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【Shoot It!】第65回 セキュリティソフトはいったい何をしているのか?

セキュリティソフトを使いたい。しかし、ゲームが動かなければ意味がありません。

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セキュリティソフトを使いたい。しかし、ゲームが動かなければ意味がありません。

PCユーザーにとってインターネットからの脅威は増大しています。かつてはシステム破壊系のウィルスが多く、被害はPCデータに留まりました。しかし、現在は個人の個人情報、銀行預金、クレジットカード情報を狙い撃ちするプログラムが多く、存在を隠匿したり、公式サイトと詐称したりして、深く、密かに活動するそうです。それを防ぐ手だてがセキュリティソフトですが、過剰な防衛機能によってゲームソフトの動きを阻害したり、データの流通を制限するものもあります。PCゲームプレーヤーから見れば、そんなセキュリティソフトは悪質なプログラムよりも邪魔な存在に見えてしまいます。悪質なプログラムがPCの中で何をしているかわかりません。しかし、同じように、セキュリティソフトが何をしているのかもわからないのです。いったい、セキュリティソフトは僕らのPCの中で何をしているのでしょうか。とくに、常駐モードで何をしているのか知りたいです。

トレンドマイクロにその率直な疑問をぶつけてみたところ、詳しいことは公開できないという話でした。すっきりしませんが、これは正しい見解だと言えます。セキュリティの手口を明かせば、それは悪意のあるプログラムの作者に利用されます。鍵屋が鍵の仕組みを公開したら、簡単に合い鍵を作られてしまうことと同じですね。しかし、そうはいっても手がかりは欲しい。そこで、一般論としてでもいいので、という条件で、公開できる範囲で教えてもらいました。

リアルタイム検索では、基本的にファイルのオープンとクローズをすべてチェックしているそうです。ただし、必ずしも「常に、すべてを」ではないそうです。一定の基準を満たし、安全と判断したファイルや、ユーザーがホワイトリストに加えたファイルについてはチェックを省略し、検索の効率を上げています。また「ファイアウォール機能やネットワークウイルス対策のために、ネットワークの通信を常にチェックしています」とのことでした。ネットワークを流れるパケットをいったんセキュリティソフトに取り込み、チェックし、放流するという仕組みです。なるほど、いかに高速に処理されたとしても、コンマ何秒かで勝負する対戦ゲームにとっては、遅延の原因になってしまいます。もちろん、インターネットには様々な環境があり、他にもPING値を高める要因はたくさんあります。それに比べてセキュリティソフトによる遅延は些細なレベルかもしれません。しかし、可能なら限界のまでPING値を下げたい、これは対戦ゲーマーの正直な気持ちです。

パフォーマンスを上げたいゲーマーのために、トレンドマイクロからは次のようなアドバイスをいただきました。対策方法として、信頼できるゲームソフトをセキュリティソフトのホワイトリストに登録すること。もうひとつは、信頼できるゲームソフトが使用する通信ポートを、セキュリティソフト側で解放すること。これでパフォーマンスは改善するはず、だそうです。なるほど、簡単ですね。……いえ、実はそうでもありません。

「ゲームソフトを登録する」といいますが、ほとんどのゲームソフトは複数の実行ファイルによって動作しています。メインのプログラムがあって、それが通信機能も担っているなら簡単な話ですが、メインのプログラムが、随時サブプログラムを起動していくような構造のゲームでは、どれをホワイトリストに入れていいのかわかりません。すべて登録すればいいわけですが、かなり手間がかかります。ゲーム用コントローラのなかには、あらかじめ個別のゲームについてプロファイルを用意している製品もあるので、同様の方法で設定ができたらいいな、と思います。

「通信ポートを開放する」については、ゲームソフトによっては使用するポートを公式サイトやマニュアルで公開しているタイトルもあります。しかし、FPSに多く見られる「日本語マニュアル付き英語版」といったゲームの場合は、英文の公式サイトを参照する必要があります。あるいはそのゲームのファンサイトや掲示板で情報交換して知るという形になるでしょう。ポートが公開されていないゲームの場合、通信ポートを調べるにはPCやネットワークの知識が必要です。

そもそも、ゲームはもっと手軽に遊べるべきものであるはずなのに、こんなに面倒な作業が必要でいいのでしょうか。これは、PCゲーム市場の成長を阻害する遠因になるのではないかと心配です。

ここから先は私のトラブルに照らし合わせて考えてみます。もし、セキュリティソフトがゲームプログラムを阻害しているとすれば、ゲームを起動する間だけでもセキュリティソフトの常駐を解除すればいい。ゲーム終了後にセキュリティソフトを再起動し、随時ウィルス検索を実行する。リアルタイム検索ほど強固ではありませんが、次善の策としてはこれでいくしかない。しかし、私のPCとセキュリティソフトの組み合わせでは、タスクトレイのアイコンを右クリックして常駐を解除しても改善されませんでした。そして、msconfig.exeで起動時のセキュリティソフト関連の常駐ソフトを解除することで解決しました。つまり、一般的な操作で常駐を解除しても、セキュリティソフトの何かがバックグラウンドで作動していて、それが邪魔をしていることになります。つまり、ユーザーが常駐を解除するという意志を示しているにも変わらず、その意志を無視しています。お行儀が悪すぎます。

「セキュリティソフトの常駐を解除しても何かが作動している。それはなにか」

ここから先は個別のユーザーサポートの範囲で一般論ではありません。私はこの疑問をセキュリティソフトのメーカーに問い合わせました。すると「プログラム本体は終了しているが、ドライバは動作している」という回答でした。どうもこの「ドライバ」が怪しい。しかし、このドライバが何をしているかについては「Windowsの仕様に合わせたもの」というだけです。私の症状について詳しく報告し、そのメーカーの実験環境で試していただきました。結果は「再現せず」とのことでした。PCはハードウェア構成やインストールソフトなどによって、個別の環境が一通りではありません。これは非常にレアなケースであり、相性問題でもあるようです。こうなると、残念ながら原因の特定はできず、一概にセキュリティソフトが悪いとは言えません。

結局、私の環境での解決方法は「ゲームを起動するときはmsconfigでセキュリティソフトを排除し、Windowsを再起動する」でした。面倒ですが、ゲームが起動しないという症状は回避できましたし、セキュリティについては今まで以上に気を使うことでなんとかなりそうです。あとは、今後同じ症状に陥った人が解決の道を辿れるように、情報を共有していく方法を考えていきたいです。稀少な事例とはいえ、この記事がお役にたてれは幸いです。

……と、セキュリティソフトとゲームに関する話をまとめるつもりでした。しかし、このあと、この問題は新たな展開になります。ゲームやEスポーツの話から遠ざかっていますが、どちらにとってもセキュリティは重要な話なので、読者の皆様にはもうしばらくお付き合いください。
《杉山淳一》

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