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【CEDEC 2012】スクウェア・エニックスが贈る次世代『Agni's Philosophy - FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO』のメイキング

スクウェア・エニックスが今年のE3で発表した『Agni's Philosophy - FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO』は次世代機を意識して、プリレンダリング映像と同等のクオリティの作品をリアルタイム映像として制作したデモ作品です。

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スクウェア・エニックスが今年のE3で発表した『Agni's Philosophy - FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO』は次世代機を意識して、プリレンダリング映像と同等のクオリティの作品をリアルタイム映像として制作したデモ作品です。

CEDEC 2012初日の午後、本映像の制作を指揮したスクウェア・エニックスCTOでテクノロジー推進部コーポレートエグゼクティブ 橋本善久氏、ビジュアルワークス クリエイティブディレクターの野末武志氏、テクノロジー推進部リードアーティストの岩田亮氏の3名が登壇し、「メイキング オブ 『Agni's Philosophy - FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO』~リアルタイムCG映像の未来~」と題した講演を行いました。メインホールで行われた本セッションは大入り満員で注目度の高さを感じさせました。

『Agni's Philosophy - FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO』は3分半のリアルタイムCG作品で、ファイナルファンタジーの世界観を持ち、ハイエンドPCで30fpsで動作する内容となっています。制作の背景としては、次世代ゲーム開発を睨み、現状のプリレンダリング品質のCG映像をリアルタイムで制作した場合、どのような課題や問題点が出てくるか先行体験し、それをワークフロー改善やノウハウ構築に繋げるというものです。

橋本氏が率いるテクノロジー推進部はスクウェア・エニックスのR&D部隊としての位置付けを持ち、次世代ゲームエンジン「Luminous Studio」の制作にも取り組みます。今回の作品も「Luminous Studio」で動作し、制作に当たってはエンジン側にも手が入れられています。その意味で、明確に次世代を強く意識したプロジェクトと言えます。

プロジェクトはプリレンダリングCGを制作してきた部隊であるビジュアルワークスとテクノロジー推進部が共同で行いました。手順としてはビジュアルワークスがまずプリレンダリングで映像を制作し、それをテクノロジー推進部がアセットなどを引き継ぎ、そのままリアルタイムで動作する作品へとリニューアルするというものです。「当初からリアルタイムを意識するのではなくプリレンダリングの映像としても様々な新機軸を導入した最先端のクオリティに挑戦した」(野末氏)とのこと。

制作期間はコンセプト作りと制作にそれぞれ約半年。コンセプトは今回の登壇者の3名が中心になって設計。プリレンダリングムービーとして制作を行いました。それをコンバートしたのはリアルタイムコンバートアーティスト4名、リアルタイムVFXエンジニア4名(シェーダーまわり)が中心で、これに加えて「Luminous Studio」側のスタッフが加わるというような規模感で、「意外に少ない構成」(橋本氏)と言えます。

コンセプトは「Believability」日本語では信ぴょう性、納得感とでも言うのでしょうか。本当の実在する世界のような感覚を与えることです。また、「ファイナルファンタジー」とは何かという原点に立ち戻って、日本人や外国人、男性や女性といった違いに関わらず、受け入れられる映像を目指したそうです。

キャラクターは、主人公のアグニは岩田氏が、召喚士はスクウェア・エニックス傘下で『Tomb Raider』のCrystal DynamicsからBrian Horton氏が手掛けました。環境はシリーズのアートディレクターを務める上国科勇氏やCrystal DynamicsのBrenoch Adams氏、INEI Inc.の富安健一郎氏が手掛けるなど社内外の豪華スタッフを起用しての制作です。随所にこだわりが込められていて、アグニの髪型は実際にヘアメイクさんがマネキンで作成。非常に複雑な髪型が実現しています。キャラクターの造形には3Dスキャンデータを採用。デザイン画の雰囲気に似たアクターさんを探したそうです。登場する虫や召喚獣も非常に多くのデザインから最終版が採用されています。

技術面では同社としては史上始めて(?)犬を使ったモーションキャプチャーを実施。アグニを襲う獰猛なハイエナの動きを再現しました。イメージベースのフェイシャルキャプチャーも利用。同時にモーションキャプチャーも行うという同時撮影を行ったそうです。その他にも髪の動き、表情、モデル、リグ、背景、モーション、エフェクト、ライティングなど細部まで工夫が施されています。このようにしてプリレンダリングムービーは作成されています。

何もプリレンダリングをリアルタイムに変換するという取り組みは今に始まったわけではありません。スクウェア・エニックスでもベースとなる研究を幾つも行なってきました。最初は小規模なもの、続いて大規模なもので。写真から、プリレンダリング、そしてリアルタイムへという変換を人のモデルや駐車場のモデルで行なってきたそうです。そうしてプリレンダリングとリアルタイムの一致点と不一致点を洗い出した結果、光源の反射(リフレクション)以外はおおむね一致し、共有できるという結論に至ったそうです。

リアルタイムに変換していく上で鍵となったのはMayaでの挙動をいかに「Luminous Studio」で再現するかという点です。Mayaで制作したデータはパラメーターも含めてバッチ処理でコンバートされ、即座に「Luminous Studio」に反映されるように整備されました。モデル、アニメーション、エフェクト、コリジョン、ライティング等ほぼ全ての行程はMayaで調整が行われ、それをコンバートするのみです。唯一の例外は前述のリフレクションだけです。全てがコンバートし終わった段階でシーケンスを組み立て、プリレンダリングムービーの場合と同じポストエフェクト処理を入れて完成です。

こうして完成したリアルタイムムービーですが、リアルタイムということで色々な角度から堪能することができます。最後に3名から更にこだわりのパートが紹介されました。

リアルな表現では重要になる髪や髭の表現は「想像よりも良いものに仕上がった」と野末氏。GPUで描画されているため、形状を変更するのも容易です。何種類か髭の種類を変える様子が示されました。

屈折表現も興味深いポイントです。キャラクターの瞳はスフィアに屈折表現を入れたものです。横から見るときちんとレンズ状になっています。また、ポーション(?)の入った瓶の屈折表現では周囲全ての面を計算して映り込みが描画されています。

次世代はパーティクルだ、とばかりに大量のパーティクルが描画されている本作品。召喚獣の肉となる、大量に飛び交う虫はパーティクルで表現されています。その数、実に10万匹。とんでもない数です。それぞれGPUで軌道制御されていて、骨の周りに集まり肉になります。それでも30fpsはキープしたままです。この肉や、アグニが撃たれて流れる血、あるいは瓶の中の液体はメタボールパーティクルです。

橋本氏は「高画質なCGを使った世界を作りあげるための準備が着々と進んでいる」とコメント。将来に期待を持たせました。またスクウェア・エニックスでは「SQUARE ENIX オープンカンファレンス 2012」と題して本映像のメイキングなどを詳細に紹介するイベントを2012年11月23日、24日に開催決定。こちらも合わせてチェックしてみてください。

《土本学》

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