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【そそれぽ】総力特集:PS4誕生への軌跡、その原点を辿る『頑張れトラックボーイペイロード』をプレイしたよ!

インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそこと津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート【そそれぽ】のお時間です。突然ですが緊急総力特集をお送り致します。

その他 全般
PS4へつながるソニーゲームの歴史。長距離ドライバーの過酷な労働実態
  • PS4へつながるソニーゲームの歴史。長距離ドライバーの過酷な労働実態
  • はじまりは北海道。言われるがままに条件を飲み、荷物を運ばされる
  • トラックを走らせ、いざ目的地へ
  • え、何もしてないのに警察!?サイレンが鳴り響きます
  • 何もないんかい!!荷物を早く運ぶことが重要にも関わらず無駄なタイムロス
  • 南下して山形に入ります
  • 画面茶色い!牛いる!信号さえ無い!ド田舎扱いに各県民激怒すべき(時効)
  • 今回の目的地は神奈川。東京なので目的地まであと一息
インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそこと津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート【そそれぽ】のお時間です。突然ですが緊急総力特集をお送り致します。

今回プレイするのはソニーのMSXソフト『頑張れトラックボーイペイロード』です。

ソニーは、プレイステーションブランドを取り扱うソニー・コンピュータエンタテインメントを設立する以前からもゲーム分野に積極的に参入していました。中でもMSXではゲームソフトはもちろん「HITBIT HB-201」をはじめとするハードの開発・発売にも着手。PS4発売が発表された今、プレイステーション登場以前のソニーのゲームにもゲームメディアとして注目せざるを得ません。筆者の心には、ソニーのMSXソフトのゲームアーカイブス化を望む声が世界中で大きく鳴り響いています。今回は独創的なゲームを世に送り出すソニーならではゲームとして、その代表作のひとつであるZAPとの共作、1985年に発売された『頑張れトラックボーイペイロード』に注目したいと思います。早速プレイしていきましょう。

尚、MSX本体はSONY「HITBIT HB-201」、ジョイパッドはSONY「JOYPAD JS-33」を使用します。


■パッケージ&箱裏の説明をチェック
パッケージに漂うアメリカンな雰囲気。コンボイ的な大型トラックを運転している主人公らしきドライバーは、パッケージにも関わらずポリスメンに取り締まられてしょんぼり顔。左上の地図には「SAGAMIHARA」「MACHIDA」「ATSUGI」。日本なのかーい。

箱の裏にはストーリー的なゲームの概要が書かてれいます。

君は仕事に燃えるトラッカーだ!
日本全国どこへでも、どんな荷物も即配達。
高速道路もマナーを守れば安全だ。パトカーに気をつけて、目的地までカッ飛ばせ。
ガソリン入れたしターボも買った。だけどたまにはひと休み。居眠り運転は禁物だ。
さあ、君も100万点で経営者の仲間入りをしよう。


つまりこのゲームは、2000年代である今、大きな社会問題となりつつある「長距離ドライバー」の成長と苦悩を描く社会風刺的な作品なのです。1985年発売にも関わらず、四半世紀後の世の中の心理をつかんだ、さすがソニー。


■逆!左右が逆!
プレイに使用するのは、後のデュアルショックへと続くソニー製のコントローラ「JOYPAD JS-33」。□←こういう形じゃなくて、◇←こういう形というのが非常に前衛的なデザイン。しかし大きな問題がひとつ。

方向キーが右、ボタンが左に配置されています。

やりにくい!デザインはカッコイイのにやりにくい!でもせっかくなので頑張ってプレイしてみます。このJOYPADから、デュアルショックや、更には先日公開されたPS4のコントローラへとつながっていくのです!


■はじまりの大地、北海道
軽快なオープニングに心躍らせながら、スタートすると、いきなり北海道にいます。きっと主人公は、いろいろな想いを巡らせて、北海道から人生を再スタートし、一獲千金を夢見ているのでしょう。大型トラックを駆り、指定された時間内に、指定された場所へ、指定された荷物を運搬してお金を稼ぎます。

ゲームクリアの目標である「起業」に必要なお金は100万点。おそらく本作でいう「点」は、起業という高い目標、1985年当時からすると間もなく訪れるバブル崩壊を予見して、円ではなくドル。きっとドル。主人公はドルで資金を集めているに違いありません。


■交通ルール、守るか破るか・・・悪魔の声が聞こえる・・・
配送センターから請け負う仕事は制限時間などの無茶振りも多いです。これもまた「長距離ドライバー」の切実な現実を物語っているように感じずにはいられません。しかし、交通ルールを守らなければ警察に見つかり、免許が減点。免許取り消しになってしまうとゲームオーバーです。

しかししかし。見つからなければOKというのも本作の裏の顔。制限速度を越え、ほかに車がいなければ信号を無視し、トラックの重量オーバーだってしなければ・・・主人公に課せられた過酷な使命。どんな手を使ってでも起業してみせるという悪魔に取り憑かれたかのような野望を感じさせます。


■試される大地、秋田とか山形とか
本作には陸路で行けない沖縄を除くすべての都道府県が存在します。今回の目的地はたまたま神奈川だったので、スタート地点の北海道から南下。しかし北海道、青森の「都会」っぽい画面から一転、秋田や山形に入るとなんか全体的に赤茶色っぽい風景に。むしろ信号さえも設置されていない完全なる無法地帯です。青森を「都会」扱いして、秋田や山形を「田舎」扱いするこの微妙なライン引き。当時の県民は怒ってもおk。


■過酷な労働環境
時間内に配達しないとペナルティが課せられ、かと言ってゆっくり休んでもいられない。この過酷な環境をいかに乗り切るかも本作のポイント。もちろんガス欠でもゲームオーバー。目的地の直前、時間に余裕があったので東京のガソリンスタンドでガソリンを満タンに。もちろんガソリン代もバカになりません。厳しい現実。今回は何事もなく無事に神奈川に荷物を運ぶことができました。この配達を繰り返して資金を貯めていきます。


■セーブはもちろんカセットテープに
コツコツとお金を貯めて100万点を目指す本作。かなり長い道のりになるので、セーブ/ロード機能がついています。さあ皆さん、カセットテープを用意しましょう。カセットテープと専用のレコーダーを使って頭中の状態のデータをセーブ/ロードします。ゲームの途中の状態を保存できるなんて、なんて便利な世の中なのでしょうか。


■ドライブインで売っているお酒
完全に確信犯(現代的な意味の方)です。ドライバーしか立ち寄らない店で売られている「お酒」。これを飲むと疲れも忘れてスピードもビュンビュン出ます。が、もちろん警察に見つかったら一発で免許取り消しです。飲酒運転がいかに危険で悪質な行為か、当時からそういったメッセージをゲーム込めている、さすがソニーとZAPです。


■物語に夢がない
配送業者にアゴで使われ、イエスマンにならざるを得ず、無茶な勤務をこなしながらがむしゃらにお金を貯める・・・起業という夢に向かって邁進する主人公ですが、そこに待ち受けているのは、「長距離ドライバー」の過酷な勤務実態。疲れが溜まればハンドルが切りにくくなり、事故を起こせば時間もお金もペナルティ。配送時間が遅れれば最悪の場合報酬もなし。高い高速道路の料金。起業という夢をゲームで追うにはあまりにもネガティブ要素が現実的です。もう少しゲームらしいポジティブ要素やアレンジがあっても良かったのではないかと思いました。


■総評:今日は4月1日
「長距離ドライバー」となり「起業」を目指す社会派ストーリー。2000年代の現実を風刺したかのような世界観を1985年に創り上げていたことに脱帽です。常に流れている軽快なBGMですが、ゲームの本質は長距離ドライバーの過酷な労働実態。そのような未来を予見していたかのようなゲーム内容が心に刺さりました。

ドライブを楽しむ要素よりも、お金を堅実に貯め、無茶と安全という矛盾のバランスを見極めるゲーム性になっています。また、長く楽しむゲーム性ゆえにセーブ/ロードにカセットテープを採用しているアイデアにも好感。10分ぐらいかかる場合もあるセーブ/ロード時間にも目を瞑りましょう。

このようなソフトを生み出したからこそ、ソニーはその後も自由な発想でさまざまなゲームソフト、そしてハードそのものを作っていきます。『頑張れトラックボーイペイロード』がなければ、現在のプレイステーションシリーズは存在しなかったかもしれないのです。

【こんな人にオススメ】
・長距離ドライバーの現実を知りたい人
・山形にいる牛のドット絵を見たい人
・都道府県の名前と位置を覚えたい人
(筆者は本作のおかげで当時幼稚園児だったにも関わらずガチで都道府県に詳しくなりました)


尚、今回の【そそれぽ】にはゲーム内容をよりわかりやすく伝えるために一部過剰な表現が用いられています。偉大なソフト『頑張れトラックボーイペイロード』をぜひプレイできるもんならしてみてくださいね。

【そそれぽ】総力特集、いかがでしたでしょうか?長くプレイできる内容なので、本作のゲームアーカイブス化にも期待ですね。4月1日を満喫!筆者が!次回もどうぞお楽しみに!


『頑張れトラックボーイペイロード』は、現在生産されていません。当時の販売価格は4,900円(税別)でした。

(C)1985, ZAP Corporation
(C)1985, Sony Corporation


■筆者プロフィール
津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
愛内里菜らに楽曲提供をし、VOCALOID音楽のクリエイターとしても有名な作・編曲家。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略SLGから格ゲーまで、幅広いジャンルのゲームをプレイする。
Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity
《津久井箇人 a.k.a. そそそ》
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