國光氏は国内市場のトレンドが急速にMobage / GREEを筆頭としたブラウザ型ゲームから、App Store、Google Playに代表されるネイティブアプリに移行していることと、それによってゲーマー層がスマホのソーシャルゲームに流入していることについて触れました。その上で「日本のSAPはブラウザゲームで急成長したため、ネイティブアプリの開発ノウハウが少ない」と指摘し、中国のゲーム会社でも良質なコンテンツであれば日本で成功する可能性が高いことを示唆しました。
はじめに國光氏は日本のモバイルソーシャルゲームが2013年度で5700億円市場に達する見込みで、映画が60年、コンシューマゲームが25年かかったところを、わずか3年で追いついたと説明しました。またアメリカのモバイルゲーム市場が2015年で55億ドル(5500億円)に達するという観測に触れつつ、一方で日本と韓国のシェアを足すとアンドロイドマーケットで世界の約8割をしめるというデータも紹介。世界のスマホ市場を牽引しているのは東アジアで、アジアで世界ナンバー1になれば自動的に世界でもナンバー1になると強調しました。
一方、2007年に起業したgumiはこれまで『任侠道』『幻獣姫』などのフィーチャーフォン向けソーシャルゲームで急成長してきましたが、昨今ネイティブアプリへの移行を進めています。新作『ブレイブフロンティア』も、ほとんど広告宣伝費をかけていないにもかかわらず、App Storeで最高7位を記録し、DAUベースで8万人、1日で7~800万円の売上を記録中だと紹介。同時期にリリースしたブラウザ型のカードゲームが苦戦していることから、ユーザーはブラウザ型のカードゲームに飽きているのではないかと分析。これから作るならネイティブアプリがオススメだと指摘しました。
この背景として、あまりに多くのブラウザ型カードゲームが氾濫していることから、App StoreでもGoogle Playでもブラウザ型カードゲームはプラットフォーマーが取り上げてくれず、ゲーム媒体でも記事が掲載されにくいとコメント。かつてはグリーやDeNAも新作を作れば目立つ位置にバナー広告を掲載してくれたが、「今ではルールが変わってしまった」と語りました。その一方でブラウザ型カードゲームとネイティブアプリではユーザー層が変わってきたと説明し、カジュアルユーザーだけでなく、ゲーマーがネイティブアプリをプレーするようになってきたと指摘しました。
「『パズル&ドラゴンス』の大成功のおかげで、ネイティブアプリが注目されています。新しいタイプのゲームなのでメディアも取り上げてくれるし、ゲーマー層が流入してきて、彼らが口コミで広げてくれるようになりました。すなわち広告宣伝費をかけなくても、口コミが極めてききやすい状況が生まれているのです」(國光氏)。その上でネイティブアプリ時代になると、いわゆる「ポチポチゲー」ではなく、遊び方に対するオリジナリティが重要になると分析しました。その一例として今の30代から40代にささるような、スーパーファミコンなどで流行したゲームジャンルを抽出してスマホやタブレットに乗せ、ソーシャル要素を加えるといった考え方もあり得ると言います。
「ただし日本のSAPの多くはブラウザ型カードゲームで急成長したため、ネイティブアプリの開発ノウハウに乏しいのです。一方で中国ゲーム業界はオンラインゲームの開発ノウハウが抱負です。良質なモバイルゲームを作って日本でリリースすれば、高い確率で成功するのではないでしょうか」と語り、講演を締めくくりました。
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