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ビデオゲームとお金が出会った時、日本と西洋における新たなマネタイズシステム・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第24回

人々がゲームにかけることの出来る上限金額を査定出来るPeter Molyneuxの実験ゲーム『Curiosity』の発売を前に、ゲームの異なる文化的コンセプトがマネタイズに影響を及ぼすのか否かについて述べてみたい。

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人々がゲームにかけることの出来る上限金額を査定出来るPeter Molyneuxの実験ゲーム『Curiosity』の発売を前に、ゲームの異なる文化的コンセプトがマネタイズに影響を及ぼすのか否かについて述べてみたい。

ここ十数年で日本及び西欧諸国のゲーム業界は大きく変わった。テクノロジー発展によるこの革新は、ゲームプラットフォームとサポートの多様化を促進させた。そしてこの革新はビデオゲームメーカーに新たなビジネスのフィールド、可能性、手法をもたらした。ビデオゲームのマネタイズは非常に興味深いトピックであると同時に、多数の可能性を秘めている。ダウンロード販売やモバイルゲーム/オンラインゲームの普及によってマネタイズ方法の枠は急激に幅を広めたのである。

■ペイ・パー・プレイゲームと基本プレイ無料ゲーム

昔ながらのゲームということになると、これまでは西洋の市場は物理的な製品であるゲームソフト、つまりいつでも好きなだけプレイできる権利を、消費者に購入させる方法に注力してきた。コンソールや他の非オンラインゲームへのマネタイズアプローチは現在までどこでも類似しており、このシステムは日本と大差ない。しかしながら、日本にはここ西洋よりも成功を収めているシステムもある。これまではアーケードゲームのみに適用されていたペイ・パー・プレイシステムだ。このマネタイズシステムは端的に言うと、各プレイの度にプレイヤーがクレジットを購入することを要求する。西洋市場では80年代前半のゲーム危機 以降この分野を軽視してきたが、このシステムは主に日出ずる国で用いられており、2012年6月にバンダイナムコゲームから日本で独占的に販売された『起動戦士ガンダムバトルオペレーション』に見られるように、ゲームメーカーがこのシステムを、異なる複数のマネタイズシステムが頻繁に出現する日本でも導入しようとしていることは、当然の成り行きだろう。

しかしこのような近代的システムは、アイテム課金型ゲームで使用されることが極めて多い。基本プレイ無料ゲームといっても実際は一部のみ無料であり、プレーヤーをゲームに引き入れ、ユーザーになってもらうという目論見がある。『機動戦士ガンダムバトルオペレーション』もこの課金モデルを適応している。ゲームはPlayStation Network上で無料でダウンロードすることが可能であり、ある一定回数を無料でプレイすることが出来る。しかし、ゲーム内でレベルを高める為にはアーケードゲームと同様、毎回課金を繰り返すこととなるのだ。

■ストレージレンタル

アーケードゲームは大衆向けゲームであるため、欧米にはあまり浸透していないマネタイズシステムがある。実際に、ゲームは特定のプレーヤーのために存在するわけではない。そのため、自身の進行度を保存したいプレーヤーやキャラクターをカスタマイズしたいプレーヤーは自分用のストレージスペース(記憶領域)を持つか、ゲームメーカーのストレージに侵入しなければならない。情報がカード本体ではなく外部サーバーに保存されているという点を除くと、これは第7世代コンソール(Xbox360, Wii, PS3などのゲーム機)とともに姿を消したメモリーカードシステムと似ている。

簡潔に言うと、ゲームセンターのプレイヤーは二つのシステムから選択することができる:

1.進行度をサーバーに保存し、所有するID/メモリーカードからアクセスする
2.進行度を所有するID/メモリーカードに保存する

いずれの場合も、プレイヤーはID/メモリーカード、「ストレージ」、の購入を要求される。人気のあるゲームの例としては『鉄拳6』があり、 最近では西洋への進出を果たした。

このシステムは欧米でも存在するが、PCのオンラインゲームで使用されていることがほとんどである。例えば、『Second life』上でモノを買ったり借りたり出来るのはこのシステムのおかげである。プレーヤーは自身のデータをサーバー上に保存する為に使用料を毎月支払っているのだ。このシステムは現実世界でのレンタルシステムと似通っている為このマネタイズはプレーヤーに受け入れられやすく、ゲームメーカーにとって安定的な収入源となっている。あいにく、ここ最近『Second Life』の人気は劣っているものの、新たなマネタイズ方法を生み出したパイオニアであることには変わりない。

■ゲーム内購入、販売、そして現金売買

『機動戦士ガンダムバトルオペレーション』では、キャラクターの設定プロセスにおいてオンラインで購入可能なアイテムやコンテンツを選択することが出来る更なる近代的なマネタイズシステムが導入されている。これは欧米及び日本でも広く受け入れられているシステムである。これらのアイテムはゲームメーカーによって作成/管理されていることが多く、ゲーム内通貨で購入出来たり、ミッションやタスクを達成した後に得ることが出来る。しかし、このシステムに関しては様々な議論がなされている。

有名なRPGゲームWorld Of Warcraftは膨大なアイテム市場を生み出し、中国や他の発展途上国ではアイテムを販売することで実際に収入を得ようとする人が大量に続出した。そして、過激なプレーヤーは「アイテム販売」を実際に職業としてしまうほどであったのである。

ブリザード社は『Diablo II』において現金売買をベースとしたシステムを、なんと自らの手で導入した。世界中のプレイヤーは、このようなシステムでは豊かな人ばかりが有利になってしまうとクレームを寄せた。しかし、欧米ではこのシステムは続行されたままである。これを受けてアジアでは混乱をやわらげようと動いた。韓国では現金オークションのシステムが排除され、一方日本では珍しいカードやアイテムを獲得する可能性を高める為に課金を続けさせる「ガチャ」問題など現代のゲームとお金を巡る議論を反映した。またゲームに夢中になり過ぎたあまり、レアアイテムを獲得するために莫大なお金を注ぎ込んでしまった人もいる。中には借金をしてまで課金を続けた人もいるようだ。子どもたちが問題に巻き込まれたことを受けて、日本の消費者庁はこのようなゲームの廃止に踏み切った。携帯などでアイテム課金型ゲームをよく目にする時代になったが、この一件を受けて欧米においてもアイテム課金型ゲームの本当の危険性について考え直すべきであると考える。

またプレーヤー自身がアイテムを作成し、ゲーム内で現金と引き換えに販売し、現実世界のプラットフォーム(取引を何パーセントかを収める)を通じてプレーヤー間の売買を管理できるアイテム関連のマネタイズシステムも浸透している。これはパラレルマーケットを回避する方法であり、常識範囲内の手数料が課せられる限りはプレーヤーにとってもメリットがある。このシステムは、公式サイト上のカタログで使えるクレジットを使用したり、アンケートに答えたりレビューを書くことなどの市場調査に協力することで洋服や家具などのあらゆる商品を獲得することが出来る3Dチャット『imvu』に導入されている。

■ゲーム内広告

2011年時点で80億ドル相当の巨大市場を確立したのが、モバイルゲーム市場だ。モバイルゲームの81パーセントが無料であるにも関わらずである。この衝撃的な数字の裏には、ゲーム内コンテンツや購入といったマネタイズが潜んでいる。

『Angry Birds』は多くのモバイルゲームプラットフォームで無料提供されているにも関わらず、広告費のみによって月に100万ドルもの収益を得ている。モバイルゲーム内で数々の宣伝広告が登場することを、スマートフォンユーザーであれば誰しもが知っているはずである。だが、このシステム自体は1978年から存在しており、何も目新しいものではない。しかし、スマートフォン普及率とアイテム課金型ゲームによってこの手法がより浸透性あるものとなった。ゲームが有料ではなく無料であるがゆえに、プレーヤーはこの激しい広告の嵐を受け入れてくれる。

これゆえに、モバイルゲームでは避けることの出来ないポップアップ広告やしつこい加入メッセージが多く登場する。これに比べ、パソコンやコンソールで登場する広告はさほど激しくない。しかし、ゲーム内広告はパソコンやコンソール上のプラットフォームでも着々と進化を遂げている。特に、スポーツシミュレーションゲームでは非常に簡単に広告を発見することが出来る。スタジアムや試合会場は現実のものと同様にたくさんのバーナーで彩られており、ユニフォームにはスポンサーの名前やロゴを記されている。すべてのバナナにDOLEのシールが貼り付けられていたゲームキューブの『スーパーモンキーボール』や、エレクトロニック・アーツのオンラインゲーム『Madden』『NASCAR』『バーンアウト パラダイス』等で10州のみで視聴できた「2008 Barrack Obama campaign」は広く知られている。2008 Barrack Obama campaignでは 「EA SPORT, it’s in the game!」のモットーの理由がついに明らかになっている 。通常EA SPORT社はゲーム内に広告を掲載するのだが、この広告用の起用した政治的キャラクターのはゲーマーコミュニティの批判を浴びた。しかし、後々になって受け入れられたのだった。ゲーム内広告を手掛ける際には、プレーヤーらは現実味を求めていることを忘れてはならない。すなわち、もしゲームの背景がニューヨーク州のタイムスクエアであるならばプレーヤーは広告を受け入れてくれるであろう。しかし、現実とかけ離れた世界を舞台としているゲームにおいて広告はマイナス要因にしかなりえない。

■まとめ

デオゲームの革新とともに新たなマネタイズシステムが多数登場した。全体的には、日本と西洋のシステムは良く似ている。しかし、前述の「コンプガチャ」やアーケードに見られるようなゲーム文化の違いによって、特定の文化では特定のマネタイズシステムしか効果を発揮しない。あとどれほど店舗販売やオンラインゲームの月額課金などの昔ながらのマネタイズシステムが生き残るのかはわからない。もし業界人の予想通り、クラウドゲームによって8代目コンソールを最後にビデオゲームコンソールが滅びてしまうとすれば、上記で述べたマネタイズシステムはさらに重要性を増すであろう。あるいは、最新のオープン・ソースコンソール「Ouya」登場によって、アイテム課金型ゲームが市場を斡旋し、ゲーム業界に大幅な戦略変更が余儀なくされる可能性も大いにある。この件については、また別の機会にお話しようと思う。
《土本学》
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