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自由に発言できない「SNS体裁問題」 ― 人はなぜSNSを利用するのか

ゲームビジネス その他

この1年でのSNSサービスの利用頻度・時間
  • この1年でのSNSサービスの利用頻度・時間
  • 自由に投稿できない理由
  • 投稿をためらう内容
  • 精神科医の名越康文氏
  • 「きいてよ!ミルチョ」
  • 「Arrow」
  • 「Close」
 ソーシャルネットワークサービス(SNS)が普及する一方で、「SNS疲れ」や「ソーシャルハラスメント」といった問題も話題になっている。そうした現状を踏まえ、生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、20代~30代のSNSで投稿をしている男女500名を対象に「“SNSの利用と投稿の自由性”に関する調査」を実施。SNSでの投稿意識や実態を探り、現状の課題点とニーズを明らかにするとともに、精神科医の名越康文氏に精神科学的な視点から、SNSをなぜ人は利用するのか、つながり続けることでの課題点について話を聞いた。同調査の調査期間は年3月8日~3月11日で、調査方法はインターネットによる調査(楽天リサーチ調べ)。

■体裁を気にして自由に投稿できない「SNS体裁問題」とは                   

 まず最初に、「あなたが現在も投稿しているSNSは何ですか?」と聞いたところ、Facebookが68.6%と最も多く、続いてTwitterが52.0%、mixiが31.4%となった。また、複数のSNSに投稿している人は50.8%と過半数にのぼった。次に、SNS利用の実態について、「この1年でSNSを閲覧する時間は増えましたか?」と聞いたところ、48.8%の人が「増えた」と回答。半数近くが増えたと答えた一方、「減った」と答えた人は13.8%であった。投稿頻度についても聞いてみると、「増えた」という人が40.8%で、一方「減った」という人は23.6%だった。これらの結果から、SNSの閲覧時間も投稿頻度も増えているようだ。投稿頻度が「増えた」という人に理由を聞いてみたところ、「スマートフォンを使うようになったから」、「友達が増えたから」という意見が多くを占めた。

 SNSを使うことが増えている状況において、投稿の意識はどのようになっているのか。「SNSに投稿する際に、自由に言いたいことを投稿できないと感じますか?」と聞いたところ、58.6%と約6割が「自由に言いたいことを投稿できない」と答えた。その理由について聞くと、「(SNS上でつながっている人に)悪い印象を与えたくないので」という意見が最も多く39.6%、「仕事関係の人に見られているので」が36.2%、「(全然会っていない)昔の知り合いに見られているので」が27.0%という結果になった。今の自分をSNS上で良く見せたい、と体裁を気にしてしまうために自由に意見を投稿できない人が多いようだ。

■仕事の愚痴やネガティブな発言はタブー?

 次に、どのような投稿内容だと投稿をためらうのかを聞いた。その結果、「仕事の愚痴」が最も多く45.4%、続いて「プライベートのネガティブな発言」が40.0%、「友人・知人に対しての批判・文句」が37.6%となった。仕事の愚痴やネガティブな発言はSNSではタブーと感じる人が多いようで、これはSNSで自由に言いたいことを投稿できない理由ともリンクしていると言える。そこで、「ひとりごとや愚痴などを気軽にSNSに投稿したいと思いますか?」とニーズを聞いたところ、「投稿したい」という意見が59.8%と約6割がこうした欲求を持っていることが明らかになった。



■精神科医・名越康文氏に聞く、SNSと心理の関係性                                      
 トレンド総研では上記のような調査結果を受け、精神科医の名越康文氏に、SNSのつながりと心理面ではどのような関係性があるのか話を聞いた。

 名越氏は、「人類の歴史から人間の根源的な願望を考えると、宗教の考えに辿りつきます。宗教の世界観の大多数は、死後は“別の世界”で生まれ変わるか、“この世”でまた生まれ変わるという輪廻転生の考えになっています。これは、死後も広い世界があって、その世界や人とつながりを持ちたいという思いから成り立つのです。つながりたいという思いは人間の根源的な考えです」と分析。そして、「SNSは、身体から飛び出して、もっと広い世界に出たいという長年の人間の根源的な欲求を満たすことのできるサービスです。また、SNSに投稿をすることで、つながりを持ちたいという欲求のさらに次のレベルである、自分が発信したものが他の人から評価をされて価値を確認する承認欲求や、自分に注目を集めてもらえる集中欲求を満たすことができます。だから人はSNSに参加をしようと思うのです」と説明した。

 一方で、「SNSで常時誰かとつながりを持ち続けることは精神的につらさが出てきます。SNSではそこでつけた名前に対して一貫した自己像を保たなくては、と無条件に思うからです。仮にネット上で違う名前をつけたとしても、その名前での人格が一人歩きして、その名前の人格で一貫性を保とうとします。その結果、見ている人を裏切ってはいけない、とか悲観的なことは書けないといったように自由に表現できなくなります」 「SNS上の他者からの影響もあります。1つは『罪悪感』です。相手がレスポンスをしてくれた際に、それに対してリアクションをしてあげなくてはいけない、とか、相手が発信した内容をきちんと見てあげなくてはいけない、というよう気持ちがつきまとってしまうからです。もう1つは活字の影響力です。自分の発言した内容に対してのレスポンスで批判的な内容があった場合、活字は肉筆と違って相手の特徴や心が読み取れないのと、相手の方が正論だという感覚を持ちやすくなってしまいます。そのため、ネガティブな反応があると傷つきやすくなってしまいます」と、「SNS疲れ」や「ソーシャルハラスメント」といった問題に関しても持論を展開。

 その上で、「今、世の中に普及しているSNSは、1人の人がいやなことを言って、もしそれを見た100人のうち90人の人がいやな思いをしたら、怒りの総量が見る間に増大してしまう構造になっています。そのため、怒りの増大が大きくならない形になっているならば、オープンにはつながらないSNSの存在は精神的な文化としても悪くないと思います。また、オフラインの状態でガス抜きの仕方がわからない人にも、このような場があることは必要かもしれません」と、オープンにつながらないSNSの必要性を示唆した。

■他人を気にしないで自由に投稿のできる「つながらないSNS」の紹介                                    
 調査結果や名越氏の話を受け、トレンド総研では、知り合いのごく一部の人とだけ、または、誰ともつながらないといった「オープンにつながらないSNS」のサービスに注目。その幾つかを紹介している。

 サイバーエージェントが提供する「きいてよ!ミルチョ」は、2012年8月末のサービス開始から約半年間で会員数が50万人を突破(2013年2月23日時点)し、1日に10万件以上のひとりごとがつぶやかれているサービス。どうでもいい30文字以内のひとりごとを、ゆるキャラのミルチョに対して気軽につぶやく新感覚のコミュニティサービスで、ひとりごとをつぶやいたり、他の利用者のひとりごとを聞いて「聞いたよ」とリアクションをすることで、ミルチョが50段階以上にわたり成長・進化するなど、キャラクターの育成を楽しむ要素もある。

 Green rompが提供する「Arrow」は2011年5月にサービスを開始し、登録者数が現在7万人、投稿数は1,000万件以上のサービス。「Arrow」の特長は匿名で登録をし、友だち登録などもないこと。そのため誰ともつながることはない。投稿できる文字数は200字までで、発信するとランダムに選んだ世界中のユーザーの誰か1人にすぐ届き、受け取った人は返事を打ち返すが、返信が難しい内容の時は、別の人に返信を委ねる機能もあり、回答できる人までバトンを順送りできる仕組みとなっている。

 REVENTIVEの「Close」は2012年9月にサービスを開始し、投稿数が50~60万件のサービス。自分が大切だと思う人を9人まで登録でき、その9人それぞれとの思い出を共有することができる。本当に仲の良いユーザーだけのクローズドな関係を築くことができ、“決して誰にも邪魔されない、自分のための世界”が作れるとしている。また、登録の際、基本情報やプロフィールも不要。また、自分が相手を友だちに登録しても相手には通知がいかない上に、承認や拒否という機能もない。友だちに登録すると自分の投稿が一方的に相手に発信されるが、相手も自分のことを友だちに登録しなければ、その投稿は相手のタイムラインに表示されず、双方が友だち登録をしていないと互いの投稿は見られることがないシステムになっている。

■「きいてよ!ミルチョ」:http://mirucho.me/dl/index.html
■「Arrow」:http://www.arrow-arrow.com
■「Close」:http://reventive-world.com/Close/外

自由に発言できない「SNS体裁問題」とは?オープンにはつながらないSNSの必要性

《編集部@RBB TODAY》

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