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ドラコレスタジオ兼吉氏が語る 「メイド・イン・ジャパン」で世界を目指すコナミのソーシャルコンテンツ

株式会社コナミデジタルエンタテインメントでソーシャルコンテンツ事業を担当するドラコレスタジオから兼吉完聡エグゼクティブプロデューサーらに同社の成功の秘訣や今後の戦略についてお話を伺いました。

ゲームビジネス 開発
■技術面について

最後に技術面についても「ソーシャルコンテンツを支える技術」と題して語られました。



『ドラゴンコレクション』の環境はアプリ部分は所謂LAMP環境と言われるようなCentOS 5、Apache2、PSP5+APC、MySQL(InnoDB/MyISAM)、そしてmemcachedといった「奇をてらわない教科書的な構成」だそうです。同社では他にも KVSのmembase やKyoto Tycoon、DB フェイルオーバーのツールではMySQL-MHA、ジョブキユーにはGearman等の採用実績があります。

リリース直後リリース2週間後
リリース1ヶ月後リリース3ヶ月後


制作者としても自信作だったという『ドラゴンコレクション』。ネットワーク構成はロードバランサー1台、2コアのウェブサーバー6台、4コアのデータベースが3台という、当時の同社のタイトルとしては比較的厚めな構成でした。当初は「これでも足りなかったら嬉しい悲鳴だ」と話がされていました。それは直ぐに現実となります。リリース直後から一気にユーザー数を伸ばした『ドラゴンコレクション』。2週間後にはウェブサーバーは8台になり、性能自体も2コアから4コアに増強。ロードバランサーも2台になりました。しかし「この頃はまだ嬉しい悲鳴でした」だったようです。

勢いは止まりません。1ヶ月後には「もはやただの悲鳴に(笑)」。増え続けるトラフィックを捌くため、サーバーも次から次に投入。データベースの分割などプログラム面の改修も行います。最初は数台ずつ追加していたサーバーも20台、30台といったオーダーに膨れ上がることになります。ボトルネックを見つけて改修計画を立てても改修が終わった頃には新たなボトルネックが発見されるような始末。そのような状況が8ヶ月くらい続いたそうです。

ようやく1年くらい経つと、伸びが予測できるようになり、多少落ち着くことができたそうです。現在のサーバー台数については「教えられませんが、サーバーは3桁のオーダー。リリース3ヶ月後のシステムが今では可愛かったなと思えるくらいの規模になっている」だそうです。



ゲーム運営と同様にシステム運用でもPDCAサイクルが非常に重要になります。核となるのはインフラとアプリチームが一体となった定期ミーティング。ここで問題を共有し、改修計画を立てます。当初は障害発生を受けて応急処置を行うという対処療法的なケースが多かったものの、現在ではノウハウや経験の蓄積から事前に問題となりそうな箇所を改修できるようになってきたそうです。

同社の強さを印象づけられたのは、「システムの都合でゲーム側のやりたいことを阻害しない」という意思です。システム担当は「俺たちは絶対に落とさないから、自由なタイミングで運営チームは施策を打つように」と常々言っているそうです。システムの都合でメンテナンス期間が必要な場合も、その際には新コンテンツの投入と合わせてお客様に楽しんで貰える展開を用意しているそうです。

新しい技術にも積極的に取り組みます。内製技術ではFlashをHTML5に変換するソリューションがあります。『ドラゴンコレクション』ではAndroidのFlash搭載端末ではFlashで、そうでないスマートフォンではHTML5でムービー演出を再生しているそうです。これは研究開発から生まれたものではなく、現場で実践のために生まれたもので、それを横展開しているそうです。1つの開発成果は極力共有するようになっていて、その副産物としてエンジニア同士の交流が盛んになるという効果もあったそうです。

最後に会場に集った参加者に対し、「振り返りを言葉にすると楽しい過去ですが、実際にはかなり泥臭く、トライ&エラーを繰り返してきました。ある意味では気合と根性という世界です。しかし、システムでもPDCAサイクルを繰り返すことで高みを目指し、エンジニア集団としても世界一を目指していこうとしています。ぜひ皆さんも一緒にメイドインジャパンを世界に伝えていきましょう」とエールが送られ講演は終了しました。
《土本学》
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