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画像管理がゲーム開発現場を変える? 痒いところに手が届くウェブテクノロジの新ツール「EsPix Pro」

画像最適化ツール「OPTPiX imesta」(オプトピクス イメスタ)でおなじみの株式会社ウェブテクノロジから、新しく画像管理ツール「EsPix Pro」(エスピクス プロ)のリリースが予定されています。

ゲームビジネス 開発
画像管理がゲーム開発現場を変える? 痒いところに手が届くウェブテクノロジの新ツール「EsPix Pro」
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画像最適化ツール「OPTPiX imesta」(オプトピクス イメスタ)でおなじみの株式会社ウェブテクノロジから、新しく画像管理ツール「EsPix Pro」(エスピクス プロ)のリリースが予定されています。

ゲーム開発現場の画像管理を飛躍的に効率化させるという本ツールの概要について伺ってきました。

■インタビュイー
田中圭一(ソリューション営業部 部長)
小野知之(R&D 1部 部長)
橋本孔明(R&D 1部)

田中氏小野氏橋本氏

―――EsPix Proの概要について教えてください

田中:本ツールは大量の画像ファイルを手軽に「管理・確認・表示」できる統合画像管理ツールです。ゲーム開発では大量の画像ファイルを使用し、マルチプラットフォーム対応や開発バージョンのものも含めると、1プロジェクトで数万個に及ぶことも珍しくありません。

こうした画像ファイルの管理・検索には、多くの場合フリーのオンラインソフトウェアなどが用いられてきました。しかしこれらではそもそも、ゲーム開発で使われる特殊なファイル形式に対応していません。また、安定性やユーザーサポートにも不安がありますし、ゲーム開発に特化した機能追加も期待できません。かといってこのようなツールをゲーム会社が独自に開発すると、非常に手間がかかってしまいます。こうした多くの問題が、本ツールを使えば、一気に解決します。

―――具体的にはどのようなことができるのですか?

田中:「EsPix Pro」は、「EsPix Pro Manager」「EsPix Pro Iconizer」「EsPix Pro Viewer」という3つで構成されています。

小野:まず、「Manager(マネージャ)」はエクスプローラ風に画像をサムネイルで一覧表示し、振り分けや検索など、細かい管理ができる多機能ファイラーです。サイズや色数、画像の幅・高さなど、さまざまな条件による画像ファイル検索が可能で、αチャンネルの有無など、ゲーム開発に特化した条件でも検索や振り分けができます。もちろん、コピーや移動、リネームなど、一通りのファイラー機能も搭載しています。

―――なるほど。「Manager」を入れると、画像の検索がとても楽になりそうですね。

EsPix Pro Managerの画面条件検索ウインドウでは様々な指定が可能

小野:次に、「Iconizer(アイコナイザ)」は、Windows標準のエクスプローラを機能拡張する、Windowsの機能拡張プログラムです。フォルダ表示上で、画像ファイルのアイコンやサムネイルが、その画像の内容表示になります。例えば、フォトショップで使われるPSDファイルや、イラストレータ向けのAIおよびEPSファイル、さらにはゲーム開発などで使われる専用のファイル形式の画像って、これまでサムネイルやビューア表示が簡単にはできなかったんです。

それが可能になることで、いちいち専用ツールを立ち上げて画像を開くことなく、内容を確認できるようになります。

―――それはいいですね。画像を確認する手間が減りそうです。

エクスプローラーでもファイルの中身をアイコン化してくれる

田中:ええ、例えばPSDファイルの場合、いちいちフォトショップを立ち上げるのって、すごく面倒ですよね。

小野:あと、「Iconizer」があれば、画像ファイルのツールチップやプロパティに、サイズ・色数やコメントなどの詳細情報も表示させられます。デジタルカメラのExif情報なども表示させられるので、テクスチャの元素材として撮影した画像ファイルの管理にも効果的です。

―――それは便利そうですね。

小野:最後が「Viewer(ビューア)」で、基本機能を一通り備えた画像ビューアです。もちろんこれもゲーム開発向けの専用画像形式に対応しています。また、プラグインを追加することで開発会社の独自画像フォーマットへの対応もできます。

どんなファイルでも簡単に中身を確認

田中:おもしろいところでは、連番になっているアニメーションパターン画像の再生確認などもできるようになっています。

―――なるほど、それは便利な機能ですね。そういう便利な機能を持った「EsPix Pro」はどのようなところから生まれたのですか?

田中:以前、弊社では「SPiCON」「QVDLL」「GetPHOTO!」というシェアウェアを販売していましたが、既にこれらは販売を終了していました。そこで、こうした過去のソフトウェア資産を統合・再利用できないかという流れがありました。一方でゲーム開発各社さんから「画像管理の決め手となるツールがない」というご要望もいただいていました。だったら、この2つの流れを統合しようと。

小野:簡単に説明すると「SPiCON」がエクスプローラのアイコン表示強化、「QVDLL」が画像ビューア、「GetPHOTO!」が画像ファイラーのようなものでした。

また一方で「OPTPiX」シリーズは、ゲーム開発用の画像最適化ツールとして、開発専用ファイル形式に対応したローダーのエンジンが蓄積されていました。これらの資産も取り入れ、「EsPix Pro」の基本構成が固まりました。

田中:それで2月に福岡で開催された「Game Tools & Middleware Forum」(GTMF)で初めて開発について発表したところ、予想以上に反響がありまして。あんな機能も欲しい、こんな機能はないのか、なんて要望が多数寄せられました。

―――GTMFに参加される方は意識が高いので、要望も多いのですね。

田中:当初は「OPTPiX imesta 7」にバンドルすることのみを考えていたんです。ところが「EsPix Pro」の単体販売についての問い合わせや質問を多数いただきまして単体での販売も検討することになりました。

―――発売はいつですか?

田中:年内のリリースを予定しています。また、開発現場以外に、広報や宣伝、ウェブ制作など、幅広い業務でニーズがあるのではと思っています。なので、できるだけ多くの方に使ってもらえるように販売形態や内容を考えたいですね。

―――開発で苦労された点はなんですか?

橋本:やはり、安定化と高速化の部分でしょうか。特に「EsPix ProIconizer」は通常のWindowsアプリケーションではなく、OSの拡張機能(シェルエクステンション)プログラムとして動作します。デバイスドライバと同じく、このプログラムが不安定になると、OS全体の動作に影響が出てしまう、非常にデリケートな構造をしています。そのため、目立たないところですが、実は高い技術力が必要となるジャンルなんです。特にゲーム開発者というプロ向けのツールなので、本ツールをインストールすることでWindowsの動作が重くなったり、不安定になったりすることがないように最大限の配慮を行っています。「EsPix Viewer」についても軽さを重視して開発しています。

―――どの程度のファイル数をカバーできますか?

橋本:弊社でのチェックでは、1フォルダ内に1万個以上の画像ファイルがある環境でも安定動作を確認しました。

あと、各種の動画ファイルや、FlashのSWFファイルについても、それぞれのプレーヤーやコーデックをインストールしてあると、それらを利用してサムネイル化が行えるようになっています。

―――それはすごいですね。今すぐ、僕が欲しいくらいです。

田中:ありがとうございます。デジカメのRAWファイルのサムネイル表示も可能です。そのため出版や放送など、幅広い分野でご利用いただけるのではないでしょうか。

―――とても良くわかりました。他に特徴的な機能はありますか?

田中:はい。弊社の「OPTPiX imesta 7」と連動して、「EsPix Pro」での検索したファイル群を「imesta」側に送って、画像処理を一括で行わせる機能も実装予定です。このほか使い勝手を良くするための改良も、リリースまでに続けていきます。たとえば開発中で似たような画像ファイルが何種類もあった場合、どれが最新版なのか視覚化できるように、サムネイルにカラーの☆アイコンをつけられるようにする、などです。

―――それはいいですね。ちなみに本ツールは、サーバ上でASPやクラウド的に使用したり、ネットワークごしでの運用も可能ですか?

田中:いえ、ローカルのPCにインストールして使っていただく形で、現状ではネットワーク上での運用は想定していません。しかし、今後のアップデートでそうした機能も追加していきたいですね。また現在、アセット管理システムの「Alienbrain」との連携にも対応させる予定です。

橋本:「EsPix Pro」ではエクスプローラ内の表示を拡張しますが、「Alienbrain」内でのファイル一覧表示も拡張できるようなイメージですね。さらにビューアで直接読み出せるとか。「Alienbrain」上でも、ゲーム開発専用形式の画像の内容を表示できるようにしたいと考えてい
ます。

―――「Alienbrain」を使用している方には良いニュースですね。

田中:これに限らず、他のソフトとの連動も続けていきたいですね。ただ、何はともあれリリースして、お客様からご要望をいただいて、それにあわせてどんどんアップデートして機能強化をしていきたいと思っています。

また、ゲーム開発ツールというものは、新しいゲーム機の登場と共に移り変わっていくものですが、画像ファイルの管理というニーズは当面は不変だと思っています。なので、できるだけ幅広い方々に末永く使っていただけるように、努力していきたいですね。

―――ありがとうございました。
《小野憲史》
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