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【SIG-Glocal#11】中国市場の独自性、BBCがGDCに参戦した理由とは?・・・GDC2013報告会

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【SIG-Glocal#11】中国市場の独自性、BBCがGDCに参戦した理由とは?・・・GDC2013報告会
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NPO法人IGDA日本のグローカリゼーション専門部会(SIG-Glocalization)は、2013年05月25日(土)に東洋美術学校で「GDC2013ローカリゼーションサミット報告会」を開催しました。SIG-Glocalizationの副世話人であるクルーズの長谷川亮一氏は、GDCで行われたセッションのうち3つを取り上げ報告しました。

最初に紹介したのは、中国の開発会社Yodo1のCEOによる「The Western Games That Conquered China」です。中国市場のモバイルゲームの独自性について語られたこのセッションでは、同社のローカライズ成功事例を元にして、中国語への翻訳だけでは不十分であり、中国の文化に深く踏み込んだローカライズが求められるといった主張が行われました。

中国市場でのマネタイズやディストリビューションを考えるにあたって重要となるのが、欧米や日本で馴染みのあるFacebookやGoogle Play、App Store、YouTubeといった大手サービスはブロックされており、それらが実質的に使い物にならないということです。したがって、中国市場では別の小中規模なメディアやディストリビューションチャンネルを利用して、広告展開や課金処理を行わなければなりません。

さらに中国においてEメールはビジネス的なコミュニケーション手段という側面が強く、個人間でのやりとりはSNSが大きな役割を担っています。また、中国では規模は小さいながらも多数のSNSが展開されていて、これらの各サービスに対して訴求していくのが重要なのだそうです。中国国内のSNSサービスの利用者を合計すると10億アカウントにものぼるそうで、到底無視できないユーザー数であるのは想像に難くありません。

料金支払いについても同様で、日本のような携帯電話キャリアを利用した仕組みが中国ではまだ整っていないため、いくつかある小額決済を担う会社に頼っていく必要があります。ただし、近年は状況が変わって決済まわりの仕組みも整理されつつあり、コンテンツに対する料金支払いのハードルは全体的に下がっているとのことでした。

そのほかにもゲームのストーリーを変更したり、中国語での音声吹替をしたりといったゲーム内容の変更、また継続的なコンテンツのアップデート、SNSサービスとは別のゲーム内コミュニティの構築といったローカライズにおける基本的なサイクルが重要であると語られました。

Yodo1の成功事例として挙げられたスキーをモチーフにしたアクションゲーム『SKI SAFARI』では、プレイヤーキャラクターのスキーウェアを中国らしい衣装に変更し、ペンギンをパンダに変えるといったローカライズが行われています。結果的に中国版の『SKI SAFARI』は、言語だけ翻訳したリリース当初の売り上げとAndroidへの対応や文化に合わせたローカライズなどを行った最新版の売り上げとを比較すると、その差は200倍にもなったのだそうです。

次に長谷川氏が報告を行ったのは、「Localization Microtalks: Around the World in Sixty Minutes.」というセッション。1人7分の持ち時間で次々とスピーカーが代わってトピックを紹介していくというセッションです。長谷川氏はこのなかから3つのトピックを取り上げました。

最初のトピックは『Gun N' Blade』というソーシャルRPGです。3マッチパズルを使った、いわゆる『パズル&ドラゴンズ』型のゲームです。開発は韓国、パブリッシングはイスラエルの会社が行なっており、それをアメリカやヨーロッパで展開しています。

このため、ゲームの節々からは開発会社のある韓国のプレイヤーが好む作りが見られ、ローカライズにあたってそこにコストがかかったとのこと。例えば日本ではメニュー階層を浅くするのが一般に好まれますが、韓国ではメニュー階層をとにかく深くするのが好まれるといった事例が紹介されました。チュートリアルが長めなのも韓国の特徴だそうです。また「Level」、「LVL」、「Rank」といった言葉が登場し、翻訳の段階でそれらを別の言葉に置き換えたものの、開発会社に問い合わせてみると、それがすべて同じものを指しており、画面がくどくなってしまったというような事例もあったそうです。世界を股にかける開発やパブリッシング、継続的なアップデートによる弊害の一例ではありますが、興味深い事例と言えるでしょう。

次はラテンアメリカの市場にスポットを当てた「Why You Should Care About Latin America」です。GDPの伸び率やインターネットユーザーに占めるラテンアメリカの比率といったものを参照しながら市場が拡大していることを強調し、決済方法としては銀行引き落としが半数に迫るほどポピュラーであることが紹介されました。ウルグアイのデベロッパが手がけた『Kingdom Rush』、チリのデベロッパによる『Zeno Clash』といった知名度の高いゲームも生まれてきているので、今後のゲームシーンへの影響が大きくなっていく可能性は高いかもしれません。

「How Pretty Pet Salon Became an International Franchise」というトピックでは、冒頭で紹介した『SKI SAFARI』の事例と同様に、リリース地域に合わせたカルチャライズやマネタイズに関する事柄が語られました。これらのトピックを踏まえ、長谷川氏は「どうやってローカライズするか、どうやって国に合わせて正しくカルチャライズをしていくか、というフェーズは過ぎて、それらをどうやればビジネスに繋げられるかというフェーズに入っている」と語り、「Glocalization」が重要になってきているとまとめました。

長谷川氏は最後にこれまでとはやや毛色の異なったセッション「BBC, Cross-Media and Video Games.」を紹介しました。イギリスの放送局であるBBCがGDCを訪れたのは、テレビを取り巻く環境の変化によってビデオゲームを使ったユーザーへの訴求が必要となったというのが大きな理由です。

BBCとしては、テレビ業界はワールドワイドに通用するコンテンツを所有しているという自負がある一方で、ゲーム業界のようなスピード感に欠けるという認識を持っており、協業こそが活路を見いだせる、と考えているようです。ただし、映像はそのままで音声や字幕を調整するのが基本となるテレビとは異なり、ゲームの場合はブランドイメージのコントロールがかなり難しいというのが問題点として挙げられます。

とは言え、BBCは実際に『TopGear』という人気の車番組を『Forza Motorsport 4』や『グランツーリスモ5』でタイアップし、プロモーションチャンネルとして大きな成功を収めているそうで、BBCがゲーム業界との協力に対して意欲的であるのは間違いないでしょう。また、視聴率やSNSなどで反応といった間接的な情報に頼りがちなテレビと比較すると、ゲームはユーザーの動向を詳しく知ることができ、その点がBBCにとって魅力的に写っているのだそうです。BBCではありませんが、今春にはテレビドラマとタイアップしたゲーム『Defiance』がリリースされており、さらにこの動きは加速していくものと思われます。

「どうやってローカライズするか、というフェーズをすぎた」という長谷川氏の発言が、昨今のローカライズのあり方を指し示しているという印象の報告でしたが、同時にモバイルやタブレット端末の普及によって世界中の人がアクセス可能なコンテンツは増えており、結果的にGlocalizationの重要性や必要性はさらに色濃くなってきているのは間違いないようです。
《千葉芳樹》

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