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【E3 2008】ウィル・ライトが語った、EA Press Briefing:Featuring ウィル・ライト

EAに集結する欧米の敏腕ゲームデザイナーたち: EAは名実ともに電脳アーティストの集団となるのか!?〜ウィルライト編〜『Spore Creature Creator』リリース後の心境を赤裸々に語る!        

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EAに集結する欧米の敏腕ゲームデザイナーたち: EAは名実ともに電脳アーティストの集団となるのか!?〜ウィルライト編〜『Spore Creature Creator』リリース後の心境を赤裸々に語る!        

エレクトロニックアーツ(EA)は、E3 Media& Business Summit 2008開催の前日である7月14日(月)15時より、オーフィウム・シアターにてEA Press Briefingを開催しました。

オーフィウムシアターが建設されあのは1926年と古く、むかしから、著名な歌手によるコンサートが開催されたり、最近では米国で話題のテレビ『アメリカンアイドル』の放映や、映画などのロケ撮影がおこなわれるなど、まさにハリウッドを彷彿とさせる場所のひとつです。

このような場所で行われた、「EAの歴史の中でかつてない大規模なPress Briefing」で中心となったのはスバリ「ゲーム」と「ゲーム開発者」でした。ここでは、その中でも特に興味深かったウィルライトをフィーチャーします。

『Spore Creature Creator』は予想を遥かに上回る好調ぶり
 
『Spore』はそのゲームコンセプトがゲームデベロッパーズカンファレンスで紹介されて以来、本サイトでも継続的にフィーチャーしてきましたが、ついに今年の9月にリリースされます。

それに先駆けて、同作品でプレイが可能なクリーチャーを手軽につくりあげられるツール『Spore Creature Creator』(以下、『Creature Creator』が先行リリースされました。このような中、今回のPress Briefingで、ウィルライト氏(以下、ウィル)は自分自身がいかなる発想から『Spore』のゲーム開発に至ったについて簡単に説明しました。

ウィルによれば、彼は、科学に対する情熱を子供のときからもっており、実験に対し、多大な関心をよせていたとのことです。特に好きだったのが化学薬品セットで、当時に知識は非常に限られてはいたものの、実験室を煙だらけにすることなどを夢見ていました。この気持ちをウィルはずっと持ち続けていました。

科学とクリエイティビティの融合が『Spore』開発の要

この秘密の研究所を持つという夢に対する思いを、ウィルは『Spore』開発にぶつけていったといいます。最終的には作品名ではなく一連のブランドととして育てたいと思っている『Spore』ですが、ウィルは、このゲームをデザインするにあたり、『科学』と『クリエイティビティ』が統合される場を発想の起点として考えたとのことです。『科学』はこれまでエンターテインメントがテーマとして扱うことがすくなかったジャンルですが、ウィルはそれを成功させるための鍵として『クリエイティビティ』という場とミックスさせることを思い立ったのです。これを達成するための『Spore』そのもののリリースをするまえに世に出すものとして、ウィルは『Creature Creator』を考えつきました。

想定以上の人気を集めたという事実にウィルは驚きを隠せない様子でした。米国でリリースしてからPCゲームランキングのトップを独走しているのです。これに加え、無料ダウンロード、有料ダウンロードもかなりの数に達したとのことです。特に驚かされたのが、これらの開発ツールを
つかって積極的にユーザー独自のクリエーチャーを開発していることでした。正しいツールさえ、提供してあげれば、ユーザーは創造性を発揮できるとあらためて実感したとのことです。

ウィルをはじめとするMaxisとしてはこのようにクリーチャー開発キットを先行でリリースすることで本作である『Spore』の発売前にゲームで活用できるクリーチャーのータベースをつくりあげられると思っていました。

ウィルはもともとのこの手法を『シムワールド』でも採用しており、実際の『シムワールド』がリリースされる前に、ユーザーによって10万もののオリジナルコンテンツがつくられたとのことです。そこで、『Spore』の場合も同程度の目標を、良くても1年で100万コンテンツが生まれればと見込んでいたのです。ですが、実際は、たった、22時間で10万コンテンツを突破し、1週間で100万コンテンツを越えてしまったのです。

これについて、ウィルは文字通り「ぶっ飛んだ」と驚きを隠せませんでした。現在、170万以上のクリーチャーがアップロードされており、一番興味深いと思ったのは1週間前に、全地球に存在する150万強の種族を上回る数のクリーチャーが登録されたということです。

神の創造力に限りなく近づく『Creature Creator』のユーザーたち?!

ウィルはさらにこれを分析し、聖書に示されている神が地球上の全種族を創造するのにかかった時間を7日とし、『Creature Creator』ユーザーが同数の種族をアップロードするまでにかかった時間を18日とすると、ユーザーの世界創成能力は神の38%相当にあたるのだと分析しました。この神(GOD)のかしら文字を大文字のGとして、ユーザーの創造性の値を、.38Gとしめすことにしたとのこと。最終的に商品ローンチ時までにユーザー全体の創造能力は1Gまで引き上げられ、1年後には3Gまでのびる可能性があると分析しています。もうここまでくると哲学の領域ですね。

さらにユーザーが作成したコンテンツで驚きを隠せないのが、明らかにロボットをデザインできる余地などなかったはずなのに、創造性を発揮して、ロボット的なクリーチャーをデザインしてしまったということです。これ以外にも、ヒューマノイド的なもの、ファンタジー色の強いもの、ちょっと不気味なもの、そして、クリーチャーではなく乗り物など、自分たちがつくりたいと思っているものすべてをユーザーがつくっているのには非常に驚かれたようです。

ウィルはこれら、自分たちがつくりあげたものを他の人たちに見せたいという需要が生まれる事を想定し、Youtubeへ手軽にアップロードできる仕組みも開発してありました。Press Briefing、までに、85000以上もの動画がアップロードされたとのことです。この他にハリウッドの鬼才、デービットリンチ監督や、『ロードオブザリングス』のフロドー役で知られるエライジャ・ウッドも独自のクリーチャーをつくりあげているとのことです。

前述の『科学』というコンセプトも決して忘れてはいない証拠として、ウィルは、『ナショナルジオグラフィック』チャンネルからの依頼のもと、ドキュメンタリーを作成したことを紹介しました。進化論の研究者が『Spore』を活用している点を映しているとのことです。このドキュメンタリーは、『Spore』のギャラクシー版に同梱されます。

この他にSEITIプログラムとのコラボレーションを計画しているようです。また、『Creature Creator』から見える、『Spore』の利点として、手軽さも指摘しました。父親と母親が『Creature Creator』をつかって何かをやっている様子を見た子供たちが、見事にはまり、これまで見向きもしなかったコンピュータを積極的にさわるようになったということです。つまり如何に気軽に触ってもらえるかということが、『Spore』の重要な特性であるとしたうえで、『Spore』が成功するには、前述の科学とクリエイティビティに加え、扱いやすさ、つまり『Accessibilities』も重要であるとしました。

『Spore』本体がリリースされるまであと2か月。すでに話題が豊富な同作品は発売前にして成功している部類と言えますが、だからこそ、ここで気を抜かず、現行レベルでの話題を維持できるように努力をするべきなのですが、実際プレイしてから各ユーザーが如何なる体験を記憶にとどめるかはゲームデザインとしての力量に依るとも言えます。『シムワールド』の成功事例があるとはいえ、『Spore』を成功へと導いていくのはまさにこれからだということだと思います。『Spore』が一体どんなゲームになるのか、筆者自身も待ちきれませんが、とりあえずは、『Creature Creator』を遊び尽くすことにします!
《中村彰憲》
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