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【CEDEC 2010】中国におけるゲームビジネスを俯瞰・・・立命館・中村教授

急成長が続く中国のゲーム市場。長年中国のゲームを研究してきた中村教授が現状を俯瞰します。

ゲームビジネス 開発

【CEDEC 2010】中国におけるゲームビジネスを俯瞰・・・立命館・中村教授
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CEDEC併催の学生向けイベント「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」で1日、立命館大学の中村彰憲氏が「中国ゲームビジネス」と題して講演を行いました。中村氏は中国オンラインゲーム業界がコピーからイミテーション(模倣)の時代を経て、イノベーションの時代に突入したと解説しました。

立命館大学映像学部・中村彰憲准教授


倍々ゲームで拡大を続ける中国オンラインゲーム市場。01年には約40億円だった市場規模も、09年には3500億円にまで成長し、今年度はさらに上回ることが確実視されています。これに対してコンソールゲームの国内市場規模は3300億円で、すでに中国市場は日本を追い抜いたという見方もできます。

このように市場規模だけが突出して語られがちな中国ゲーム産業ですが、中村氏は「政治動向」「経済動向」「社会動向」「イノベーション」という、4つの環境要因を踏まえながら、多角的に分析することが重要だとコメントしました。

中国オンラインゲーム産業規模の推移4つの外的要因で業界の立ち位置を分析


まず「政治動向」について。日本を含む西欧諸国は中国の政治を「共産党の一党独裁」だとみなしがちですが、中国側に言わせると「共産党指導にもとづく多党合作、政治協商制度」となります。ポイントはどちらが正しいかではなく、相手の立場を理解して歩み寄る姿勢が重要だと言うこと。その上で国の政策がビジネスに色濃く反映されることを理解しようと語りました。

幸い中国政府は04年よりコンテンツ産業政策の優遇措置を採っているため、この点では追い風となっています。ただしオンラインゲーム産業では保護政策がとられており、外国製のゲームはライセンスアウトが推奨されているのも事実。世界一のユーザー数を誇る『ワールド・オブ・ウォークラフト』もライセンス運営です。今後も海外企業の自社運営は難しいのではないか、という見解を示しました。

続いて経済成長については、09年度の中国の国内総生産(GDP)が約450兆円となり、日本を抜いて世界第2位になることが確実視されています。一方で都市と農村、さらには都市部でも一歩裏通りに入ると前近代的な建物が建ち並ぶといったように、貧富の差が非常に激しい点も特徴。とはいえ母集団の大きさは、やはり魅力的です。中でも3億7千万軒にも及ぶ中国全所帯のうち、年間152万円の収入がある3700万所帯が、嗜好品や旅行などでお金を使いやすいターゲットだと解説されました。

インターネットユーザーについても、ユーザー数が4億2千万人と、中国は世界一のネット大国となっています。興味深いのはモバイルネットユーザーが2億7千万人もいること。また都市と農村部では、農村部で19歳以下のアクセスが突出していること。ネットの利用状況ではゲーム用途が唯一、農村部が都市部を上回っている分野であること、などの特徴が示されました。これらは中国青少年インターネット行動調査報告(CINIC)などの統計資料に基づくものです。

拡大する平均所得差農村部では青少年のネット利用率が高い農村部では唯一ゲーム利用率が上回った


こうした状況を踏まえて、冒頭の中国オンラインゲーム産業の活況ぶりとなるわけですが、タイトル動向についても変化があったと中村氏は語ります。中国で毎年発表される「10大ゲーム」の変遷を見ると、04年のトップ3を飾った『熱血伝奇』『伝奇3』『伝奇世界』は、同じ源流をたどれるMMORPGです。韓国タイトルの『熱血伝奇』と、その続編『伝奇3』。そして中国国産タイトルですが、『伝奇3』とそっくりな『伝奇世界』。確かに、この時期は「コピーの時代だった」と言われても仕方がないでしょう。

ところが06年には早くも国産MMORPGで、オリジナルタイトルの『征途』がトップを飾ります。日本でも人気の『パーフェクトワールド』も5位にランクイン。一方韓国タイトルは『ダンシングパラダイス』『カートライダー』『ストリートバスケットボール』など、カジュアルゲーム色が強くなります。王道の中国ゲームと、先進的な韓国ゲームという図式です。これに伴い、ビジネスモデルでもアイテム課金が広く受け入れられるようになりました。

08年の『天龍八部』は中華圏で著名な小説家・金庸氏の原作をライセンスした原作付きMMORPG。ゲームエンジンのライセンスや自社開発の動きも始まります。08年は映画『レッドクリフ』がヒットした年でもありました。09年はMOアクションの『ダンジョン&ファイター』、MMORPG『タワーオブアイオン』と、5年ぶりに韓国勢が1,2フィニッシュに輝いた一方で、中国タイトルも2Dスタイルから3Dスタイルへと着実に進化。今年のチャイナジョイでは立体視ゲームも多数出展されるまでになっています。

10大ゲームの変遷ゲーム内容も急速に進化完全無料のSNSゲーム「荘園」


このように、イノベーションの点でも急速に成長が続いています。最新事例として中村氏が紹介したのが「荘園(モール)」という子ども向けSNSゲーム。もぐらが主人公のソーシャルゲームで、健全性をアピールする意味合いもあり、完全フリーゲーム。グッズや関連商品のライセンスで利益を上げる仕組みです。こうしたビジネスモデルは日本でも例がなく、中国が一歩先を進んでいます。

また中国のオンラインゲーム産業を俯瞰する上で、欠かせないのが流通・決済のシステム。中国では日本と異なり、当初PC房を中心にオンラインゲームが普及しました。決済手段もクレジットカードなどではなく、店頭で買えるプリペイドカード。海賊版ではなく正規タイトルが人気を集めるようになると、メディアの露出も増え、専門誌やゲームサイトなどが立ち上がるようになります。このように優れたコンテンツだけでなく、産業を支えるさまざまなプレイヤーの協力で、市場拡大が成し遂げられたと説明されました。

このほか新しい潮流として触れられたのが、ソーシャルゲームの最新動向です。推定ユーザー数は1億500万人で、利用端末は携帯電話が48.7%とトップ。19歳から30歳が中心と、一般のオンラインゲームよりもユーザー層が高めになっています。また日本と異なる点として、RTSなどのリッチなブラウザゲームも人気があること。こうしたタイトルは有料課金率も高いことが示されました。FlashベースでCGレンダリングを多用したゲーム画面は通常のゲームと区別が難しいほど。日本でもヒットする可能性がありそうです。

ソーシャルゲームの潮流リッチなブラウザゲームは課金率が高い望ましいオンラインゲームの3要件


最後に中村氏は「望ましいオンラインゲーム」の要件として「公益性」「民族性」「独自性」を上げ、当局としても、こうしたタイトルの普及で近代化の発展を促したいのでは、と推測しました。オンラインゲームは非常に人気があり、外貨獲得や対外的なアピール力の増進作として高い公益性もあります。一方で民族の団結やナショナリズムの鼓舞といった側面があるのも否定できません。そのためには中国らしい、独自性をもったコンテンツが求められます。

冒頭に戻りますが、中国でオンラインゲームをサービスインするには、国家新聞出版総署をはじめ、政府機関の許諾が必須です。また、厳しい外資参入制限もあります。こうした環境下でビジネスを進めるにはどうしたらいいか。有効な示唆が隠されているのではないでしょうか。
《小野憲史》

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