本勉強会には、開発者や研究者とともにSCEのスタッフが参加、インディーゲームの新たなプラットフォームとして期待される「PlayStation Mobileの現状と可能性」について報告がなされました。SCEからは登壇者は3名。テクノロジーサービス部の望月有人氏は、PlayStation Mobile(以下PSM)でのゲームのパブリッシングに関する説明を行いました。
■鍵とデバイスシード
まず、ゲームのテストする際のボトルネックになりがちな問題点として、PSM独特の「鍵」と「デバイスシード」というシステムがあります。鍵にはパブリッシャーライセンスを購入すると発行される「パブリッシャー鍵」と個々のアプリケーションと紐付いた「アプリ鍵」があります。さらに端末の固有IDのような「デバイスシード」が存在します。
1つのパブリッシャー鍵を利用することで、最大100台のPSMデバイスを管理するデバイスシードが生成できます。デバイスシードはPSM Developer AssistantをPSMの端末にインストールすることで生成されます。デバイスシードが変わると、アプリ鍵を作り直し、署名し直す必要があるため、デバイスのPSM Developer Assistantを再インストールするときには注意が必要です。
■実機テストとアプリ提出時の注意点
次に実機テストする際の注意点が指摘されました。まず、Android端末では、スリープモードにならないように設定しておく必要があり、他方Vitaに大きなファイルをインストールするときはスリープモードにならないように画面タップする必要があります。また、Androidはプロセスが残ることが多いので、不具合が見られた場合、Androidの設定から強制停止を行う必要があります。
さらにアプリを提出して審査するための具体的なTipsにも触れられました。まずはアプリのサポート言語は、配信される国に応じた言語を用意することが推奨されていますが、英語のみ・日本語のみといった場合でもリリースすることは可能だそうです。販売する国と地域には、それらの地域に応じた言語の説明文が必要となりますが、現在のところ日独伊西仏英の6言語で9カ国すべてのリリースが可能です。
また、PSMではパブリッシャーがSCEでアプリケーションを卸売価格で卸売りして、SCEがエンドユーザーに販売価格で販売するという仕組みがあります。しかしながら、iOSやAndroidのアプリストアと同じく、プラットフォーム側とパブリッシャー側の取り分は3対7という業界標準と同じような価格設定になっているそうです。
■アプリの審査過程とリジェクト対策、そしてプロモーション
開発者として一番気になるアプリの審査の過程ですが、アプリとそのメタデータを提出した後、審査にはおおよそ5営業日、審査が通過した後、アプリの説明などを付け加えるための配信準備にもおおよそ5営業日必要だそうです。
審査でリジェクトされる理由としては、デバイス間で操作や動作が一貫していないこと、PSMにおける用語のガイドライン違反、画面停止状態が5秒以上続く、アプリが途中でハングアップもしくは強制終了するといった点が指摘されました。それぞれ、事前に用語のガイドラインをチェックする、ローディング時にアニメーションを動かすといった解決方法が紹介されました。
プロモーション及び販売に関する事柄では、PlayStation Storeへの直接リンクを生成する方法などが紹介されました。アプリのプロダクトIDからHTMLコードを生成して、リンクを作成することで、VitaやAndroidのブラウザから直接、PlayStation Storeのアプリへとユーザーを誘導することが可能だそうです。
最後にSCEが主催する開発者イベント「PSM Developer Night!(仮)」が予定されていることが発表されました。SCEとしては、今回のSIG-Indieに限らず、今後も開発者と積極的に交流していきたいそうです。詳細は後日発表する予定。また秀和システムからPSMのSDK入門書が出版されたことも告知されました。この本は懇親会で行われたじゃんけん大会で開発者に10冊プレゼントされました。
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