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Shoot It! - #058 北京五輪の公認Eスポーツイベント、不発の危機

北京オリンピックの開催まであと2か月に迫りました。Speedoの水着に注目が集まっていますが、Eスポーツファンにとってはオリンピック公式イベント『デジタルゲームズ』の開催が気になるところ。6月7日に公式競技種目が10タイトル、エキジビションゲームが2種目と発表され、11日からはエリアごとの選考試合が始まっています。ちなみに北京オリンピック開催期間中はオンライン決勝大会が開催されるのみ。オフラインイベントはオリンピック閉会から2か月後です。

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Shoot It! - #058 北京五輪の公認Eスポーツイベント、不発の危機
  • Shoot It! - #058 北京五輪の公認Eスポーツイベント、不発の危機
北京オリンピックの開催まであと2か月に迫りました。Speedoの水着に注目が集まっていますが、Eスポーツファンにとってはオリンピック公式イベント『デジタルゲームズ』の開催が気になるところ。6月7日に公式競技種目が10タイトル、エキジビションゲームが2種目と発表され、11日からはエリアごとの選考試合が始まっています。ちなみに北京オリンピック開催期間中はオンライン決勝大会が開催されるのみ。オフラインイベントはオリンピック閉会から2か月後です。

まずは『デジタルゲームズ』の種目を紹介しましょう。競技種目の内訳はFPSが2、RTSが4、スポーツが2、格闘が1、ドライブが2。エキジビションはスポーツが2種目です。オリンピックの場を配慮したようでスポーツゲームが目立ちますが、意外にも、人を撃つFPSや戦争を扱うRTSも採用されました。

FPS種目では、国際大会の定番とも言うべき『カウンターストライク1.6』と『コール・オブ・デューティ4』。どちらも5対5のチーム戦で、ルールは爆弾設置/解除です。『カウンターストライク1.6』は2003年の登場から5年以上も親しまれている定番のタイトルです。一方、『コール・オブ・デューティ4』は2007年に発売された最新作。この5年間でゲームもPCも進化しましたし、なによりプレーヤー層が違うことでしょう。なお、1対1の個人戦FPSは採用されませんでした。競技者がプロゲーマーに偏ってしまうからでしょうか。個人戦FPSはプレイテクニックの神髄を見せてくれると思われるだけに残念です。

RTS(リアルタイムストラテジー)は4タイトル。2003年リリースの『ウォークラフト3 フローズンスローン』はRTSの定番タイトルとして世界中のプレーヤーから支持されています。最新作の『コマンド・アンド・コンカー3 Kane’s Wrath』も採用されました。こちらは今年3月に発売されたばかり。この数か月でどれほどのプレーヤーが戦術を極めたのか注目です。

特筆すべきは3タイトル目の『ウォークラフト3 Defense of the Ancients』です。これはウォークラフト3のMOD(改造データ)のひとつで、5対5のチーム戦です。『カウンターストライク』が『ハーフライフ』のMODとして作られように、『ウォークラフト3』でも同様にユーザによるMODが広まり、新たな楽しみ方として定着しつつあります。Eスポーツプレーヤーにはチーム戦に人気があるのかもしれません。4タイトル目の『スタークラフト ブルードウォー』は、競技種目の発表後に急遽追加されたタイトルです。韓国で人気の『スタークラフト』の追加は、韓国プロゲーマーの参加をうながす意図があるのかもしれません。

スポーツゲームは競技種目として『NHL 08』と『NBA Live 08』が採用されました。さらにエキジビションとして『FIFA 08』、『MLB 08: The Show』もあります。NHLは北米のプロアイスホッケーリーグを題材としたゲーム。NBAは北米のバスケットボールリーグ、MLBは野球です。これにアメリカンフットボールのNFLが加わるとアメリカの4大メジャースポーツリーグが揃いますが、NFLではなくサッカーのFIFAが採用されました。世界的な大会という意味では納得できる選択です。ちなみに事前のアンケートではFIFA 08が8位。NHLが26位。NBAとMLBはランク外でした。オリンピックスポーツとの関連づけを考慮した選択であることがうかがえます。

格闘ゲームはナムコのソウルキャリバー4が採用されました。この夏に発売される予定のタイトルです。デジタルゲームズのタイトル紹介によると、ナムコバンダイゲームズはデジタルゲームズの母体であるGGLと協力関係を結んだそうです。日本製ゲームだけに日本人選手の参加を期待したいところですが、いまのところ日本国内の予選会などは発表されていません。

最後はレースゲーム。『バーンアウトパラダイス』と『トラックマニア ネイションズ』が採用されました。他の国際大会では『ニードフォースピード』シリーズが定番ですが、GGLとしてはアメリカ的なアクションレースを望んだようです。アンケートでは『トラックマニア ネイションズ』が6位で大人気となっています。『バーンアウトパラダイス』はXbox360とPS3用が今年2月に発売されたばかりですから、PCと家庭用ゲーム機のバランスで選ばれたと言えそうです。

■ 競技種目は決まったが……

競技タイトルも決まり、それぞれのプレーヤーたちが北京を目指して挑戦を始めた……と思いきや、公式サイトやEスポーツコミュニティサイトを見ると、どうも盛り上がりに欠けているようです。スケジュールとしては、7月27日に予備予選終了。8月18日にオンライン決勝開始、9月14日にオンライン決勝終了、10月27日にライブイベントとなっていますが、公式サイトで具体的な予選エントリーについて詳しく紹介されておらず、全体的に情報が不足しており、関心を持たれていないようです。

デジタルゲームズの母体であるGGLのポータルサイトは600万人の会員数を持っていますが、肝心のデジタルゲームズ公式サイトの登録者数は原稿執筆時点で北アメリカ224人、南アメリカ41人、ヨーロッパ562人、アジア38人、アフリカ8人に留まり、全世界でも1000人に届きません。ちなみにアジアの38人の中には私もカウントされています。選手としてではなく、情報を得るために登録しました。他にもそういう登録者がいるとすると閑散としすぎています。

また、海外のEスポーツコミュニティサイトからは、主催者側の非公式コメントとして、「オリンピック精神に則って優勝賞金などはなし。ライブイベントに参加するための北京への交通費は参加者負担」という情報も伝わってきます。これが事実だとすると、ライブイベントはスポンサーがいるプロゲーマーなど限られた選手しか参加できないでしょう。このスタイルでオリンピックと連動と言えるでしょうか。世界にEスポーツをアピールできる機会だけに、ぜひ成功して欲しいのですが、このままでは不発に終わりそうです。

この、北京オリンピック公式イベント『デジタルゲームズ』の開催主旨や経緯については『Shoot It!#052 北京オリンピック公認のEスポーツ大会!』で詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。
《杉山淳一》

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