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【E3 2012】ジョディとアイデンの二つの魂の物語・・・メディアプレビューで明かされた『BEYOND:TWO SOUL』

ソニー PS3

既報の通り、ソニー・コンピュータエンタテインメントは6月4日に開催されたプレスカンファレンスで、新作アドベンチャーゲーム『BEYOND:TWO SOULS』『THE LAST OF US』の2作を発表しました。

これまでのレベルをはるかに凌駕した両作の内容について、E3会場でメディア向けのプレビューが行われましたので、紹介していきます。

『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』で、いきなり全世界をあっと言わせた仏Quantic Dreams。同社が送る新作タイトルが『BEYOND:TWO SOUL』です。テキストメッセージが原則として画面に表示されず、QTE(クイック・タイム・イベント)が多用された映画的な演出、プレイヤーの選択によって自然に分岐していくストーリー構造といった要素はそのままに、随所に新しいアイディアが盛り込まれた期待作となっています。

これまで明らかになっているゲーム概要はコチラ。

・「ジョディ・フォームズ」という女性の、15年間にわたる物語
・ボイスを「JUNO/ジュノ」で若干20歳ながらアカデミー主演女優にノミネートされた、人気女優のエレン・ペイジが担当
・サスペンス・ミステリーの現代劇で、ジョディは警察組織に追われている・ジョディと何らかの関係を持つスピリチュアルな存在、アイデン(AIDEN)が、もう1人のプレイヤーキャラクターとして登場する

『HEAVY RAIN』では4人の主人公によるストーリーが交錯するという内容でした。一方で本作は、ジョディとアイデンという2人の主人公が、状況によって切り替わりながら展開していく点が特徴です。霊体であるアイデンは周囲からは視認されず(犬には吠えたてられる!)、建物の中なども通り抜け可能。ジョディにちょっかいを出すなど、ちょっとしたインタラクションをとることもできます。

さらに人物や物体の放つオーラを視認でき、色によって人物を絞殺したり、憑依して操ることができます。コップやガラスなどの物体を破壊したり、緊急時にはジョディのまわりにシールドを展開して、周囲から防御する強力な力も保持。ただし何らかの理由から、ジョディから一定距離を離れることはできないという設定になっています。

■車内・山中・街中と異なるシチュエーションで続いたデモプレイ
デモプレイはジョディが潜伏する列車内に地元警察が臨検で乗り込むシーンから始まりました。まずは視点がアイデンから始まり、周囲の状況から警察の存在を感知。眠っているジョディに働きかけて目覚めさせると、視点がジョディに切り替わります。警察に見つかったジョディはトイレに逃げ込み、屋上から飛び降りる形で山中へと逃走。この間の演出は基本的にイベントシーンとQTEの連続で映画的につながっていきます。

山中では警察犬に吠えたてられながら逃走し、岩壁をよじ上って山道へとたどり着きます。森の中を滑り落ちたり、岩壁をよじ登るなどのモーションは非常になめらかで、まるでプリレンダーのムービーを見ているよう。モーションは約30種類のアニメーションが、リアルタイムに融合されているとのことで、不自然さを感じさせません。ときおりアップになるジョディの表情もムービー品質に迫る内容で、驚かされます。

山道では早くも検問が始まっていました。ここで視点がアイデンへと切り替わると、警察官に憑依して車を動かし、騒ぎをおこして注意をそらすことに成功。再び視点がジョディに切り替わると、大型バイクを奪って山中の逃走が始まりました。上空からヘリコプターの照射を受け、検問の待ち伏せを受けるものの、アイデンのシールドに守られて無事突破に成功します。

ところが立ち寄った田舎町で狙撃手に狙われ、ジョディは片足を負傷してしまいました。警官隊とSWATに包囲され、絶体絶命のジョディ。折からの雨で疲労困憊といった雰囲気が伝わってきます。ここで視点がアイデンに移ると、憑依と破壊を繰り返し、街を大混乱に陥れていきました。憑依した人物が死亡すると、再び霊体に戻って活動を継続。車を横転させたり、ガソリンスタンドを爆破したり、時計台を破壊したりと、さながら映画「ランボー」のラストシーンのような惨劇が展開されていきました。

ある程度街を破壊したところで、再び視点がジョディに切り替わり、足を引きずりながら逃走を再開。道路に倒れているSWATの隊長に「今度は皆殺しにする!」と捨て台詞を残して立ち去るジョディ・・・。とまあ、ここでデモプレイが終了となりました。

つらつらと書き連ねてきましたが、ポイントをまとめるとこんなところでしょうか。

・ジョディとアイデンのパートが切り替わりながら進行
・イベントシーンとQTE中心のジョディパートと、自由に移動ができ、アクション性が高いアイデンパートの組みあわせ
・レベルが非常に高いモーションブレンドや、豊かな表情によるキャラクターの存在感
・テキストやHUD類が極限まで抑えられた映画的な画面レイアウト
・物理エンジンが多用された街中でのアクション

そのどれをとっても、平均的なレベルを遙かに凌駕しています。ちなみにゲームエンジンやミドルウェア類は使用せず、社内で本作用に開発したとのことでした。

■ジョディとアイデン、二つの異なるパートの融合がもたらすものとは
プレゼンを担当したディレクター兼ライターのデビッド・ケイジ氏によると(『HEAVY RAIN』から引き続き担当)、今回のプレビューはあくまで一部の要素にすぎず、それぞれのシーンでさまざまなゲーム要素が組み込まれているとのこと。ストーリーもプレイヤーの選択で分岐し、あえてアイデンパートでジョディを突き放すような操作をすることも可能とのことです(今回の例で言うとジョディを警察に逮捕させる選択も可能)。

もっとも、こういった新機軸のストーリーゲームを作るうえで障害となるのが「ストーリーが先か、ゲームメカニクスが先か」という点です。映画と同じように脚本、世界設定、キャラクターデザインといった工程から始めると、えてしてゲームデザインが設定に引きずられたり、練り込み不足になったりします。

逆にゲームメカニクスの設計から始めると、メディア容量や納期などの関係から、ストーリーがご都合主義になりがち。一体どっちから始めたのかと質問したところ「 ゲームメカニクスはストーリーを紡ぎ出し、ストーリーがゲームメカニクスをサポートする。両方を有機的に進めていった」との解答でした。

いや、それはわかるんですけど、必ず衝突があると思うんです。どうやって障壁を乗り越えたんでしょうかと重ねて質問したところ、「それこそが僕がディレクターとシナリオを兼務している理由なんです」とのこと。まさに理想のスタイルです。

続いて「ゲームメカニクスはコンテクスト(文脈)を生み、コンテクストがストーリーを創造する。僕らはゲームメカニクスをそれぞれのシーンで変えることができる。人生は有機的で、ゲームのように単純なループサイクルではなく、それぞれの状況でそれぞれの行為がある。そんな風にこのゲームでも、それぞれのシーンで異なるゲームメカニクスを採用したんだ」・・・と熱っぽく語られました。

そんなこんなで思わず注目せざるを得ない『BEYOND:TWO SOULS』。 人によっていろんなフックがあるかと思いますが(ジョディの表情も日本人好みで好感触)、個人的には主観視点のジョディと、客観視点のアイデンという「視点の切り替え」で進むストーリー体験がいかにもゲーム的で、興味を引かれました。

本プレビューでは前述の通りジョディがイベントパート中心、アイデンがゲームパート中心と役割分担があり、アイデンでストーリー上で障害となる要素を排除すると、ジョディのイベントパートが進行する構成になっていました。キャラクターとしての意思はあるが自由な行動が制限されるジョディと、明確な意思を持たないかわりに自由に行動できるアイデン。この二つの魂が紡ぎ出すゲーム体験・・・。もっともケイジ氏が言うように、この構成は本パートならではで、他のシーンでは異なるのかもしれません。

こんな風に新種のバディ(相棒)モノとしても、ナラティブ(物語性)とルドロジー(ゲーム性)の新しい融合例としても、注目せざるを得ない本作。最後に「これは新しい男女のストーリーなのですか?」と聞いたところ、「霊体に性別はないからね」と軽く切り返されてしまいました。発売時期は未定ですが続報に期待しましょう。
《小野憲史》

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