田中氏が強調したのは違法行為、違法な商習慣を正していかなくてはならない、という考えです。「インターネット業界は今後の日本を牽引していく産業と考えられています。そうした業界で、このような違法行為が行われていたことに大変な問題意識を感じています。訴訟を通じてこうした商慣習を是正していきたいと思います」
また、田中氏は圧力はまだ続いていると指摘します。「今回の訴訟について幾つかのSAPさんには事前に内容を説明しました。しかし彼らが言うのは、訴訟に参加すればどんな報復行為があるか分からないということです」結果として訴訟はグリーとKDDIの2社によるものとなりました。「また、ゲーム会社だけでなく、サーバー関連や広告代理店、決済会社、ポータルを含めて様々な会社に対して"グリーさんと取引をしたらディー・エヌ・エーとは取引できないと考えて下さい"という旨の圧力があったと聞いています。中にはグループの一社でも提供した場合、そのグループ全体を排除する、という言葉もあったそうです」
そして問題にしたのは、6月の公取委の排除命令の後も「我々の認識では行為は未だに続いている」(田中氏)ということです。「違法行為と知りながらやり続ける、コンプライアンスに問題がある会社ではないか」
質疑応答では、ディー・エヌ・エーとのコミュニケーションがあったのか、という指摘がありました。「排除命令後に、取締役会が遵守するという旨の決議を行ったという通知が紙ペラ数枚で届いただけで、特にコミュニケーションはありません。我々は被害を受けた側ですので、我々からコンタクトを取るというのは筋が違うのではないかと思っています」(田中氏)
また、「この話を"なんとかして欲しい"とゲーム会社に良く言われました。しかし、我々は違法行為を受けている側なので、被害者に対して犯罪を何とかして欲しいというのと一緒で話す人が違うのではないでしょうか。両方に問題があるのではないかと言われるが全く違います。加害者が一社あり、被害者が何社もあるという構造です」とも述べました。
最後は「我々の業界はグローバルを志向しているからこそ、オリンパスや大王製紙のような形ではなく、グローバルスタンダードでやっていかないといけません。我々が問題にしなければ、"日本ではよくあることだから"と済まされてしまうかもしれません。我々も多くの会社の懸念のように報復が怖いわけではありませんが、日本の商慣行を良くしていく努力をしなくてはならないと思います」と締めくくりました。
(3)につづく
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