの質問になりますが、共通点こそあるもののゲーム性から物語まで、それぞれ異なる方向性を持つ『ソニックトゥーン 太古の秘宝』と『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』。これらをなぜ、『ソニックトゥーン』という共通のワードでくくったのでしょうか。

飯塚氏:そもそも今回の『ソニックトゥーン』というのは、今までの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズ(以下、ソニックシリーズ)とは異なる、ひとつ別のカテゴリーになるんです。この秋から海外で、CGアニメショーンによるTVシリーズが始まるのですが、それをベースとした新しい展開として『ソニックトゥーン』(海外名称:『Sonic Boom』)という新しいブランドを立ち上げました。つまり、そのTVアニメシリーズを軸とした『ソニックトゥーン』は、今までの『ソニック』シリーズとはまた別のブランドという位置づけとなります。

──では、『ソニックトゥーン』とは『太古の秘宝』と『アイランドアドベンチャー』の2作品を指す名称ではなく、新たに立ち上がったブランド全体の名称ということなのですね。

飯塚氏:そうですね。そのため今回の2作品は、副題からもそれぞれが別のゲームであることが分かるように、各々のゲーム性や特徴主張するような形になっています。

──TVアニメシリーズとの関わりが深い『ソニックトゥーン』ですが、今回の2作品の開発が始まった経緯やきっかけを教えてください。

飯塚氏:新ブランドの立ち上げの話があがったのは、大分前のことですね。今後の『ソニック』シリーズのラインナップを話し合う会議の場で、この2014年に合わせて、海外シリーズの(『ソニック』シリーズとは別の)ブランドを立ち上げようと決まったのは、それこそ数年前の話になります。ちなみに開発はWii U版からスタートし、3DS版は1年遅れくらいで開発が始まりました。

──開発期間の1年差は大きいですね。それでも同日発売が実現したのはどうしてでしょうか。

飯塚氏:開発に当たってくれた会社は、元々アクションゲームを作るのが得意だったんですよ。そのおかげもあって、なんとか間に合わせることができました。

──ところで本作とは直接関係ないんですが、『ソニックトゥーン』が今後展開されていく上で、今までの『ソニック』シリーズは一体どうなるのでしょうか。

飯塚氏:『ソニックトゥーン』は、あくまでも「ソニック」シリーズの新たなブランドという位置づけですので、これまでの『ソニック』シリーズが無くなり、『ソニックトゥーン』に切り替えるということはありません。ご安心ください。

──それを聞いてホッとしました、ありがとうございます。

◆『太古の秘宝』の魅力は、Wii Uならでは!


──それでは、まずは『ソニックトゥーン 太古の秘宝』についてお聞きします。本作のテーマは“絆”ということですが、ソニックたちのチームプレイは具体的にどのような魅力を持っていますか?

飯塚氏:今までの『ソニック』シリーズでは、ずっとソニックが主人公で、仲間たちは物語上で彼をサポートする役回りというのが多かったんです。ですが今回はソニックひとりがヒーローではなくて、4人のチームワークで困難や難敵を克服していきます。チームの使い方は、『太古の秘宝』と『アイランドアドベンチャー』で異なりますが、4人で協力して冒険を進めるという点は共通しています。

さらにチームプレイの魅力の1つとしては、Wii Uの特徴を活かしたゲームシステムが挙げられます。Wii Uにはモニタとゲームパッド、2つの画面がありますよね。

──そうですね。必ず2画面あります。

飯塚氏:話の流れの中で、4人いる仲間が2人組に分かれるシチュエーションがあるのですが、2人で遊ぶ時にはプレイヤーそれぞれに専用の画面があるので、お互い自由に探索することが可能なんです。1人では困難なことも、2人でそれぞれの画面を使って協力して冒険を進めることができるのが、『太古の秘宝』の大きな魅力のひとつです。

──Wii U版だからこそできる要素とも言えますね。

飯塚氏:はい。画面の制約に縛られずにそれぞれのプレイヤーが自由に遊べるので、バラバラに行動して協力する楽しさが味わえます。

──1人でも十分楽しめそうですが、2人で遊ぶことで、楽しみ方がさらに広がりそうですね。

飯塚氏:あと、4人のキャラクターはそれぞれ個性的なアクションを持っています。、例えばソニックでは進むことができなかったルートをエミーは進むことができたりします。。なので一度クリアしたステージでもキャラを変えて遊ぶことで、「あ、こんなルートあったんだ」というような意外な発見を楽しめます。

──探索の醍醐味を何度も味わえるのは嬉しいですね。『太古の秘宝』では、アクションパートの他にアドベンチャーパートがありますよね。ここでは村人の困りごとを解決することで冒険を進めるヒントやアイテムを得ることができますが、これはかなりやり甲斐がありそうですね!?

飯塚氏:アクションパートで冒険を進める他に、アドベンチャーパートで村人の頼み事を全てクリアするまでを含めると、結構なボリュームになりますね。頼み事のひとつひとつもアクションゲームとして楽しめるように用意しているので、それらをすべて味わい尽くしてもらえたら、かなりの時間遊んでいただけると思います。

──アクションパートだけ進めたい方はそちらに注力し、『ソニックトゥーン 太古の秘宝』をすべて味わい尽くしたい人はアドベンチャーパートも並行して進めることがオススメ、ということですね。

飯塚氏:そうですね。きっとアドベンチャーパートを進める中で物語にどっぷり浸かってもらえたら、村人の頼みごとを叶えてあげたくなる気持ちになると思いますよ。村人たちはそれぞれとても魅力的ですから、ついつい関わりたくなるかと。それと、彼らの頼み事をクリアしていくことでキャラクター自身のスキルアップへとつながり、本編の攻略を大いに助けてくれる要素にもなりますしね。

──キャラクターとしても放っておけないし、攻略の手助けにもなる、と。確かに見過ごせなさそうです。アクションが苦手な人には救済措置にもなりそうですね。

飯塚氏:そうですね。また逆に、腕に自信のある方は、便利なスキルには敢えて頼らず、実力で挑むという遊び方も可能です。

──ちなみに、飯塚さんがオススメしたい一押しの村人は、いらっしゃいますか?

飯塚氏:オススメとはちょっと違うんですけど、これは個性的だなと思ったのが「ポーキー」と「ホーキー」ですね。まさか、クラゲの老夫婦がキャラクターとして登場するとは思いませんでした(笑)。

──確かに、クラゲのキャラクターは滅多に見かけないですよね(笑)。

飯塚氏:キャラクターとしても非常にユニークなんです。この老夫婦をはじめ、どの村人も個性豊かなので、『ソニックトゥーン 太古の秘宝』をプレイする際には、ぜひ村人とコミュニケーションをとってみてください。

◆リアルタイムでキャラを切り替え冒険を進める『アイランドアドベンチャー』


──それでは次に、『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』に関してお聞かせください。こちらは、従来の『ソニック』シリーズに見られるスピード感を重視しているに見えますが、これまでの「ソニック」シリーズの魅力を受け継いでる点と、『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』ならではの魅力をそれぞれ教えてください。

飯塚氏:今までの『ソニック』シリーズでは、ハイスピードアクションによる爽快感や楽しさを特に重視してきました。逆を言えば、それらを阻害するような要素は敢えてやらなかったんですよ。「このステージをいかに早くクリアできるか」、というような「スピードを楽しむゲーム」だったんです。

そしてこの『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』では、従来の「ソニック」シリーズの爽快感や楽しさはそのままに、新たにキャラクターをリアルタイムで切り替えてステージを進んでいく、探索的な要素も楽しめるようになっています。

──『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』にも探索要素があるわけですね。確かに、試遊版をプレイさせていただいた時にマップ画面を開いたんですが、想像を遥かに超えた広さだったので驚きました。

飯塚氏:キャラクターを切り替えることで進むことができる場所がマップのあちこちに隠されています。、マップをくまなく探してもらうと、初見のプレイでは気づかなかった発見もたくさん見つかると思います。ちなみに『太古の秘宝』ではキャラクターごとに進むルートが変わりますが、『アイランドアドベンチャー』ではキャラクターを切り替えて先に進むという楽しみ方になります。

──同じシチュエーションで新たな驚きがある『太古の秘宝』と、ひとりでじっくりとキャラを切り替えて遊び尽くせる『アイランドアドベンチャー』。その違いも、それぞれの魅力に繋がっているわけですね。

飯塚氏:探索の面白さはどちらにもあって、その楽しみ方に大きな違いがあります。また、友達と協力し合えるWii U版と、ひとりで全キャラを使いこなす贅沢が味わえる3DS版というのも違いの1つと言えますね(笑)。

◆新たな魅力を詰め込んだ『ソニックトゥーン』に乞うご期待


──今回登場を果たす「ソニック」シリーズ新ブランドである『ソニックトゥーン』の2作品ですが、これらのタイトルを生み出すに当たって、心がけたり意識した点などはありますか?

飯塚氏:『ソニックトゥーン』という新しいブランドを立ち上げるに当たって、今まで皆さんから望まれながらも『ソニック』シリーズでは手を出せなかった部分に手を出そう!という意識は強かったですね。これまではスピード感溢れる爽快なハイスピードアクションを楽しんでもらうため、足を止めて楽しむ「探索」や「村人との会話」などは盛り込まない方針でした。

ですが『ソニックトゥーン』の場合、先にアニメを見て作品を遊んでみようと考える人のことも想定しているので、より多くの方々に楽しんでもらえるよう、探索などの親しみやすい遊び方も盛り込んでいます。

──従来のハイスピードアクションを楽しめる『ソニック』シリーズとは違う魅力を模索したわけですね。ちなみに、探索やチームプレイ以外に、ここも知って欲しいという魅力やポイントはありますか?

飯塚氏:作品のコメディタッチな部分にも注目して欲しいですね。これまでも『ソニック』のTVアニメはありましたが、ギャグやコメディを盛り込みつつも基本はアクションが主体でした。ですが今回のアニメシリーズはソニックをはじめとする仲間5人が織りなすドタバタ劇が非常に面白く描かれているんです。その個性的なキャラクター性が『ソニックトゥーン』の大きな魅力のひとつです。

ソニック自身の性格は今までとあまり変わっていませんが、彼を取り巻くキャラクターたちの性格はかなりアレンジされていまして、ゲーム中で交わされる会話などもコミカルタッチになっています。シチュエーションは(世界の危機という)シリアスなものですが、会話の内容はドタバタコメディという感じなので、そういった部分も今までの『ソニック』シリーズとは一味違う魅力として楽しんでいただけるのではないかなと。

──これまでの「ソニック」シリーズにはなかったキャラクターの魅力が展開されると。

飯塚氏:「ナックルズ」がボケ役なんですよ、『ソニックトゥーン』では(笑)

──えっ! そうなんですか?

飯塚氏:はい。これまではソニックの良きライバルでしたが、このシリーズではかなりのボケ役なんです。コメディタッチが強い『ソニックトゥーン』ならではのアレンジですね。こういったキャラクターの新たな魅力を楽しんでもらえたらなと思います。

──個性的なキャラクターにも注目ですね。それでは最後となりますが、本作を待ち望んでいる方々にメッセージをお願いします。

飯塚氏:開発の方もほぼ終わりを迎えていまして、12月の発売に向けて準備を着々と進めております。『太古の秘宝』は、久しぶりにアクションアドベンチャーに挑んだタイトルとなっており、大人の方もじっくりと楽しんでもらえるタイトルです。また『アイランドアドベンチャー』は、ソニックの魅力である横スクロール型ハイスピードアクションを主軸としながらも、新たな楽しさも加えています。『ソニックトゥーン』だから味わえる魅力に、どうぞご期待ください。

──最新作2作品と共に、今後の『ソニックトゥーン』および『ソニック』シリーズの発展を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


Wii Uソフト『ソニックトゥーン 太古の秘宝』とニンテンドー3DSソフト『ソニックトゥーン アイランドアドベンチャー』は、2014年12月18日発売予定。価格は、『太古の秘宝』が6,980円(税抜)、『アイランドアドベンチャー』が4,980円(税抜)です。

(C)SEGA
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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