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【GDC2011】ゲーム開発者が選んだ2010年のベストゲームとは? 鈴木裕氏がパイオニア賞

ゲームビジネス 開発

【GDC2011】ゲーム開発者が選んだ2010年のベストゲームとは? 鈴木裕氏がパイオニア賞
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GDC3日目の夜、今年で11回目を迎える「ゲームデベロッパーズ・チョイス・アワード」(GDCA)が開催され、西部劇がテーマのアクションアドベンチャー『レッド・デッド・リデンプション』がゲームオブザイヤーをはじめとした4冠に輝きました。

また『アウトラン』『バーチャファイター』などのヒット作で知られる鈴木裕氏がパイオニア賞に、『ポピュラス』『フェイブル』の生みの親として知られるピーター・モリニュー氏が生涯功労賞に輝きました。一方、国産タイトルの受賞は3年連続ゼロでした。

ゲームオブザイヤーに輝いた「レッド・デッド・リデンプション」の開発メンバーたち。パイオニア賞に輝いた鈴木裕氏は、これからもパイオニアとしての姿勢を表明。生涯功労賞に輝いたピーター・モリニュー氏(手前)と、EA創始者のトリップ・ホーキンス氏(奥)


例年お伝えしているとおり、GDCAは国際ゲーム開発者協会(IGDA)の会員による投票をベースに贈られる賞です。欧米のゲーム開発者のリスペクトを集めた賞という位置づけで、受賞作からは業界の動向が透けて見えます。

今年の特徴はなんといってもインディゲームの躍進で、『マインクラフト』が3冠に輝いた点でしょう。併設のイベントで、優れたインディゲームを表彰する「インディペンデント・ゲーム・フェスティバル&アワード」(IGF)でも大賞をはじめ2冠を受賞し、トータルで5冠を達成。GDCAとIGFの二つにまたがって受賞した作品は過去に例がなく、『レッド・デッド・リデンプション』の影がかすんでしまった印象があります。

また同じくインディゲーム出身で、Xbox LIVE アーケードで配信中のパズルアドベンチャー『リンボ』は、GDCA7部門にノミネートされるという快挙を達成しました。受賞こそ一部門でしたが、それがビジュアルアート部門という点も注目したいところ。というのも『リンボ』のグラフィックは墨絵のようなモノクロだからです。『レッド・デッド・リデンプション』『ゴッドオブウォー3』などの大作を抑えての受賞となりました。

IGF(左)とGDCA(右)。同じ会場で続けて行われるが、ライトアップと演出でまったく違う印象を醸し出している。


■GDCA受賞作一覧

オーディオ部門:レッド・デッド・リデンプション(ロックスター・サンディエゴチーム)
デビュー部門:マインクラフト(Mojang)
ライティング部門:マスエフェクト2(バイオウェア)
ゲームデザイン部門:レッド・デッド・リデンプション(ロックスター・サンディエゴチーム)
ダウンロードゲーム部門:マインクラフト(Mojang)
ビジュアルアーツ部門:リンボ(Playdead)
テクノロジー部門:レッド・デッド・リデンプション(ロックスター・サンディエゴチーム)
携帯ゲーム部門:CUT THE ROPE(ZeptoLab)
イノベーション部門:マインクラフト(Mojang)
ゲームオブザイヤー:レッド・デッド・リデンプション(ロックスター・サンディエゴチーム)

アンバサダー賞:ティム・ブレングル、イアン・マッケンジー
パイオニア賞:鈴木裕
生涯功労賞:ピーター・モリニュー

■IGF受賞作一覧

学生部門:FRACT(University of Montreal)
テクニカル部門:Amnesia: The Dark Descent(Frictional Games)
ビジュアルアート部門:Bit.Trip Runner(Gaijin Games)
オーディオ部門:Amnesia: The Dark Descent(Frictional Games)
ゲームデザイン部門:Desktop Dungeons(QCF Design)
携帯ゲーム部門:Helsing's Fire(Ratloop)
Seumas McNally Grand Prize(大賞):マインクラフト(Mojang)
Nuovo Award:Nidhogg(Messhof)
Direct2Drive Vision Award:Amnesia: The Dark Descent(Frictional Games)
オーディエンス部門:マインクラフト(Mojang)

パイオニア賞を受賞した鈴木裕氏は壇上で、ゲームが2Dから3D、ネット機能と、技術進化に伴い不断の進化を遂げてきた点を指摘。その中で自身もまた、常にパイオニアであろうと努力してきたと振り返り、公式にパイオニアとして認めてもらえたと喜びを表しました。現在は「モバゲータウン」「Yahoo!モバゲー」向けにソーシャルゲーム『シェンムー街』を配信中で、ケータイ向けソーシャルの分野では日本が世界をリードしているだけに、ここでもパイオニアとして邁進していくとのことです。

ピーター・モリニュー氏の受賞では、出世作『ポピュラス』の販売元だったエレクトロニック・アーツの創立者で、3DO規格を提唱したことでも知られるトリップ・ホーキンス氏がプレゼンターとして登壇。コミュニティの活性化に貢献したアンバサダー賞では、25年にわたってGDCのボランティアスタッフのまとめ役を行ってきたティム・ブレングル氏とイアン・マッケンジー氏が受賞し、会場からスタンディングオベーションで祝福を受けていました。

「マインクラフト」を一人で作り上げたMarkus Persson氏は都合5回も壇上に上がった。アンバサダー賞を受賞したイアン・マッケンジー氏(左)とティム・ブレングル氏(右)。


IGFとGDCAは同じ会場で連続して開催されるのですが、今年はこの両者の融合が加速しているように感じられました。たった一人で制作され、100万本のセールスを記録した『マインクラフト』を筆頭に、欧米ゲームシーンではインディゲームが大きな潮流を生み出しています。本年度の受賞作からも、こうした潮流への憧れや、成功者に対するリスペクトが感じられます。

ちなみにインディゲームに対応するジャンルとして、日本には同人ゲームがありますが、両者は大きく異なります。同人ゲームの多くはアマチュア制作者の手で作られ、趣味嗜好が強いのに対して、インディゲームは大手パブリッシャーを経由せずに発売される、独立系の商業ゲームが中心です。これまではPCベースが中心でしたが、近年ではスマートフォンなどにも広がり、そこから大手パブリッシャー経由で発売される例も見られるようになりました。

そこにはビジネスに縛られず、好きなゲームを作って自分らしく生活したいという、70年代のサブカルチャーや、ヒッピー文化の伝統も見てとれます。こうした思想がアップルを筆頭に、パーソナルコンピュータ開発の精神的支柱にもなったことをふまえると、インディゲームはアメリカでテレビゲームの新たな可能性を切り開く先兵なのかもしれません。

据え置き機のライフサイクルが長期化する中、数十億円もの開発費をかけたAAA級タイトルと、ソーシャルゲーム・スマートフォンアプリに業界が二分化していく傾向は、今後も続くと思われます。そこからスピンアウトしたインディゲームの開発者が、何を生み出していくのか。来年も注目したいところです。
《小野憲史》

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