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【Unite Japan 2014】プロシージャルがウリの3Dツール「Houdini」とUnityの連携がワークフローにもたらすもの

カナダ・トロントのSide Effects Software社によって開発・販売されているHoudini。高度なパーティクル生成機能が特徴で、ハリウッド映画やテレビCMなどのVFX制作で幅広く使われています。

ゲームビジネス 開発
Side Effect Softwareの多喜建一氏
  • Side Effect Softwareの多喜建一氏
  • Side Effect SoftwareのSCOTT KEATING氏
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カナダ・トロントのSide Effects Software社によって開発・販売されているHoudini。高度なパーティクル生成機能が特徴で、ハリウッド映画やテレビCMなどのVFX制作で幅広く使われています。ゲーム開発現場では知名度が乏しい点も否めませんでしたが、ここに来て状況が変わってきました。昨年11月にAutodesk MayaやUnityを統合するプラグインのパブリックプレビュー版を公開したからです。

プラグインは公式サイトからダウンロードでき、Houdin、Houdin FX、そして無料体験版のHoudini Apprenticeで使用できます。これにより、Houdini上で作成したデジタルアセットを、Unity上で読み込んで使用することが可能になります。ネット上のOrbolt Smart 3D Asset Storeでは、Unityで使えるアセットも拡充中です。Houdiniの優れたアセット制作力を、モバイルゲームなどで活用できる環境が、ようやく揃ってきたのです。

Houdin最大の特徴は、その高いプロシージャル(一定の手続きに基づいた自動生成)性にあります。パーティクルや爆発で飛び散る破片群といった、物理ベースのエフェクト表現をベースとしているため、デジタルデータの自動生成分野で、一日の長があるのです。今ではゲームのステージなどの複雑なデータも、プロシージャルでデザインすることが可能になっています。

これにより、パラメータの設定を変えるだけでコンテンツを動的に変化させることが可能になりました。ひらたくいえば、できあがったデータに対して後から修正を加えることが容易になったのです。これが品質向上に大きく貢献することは、言うまでもないでしょう。

もっともゲーム開発シーンでは、まだプロシージャルによるデジタルアセットの制作について、なじみが乏しいのも事実。Unite Japanで3月18日、同社の多喜建一氏とSCOTT KEATING氏が「Houdini Engine とプロシージャルモデリング」と題して講演を行い、ツールの概要とUnityプラグインを用いたデータ連係についてデモを披露しました。

Houdinの基本的な概念に「ノード」があります。ノードはデータに対して行われる、さまざまな作業や設定の総称です。たとえば一枚のポリゴン板をエディタ上に表示させて、それを格子状に分割する行為が一つのノードとなります。格子単位で凹凸をつけて、地形のようにするのもノードです。エディタ上に表示された四角錐をコピーするのもノードです。これらをマージさせて、ゆるやかに波うった地形に木を生やすような表現を行うのもノードです。個々のデータをちくちくとアーティストが作成するのではなく、「一定のルールにもとづいて自動生成」させているところが最大のポイントです。

個々のノードは互いに連結しており、それぞれのノードの修正が、全体に影響を及ぼします。複数のノードを一つのデジタルアセットにまとめることもできます。デジタルアセットはノードと同じように扱うことが可能で、OTLファイルにセーブすれば、他人と共有できます。これをプラグインを通して、Unityなどのツールと連携できるようにした技術が、Houdini Engineです。これによりHoudiniでデータを作ってUnity上に受け渡し、ゲームに組み込むといったワークフローが、手軽に構築できるようになりました。

続いてレースゲームのステージ作成手順の紹介に移りました。エディタ上でポイントをいくつか設定して、NURBSベースのトラックカーブを作成し、これをノードとします。これを事前に用意しておいた地形データのデジタルアセットと組み合わせれば、コーストラックとして認識されます。この時点でトラック部分は少し溝ができており、崖とコースが交錯する部分はトンネルとなっています。トラックの角度を変えるなどして、後から調整することも自由自在です。

このデータをポリゴンに変換すれば、ゲームで使用することが可能になります。デモではトラックのふちや崖などのパーツごとに、それぞれ異なるマテリアルやUVが設定されている様子も紹介されました(これらは手付けではなく、ルールによって自動的に設定されています)。カーブの曲線や崖の勾配などで、ポリゴンの分割サイズが自動調整されている点もポイントです。「show detail」というフラグをオンにすれば、細かい岩やトンネルから生えるつららなども表示されました。

続いて、このデータがプラグインを通してUnity側に読み込まれました。Unityのエディタ上にはHoudiniと同じパラメータが表示されています。これらを設定すれば、Houdini上と同じようにデジタルアセットを修正できます。データはすべてジオメトリではなく、インスタンスとして描画されていますが、プロップなどを細かく調整することも可能です。1st Personコントローラを設定しておけば、プレイモードを起動して、ゲーム画面のプレビューを表示させることもできます。

このように、ポイントはHoudiniの高いプロシージャル特性を活かして、クオリティの高いデジタルアセットをアーティストが短時間で作成できること。作成したデータをUnityと連携できること。そして作成したデータに手を加えることが容易で、イテレーションの速度を上げられることです。多喜氏は「まずは無料体験版などで試してみてほしい」と呼びかけていました。
《小野憲史》
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