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【徒然ゲーム音楽語り】第1弾『世界樹の迷宮』 ― 蘇れ、あの頃の音

「ゲームミュージック」の海には、隠れた名曲、言わずと知れた名曲がたくさん沈んでいます。そんなゲーム音楽にスポットを当てる新連載「徒然ゲーム音楽語り」。第1回目はダンジョンRPG『世界樹の迷宮』より「世界樹の迷宮 オリジナル・サウンドトラック」をお届けします。

その他 全般
ジャケット
  • ジャケット
  • DS音源版
  • PC音源版
  • トラックリスト/新納氏のコメント
  • 古代氏のコメント/ライナーノート
  • ライナーノート/クレジット
「ゲームミュージック」の海には、隠れた名曲、言わずと知れた名曲がたくさん沈んでいます。そんなゲーム音楽にスポットを当てる新連載「徒然ゲーム音楽語り」。第1回目はダンジョンRPG『世界樹の迷宮』より「世界樹の迷宮 オリジナル・サウンドトラック」をお届けします。


「世界樹の迷宮 オリジナル・サウンドトラック」は、ゲーム発売の約2か月後、2007年3月にFive Records(現・5pb.Records)より発売されました。一度は生産を中止したものの、2013年6月より5pb.のリパッケージプロジェクト第1弾として復活。現在はアマゾンや5pb.OnlineShop等で入手することができます。


■収録曲
1. 物語は紡がれる 【オープニング】
2. 街景 その名は百巻目に刻まれた! 【街施設 冒険者ギルド】
3. 迷宮I 翠緑ノ樹海 【ダンジョン 1F~5F】
4. 鉄華 初太刀 【通常バトル 前編】
5. 鉄華 至宝を得よ 【バトル終了】
6. 迷宮II 原始ノ大密林 【ダンジョン 6F~10F】
7. 街景 窓越しの街路樹 【街施設 エトリア広場 昼】
8. 戦場 眼前に突風 【f.o.e バトル】
9. 街景 明日語りのラウンジ 【街施設 エトリア広場 夜】
10. 迷宮III 千年ノ蒼樹海 【ダンジョン 11F~15F】
11. 情熱 赤と黒 【イベント 恐怖】
12. 戦場 朱にそまる 【ボスバトル】
13. 街景 まつりごとうやうやしく 【街施設 執政院ラーダ】
14. 迷宮IV 枯レ森 【ダンジョン 16F~20F】
15. 鉄華 討ち果て朽ち果て 【通常バトル 後編】
16. 迷宮V 遺都シンジュク 【ダンジョン 21F~25F】
17. 戦場 そびえたつ双つ 【レン&ツスクルバトル】
18. 情景 青と白 【イベント 真実】
19. 戦場 天地の玉座 【ラストボスバトル】
20. 英雄は生まれ物語は続く 【エンディング 1】
21. 街景 三角屋根の鶏飾り 【街施設 エトリア広場 昼 2】
22. 迷宮VI 真朱の岩窟 【ダンジョン 26F~30F】
23. 鉄華 恍惚 【通常バトル 最終層】
24. 戦場 散るもかなり 【隠しボスバトル】
25. 400 キミ達の冒険は終わった 【エンディング 2】
26. また新しい朝まで 【ゲームオーバー】
27. つかの間の安らぎを 【ジングル 宿泊】
28. 報償 【シングル イベントクリア】


このサウンドトラックは、「昔懐かしい、あの頃のサウンドを再び」をコンセプトにしているため、PC-8801FM音源からもサンプリングしており、Disk1はゲームに使用されたDS音源、Disk2は開発版のFM音源という少し変わった2枚組です。さらに、ブックレットにディレクターの新納一哉氏と作曲家の古代祐三氏のコメント、古代氏によるライナーノートが収録されています。

■作曲家 古代祐三氏
シリーズを通して楽曲を担当しています。
ゲーム音楽を広く手がけており、ゲームクリエイターの遠藤雅伸氏とともに、2012年7月に設立した社団法人日本BGMフィルハーモニー管弦楽団代表理事も務めています。

【古代節とは】
俗に「古代節」と呼ばれる、古代氏独特の音楽世界。その最大の特徴は『イース』『ソーサリアン』等でゲームファンを虜にしたベースラインです。アクション作品に多い初期のロックスタイル、中期の実験音楽、近年のテクノ・トランスやオーケストラサウンドなど、古代氏の作風は多彩に展開していますが、どのサウンドにおいても「古代節」は健在で、初期からのファンのみならず過去作品を知らないユーザーからも支持を得ています。

楽曲提供作品:『イース』、『イースII』、『ソーサリアン』、『アクトレイザー』、『シェンムー』、『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズ、『セブンスドラゴン』シリーズ

■DS『世界樹の迷宮』はどんなゲーム?
2007年1月にアトラスから、完全新作の3DダンジョンRPGとして発売しました。現在、『世界樹の迷宮』『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』(以降3DS)『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』がシリーズとして好評発売中です。

【ストーリー】
とある地方にエトリアという小さな街があった。何の変哲もないその小さな街はある年の発見を境に大陸で最も有名な都市となる。「世界樹の迷宮」エトリアの街はずれで発見された巨大な大地の裂け目。地の底まで続こうかという深淵を思わせる巨大な地下樹海の迷宮・・・。そこには全てがあった。エトリアの迷宮の噂を聞いたものは老いも若きもみな、その樹海を夢見るようになった。富、名声、権威・・・。そして何よりも、飽くなき冒険心を満足させるだけの樹海。今日もまた、一人の若者がエトリアの門をくぐる・・・。

【マッピング機能】
『世界樹の迷宮』シリーズの醍醐味とも言える、マップ作成機能。樹海の踏破をする上で、下画面に描き加えていくオリジナルのマップはまさに命綱。ボスバトルの発生場所や「採掘」「採取」などのポインタを駆使してマップを作りこむことが、樹海攻略のキーとなります。

【職業とギルド】
第一作目では、「ソードマン」「レンジャー」「パラディン」「ダークハンター」「メディック」「ブシドー」「アルケミスト」「バード」「カースメーカー」の9種類が登場。プレイヤーは自分の職業を1つ選び、残り4人の仲間を選択して冒険者ギルドを作ります。各職業、固有するスキルやポジションが多様で、最大5名のパーティーメンバーをどのように組むかで、ギルドの可能性は無限大に広がります。


■レビュー
一言で表すなら「蘇る1枚」。何が蘇るのかと言えば、「世界樹」ならびにこのサウンドトラックのコンセプトとして掲げられる「昔懐かしさ」や、ゲーム中のトラウマなどといったものでしょうか。Track4の通常戦闘曲が、古いゲームしか知らない人でも「あ、バトルだ」とわかるほどの王道っぷりであったり、Track8で蘇る強敵の恐怖が生々しかったりと、いわゆるゲーム音楽そのものの懐かしさから、プレイ時の一喜一憂まで思い起こさせる力を持つ音楽には、「単に昔を懐かしむだけでなく、新しい音楽をクリエイトするよう、常に心がけて」いたという古代氏の思いと「古代節」が炸裂しているように思われます。

また新納氏と古代氏のこだわりであるPC-88音源。DS音源との違いはヘッドホンで聴き比べてみるとよくわかりますが、PC音源はよりクリアに深みのある音色が楽しめ、パートの聴き分けもしやすいので、プレイ中には気づかなかった音の発見があるかもしれません。

■いちおしの一曲(試聞)
【いちおし迷宮BGM】
Track16「迷宮V 遺都シンジュク」
第5階層、21階から25階のフィールド「遺都シンジュク」。第4階層まで続いた森から一変、高層ビルの廃墟をモチーフにした無機質さと、幻想的な青紫色が印象的な世界です。
最下層のひとつ上であるこの階層では、ゲームも終盤に差し掛かっており、BGMもゆったり流れる森の音楽から、ここで一線を引いたような印象があります。だんだんと音の下がるベースが醸す荘厳さと、オルゴール調の高音が生む神秘の組み合わさったイントロ。そこから階段状の音運びでメロディを淡々と前へ流し、ドラム音を合図に主旋律が厚みを増して、一気に曲を盛り上げていきます。一番盛り上がる部分が、プレイ中はエンカウントによって切られてしまうことが多々ある故に、1分3秒から先は特に聴き所です。

【いちおし戦闘BGM】
Track23「鉄華 恍惚」
最下層の通常戦闘BGMですが、ボス戦並みの緊張感と重みのある、インパクトの強い一曲です。このCDの中で一番なのではという速さかつ、メロディ・伴奏ともにピコピコサウンドの際立っている曲でもあります。28秒から飛び込んでくる変拍子を筆頭に、終盤のめまぐるしい連符や歪みなどのエフェクトといった遊び心が満載です。元々はレン&ツスクルバトル用として作られていたということがコメンタリーで語られています。最下層にはプレイヤーのレベルが上がっていても手強い敵が多く、そんな緊迫をさらに高めてくるような、ともすれば「トラウマ曲」にもなりかねないほどの激しい名曲です。

【いちおし街BGM】
Track9「街景 明日語りのラウンジ」
序盤から容赦なく強い敵を出してきたり、戦闘してもお金は入ってこなかったりと、何かとシビアな「世界樹の迷宮」。蘇生も安くはなく、欲しい武具に手が届かないこともしばしば、主に金銭面で苦しめられることはありますが、それでも街中がRPGにおける安息の地であることには違いありません。BGMも冒険者の心を癒すように、広場での音楽は総じてソフトな耳当たりで統一されています。その中でも夜のBGMは「バーの雰囲気に合うジャジーな曲」ということで、昼のBGMに比べ少しノリのよい、モダンな雰囲気です。ベースで刻まれる音が粋なテンポと渋さを演出しています。

「世界樹の迷宮 オリジナル・サウンドトラック」は、好評発売中。価格は3,150円(税込)です。


第2回は、「戦国BASARA東軍BEST」「戦国BASARA西軍BEST」を取り上げます。更新は7月22日を予定なので、お楽しみに。

(c)ATLUS CO.,LTD
《井口 宏菜》
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