ゲーム開発者向けツール&ミドルウェアの展示会「Game Tools & Middleware Forum(GTMF)」でエピック・ゲームズ・ジャパンは、この最新ゲームエンジンのリアルタイムデモを行いました。同社の下田純也氏は、UE4の特徴はリアルタイムで処理されるダイナミックな光源処理にあると説明。その上でアーティスト・ゲームデザイナー・プログラマのすべてが生産性を向上できるツールだと紹介しました。
作品を生かすも殺すも照明次第・・・。現世代機における映像表現の両輪をなすのが、シェーダーによるリアルな質感表現であり、グローバル・イルミネーションをはじめとしたライティング技術です。特にライティング技術はCGだけでなく、実写映像や写真撮影などでも必須です。しかし、ライトを手で動かせば事足りる実写作品と異なり、CGではちょっとした光源の変更でも、長い計算時間が必要でした。
しかしUE4では、DirectX 11世代以上のGPUと64bitシステムを前提とした設計とすることで、こうした待ち時間によるストレスを、極限まで減らすことが試みられました。ちなみに、この要件に適合する家庭用ゲーム機は今日では存在せず、いわゆる「次世代ゲーム機」向けのゲームエンジンと見なすことも可能でしょう(同社ではUE4をハイエンドPCゲーム向けとターゲットしています)。
下田氏はUE4のエディタ上で構造物を自由に動かして反射光の映り込み具合の変化を示したり、半透明の物体を通して光が透過する様などを紹介しました。また100万個ものパーティクルを室内で舞わせたり、白煙が充満する様などもリアルタイム計算で表現されていると解説。このようにUE4では、いまや家庭用ゲーム機を凌駕したPCのコンピューティングパワーを最大限に生かすことで、光源の変化などを、リアルタイムにエディタ上で反映させることが可能になったといいます。
またUE3では、エディタでの修正をゲーム内で確認する際に、いちどデータをテンポラリファイルにセーブして変換するため、若干の時間が必要でした。これがUE4ではプレイボタンを押すと即座にプレビューが開始されるようになります。これにより修正とテストがシームレスに行えるようになりました。
イベント条件などをエディタ上で設定するためのスクリプト言語「キスミット」もバージョン2となり、ほとんどの内容がGUIベースで設定可能に。さらに選択した構造物に対する設定や処理が、エディタ上でより直感的に把握できるようになりました。このようにUE4ではレベルデザイナーとロジック担当のゲームデザイナーの連携が、さらにシームレスになるといいます。
プログラマー向けには「CodeJump」機能がデモされました。これはプログラマーむけ開発環境のVisual Studioと、UE4をシームレスに統合するものです。具体的にはUE4エディタ上でVisual Studioを呼び出し、コードを書き換えてコンパイルすれば、それが即座にエディタ内容に反映されるというもの。これによりUEとVisual Studioを切り替える手間が一気に解消されることとなりました。
このようにハイエンド機向けの開発環境を一気に飛躍させられるUE4ですが、一方でUEファミリーにはUE3をベースとした無料のゲームエンジン、Unreal Development Kit(UDK)も用意されています。UDKはPCのダウンロードゲームやスマートフォン向けのゲーム開発で使用されており、2010年に公開以来、150万インストールを達成。日本でも話題を呼んだ「インフィニティブレード」や、E3で注目を集めたロボアクションシューティング「HAWKEN」など、数多くのゲームで採用されています。
下田氏はUDKのデモやチュートリアルなどがウェブ上で充実している点をアピールしました(日本語の特設ページもあります)。サンプルデータの横スクロールアクションゲームを開き、ゲームタイプを切り替えるだけで一人称視点シューティングに変更してみせるなど、多彩なゲーム開発に対応する点も示されました。
他にレベルストリーミング機能をもちいて複数人のレベルデザイナーが同じレベルデータを共同開発したり、アーキタイプ機能で色違い、大きさ違いのキャラクターを手軽に量産したり、スタッツ機能を用いてシーン内のモデルのプロパティを一覧表示させたりと、大規模から小規模までさまざまなプロジェクトで活用できるといいます。
他にUE4の発表の影に隠れてしまったものの、UE3の健在ぶりも強調。E3でもUE3を用いた新規プロジェクトが「Gears of War:JUDGEMENT」を筆頭に、25本が出展されたそうです。下田氏は「エピック・ゲームズは社内でゲーム開発チームを所有しているからこそ、ゲーム製作の現場で求められるさまざまな機能をゲームエンジンに即座に導入できる」と優位性をアピールしていました。
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