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Shoot It! - #056 - さよならLEDZONE蒲田店、でもCS NEOは終わらない

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Shoot It! - #056 - さよならLEDZONE蒲田店、でもCS NEOは終わらない
  • Shoot It! - #056 - さよならLEDZONE蒲田店、でもCS NEOは終わらない
2008年4月23日。LEDZONE蒲田店の最後を見届けました。閉店というからには閑古鳥かと心配しましたが、店内は歓声が響き渡っていました。顔なじみのスタッフさんに挨拶。かつてのスタッフさんやよく見かけた常連さんとも懐かしい再会です。誰かが「今日で終わりなんて信じられない。明日もこのままやっていそうな気がする」と言いました。ほんとうにその通り。仲間と、あるいは初めて隣同士になった人と盛り上がれる場所です。このまま続けばいいのに、と誰もが思っているに違いありません。ここはカウンターストライクNEOのプレーヤーにとって心の拠り所。発祥の地。まさに聖地でした。

LEDZONEの思い出はいくつもあります。まずはその立ち上げの時。ナムコが『カウンターストライク』専門のネットカフェを作るらしいという噂を聞きました。PCゲーム市場が小さいと言われる日本で、PCゲームをメインコンテンツとする施設を作るという驚き、それをゲーム業界の老舗であり大企業であるナムコが手がけるという驚き、しかもその分野が、日本では根強い人気を持ちつつもユーザーの少ないFPSという分野だという驚き。これらの驚きはたちまち不安に変わっていきました。唯一の好材料は、タイトルが世界的でもっとも人気のある「カウンターストライク」だったことです。このタイトルなら、ナムコの力で流行を作れるかもしれません。

カウンターストライクは、元々PC用のFPS(一人称視点対戦アクションゲーム)、「ハーフライフ」のMODでした。MODと改造プログラムのことです。「ハーフライフ」はアメリカのValve Softwareが開発したシューティングゲームです。「人里離れた場所にある研究所がモンスターに襲われ、主人公はそのモンスターを退治しながら謎に迫っていく」というストーリーです。そのゲームの基本部分を使い、ユーザーの手によって「テロリスト対特殊部隊のチーム戦」という新しいルールとマップを与えられたゲームが「カウンターストライク」でした。

カウンターストライクは「ハーフライフ」ファンの一ユーザーが作り、ネット上で公開されたため「ハーフライフ」を持っている人なら無料で遊べるゲームでした。しかし当初は完成度が低く、インストールするにもバージョン管理が必要で、初心者にとって敷居の高いゲームでした。それでもカウンターストライクの面白さはたちまち世界中のFPSファンに広まりました。初心者の参入を促すため、世界中で誰とも無くインストール方法を解説するサイトが立ち上げられました。作者には多くのユーザーから改善の提案が行われ、作者がそれに応え、マップを作るユーザーも増えて、コミュニティはどんどん拡大していきました。面白いことに、この動きをメーカーであるValve Softwareが容認し、それどころか「ハーフライフ」にバンドルしたパッケージを作ります。そしてついに「カウンターストライク」単体のパッケージを発売するまでに至りました。カウンターストライクはゲームプレーヤーのコミュニティが作ったゲームでした。

ナムコは「カウンターストライク」そのものではなく、日本国内で店舗展開するための新しいバージョンとして「カウンターストライクNEO」を制作しました。Valve Softwareから正式なライセンス契約を受け、インターフェースの日本語化、設定を未来の独占企業と警察連合との抗争へ変更、勝敗条件の明確化、対戦仲介機能の搭載などを追加しています。果たして、これで日本のゲームファンに受け入れてもらえるだろうか。そんな手探りの状態から「LANエンターテイメント実験店」としてLEDZONE蒲田店はオープンしました。結果は大成功。無料公開開始の初日は早朝から長蛇の列ができるほどの盛り上がり。その後、有料化で客足は一時的に減ったものの、順調に集客していました。当初は日本のカウンターストライクプレイヤーが盛り立てましたが、その後、地元の専門学校生や高校生を中心に、東京近郊からも集客するようになりました。

LEDZONE蒲田店の“実験”は成功しました。2年間のオペレーションを経て「カウンターストライクNEO」はバージョン2となり、さらに遊びやすくなって全国展開を開始。現在はアミューズメント施設など全国に90ヵ所以上も展開しています。LEDZONE蒲田店は閉店しましたが「カウンターストライクNEO」は確実に勢力を伸ばしていました。実は、これがLEDZONE蒲田店の閉店を導くことになってしまいました。最終日のプレーヤーたちにどこから来たか聞いたところ、意外にも地元のプレイヤーは少なくて、小岩、大宮、阿佐ヶ谷、川崎、横浜など関東各地から集まっていました。それもLEDZONE蒲田店オープン時からのベテランが多いようです。そして、彼らの住む街のそばには現在「カウンターストライクNEO」の設置店があります。LEDZONE蒲田店を盛り上げていたムードメーカーたちが地元の店に通い始めたため、蒲田店から遠ざかってしまった。最終日は盛り上がっていましたが、最近は店内でチーム戦ができないという日もあったそうです。なるほど、それでは「閉店もやむ無し」だったのでしょう。みんなで集まって騒げる場所は、その“みんな”がいなくなってしまっては成立しません。

LEDZONE蒲田店ではWCGやCPLの予選も開催され、CPL日本代表チームとしてArk選手率いる『Nicotine』を輩出しました。最強チーム4dN_Psyminのラストメンバーで現在スウェーデンでプロゲーマー修行中のNoppo選手もLEDZONEがきっかけでプロゲーマーを目指すようになりました。彼らが巣立った場所が無くなるという意味でも閉店は残念です。

しかし、おそらくこういう状況は運営側としては想定内でしょう。ナムコの目的はLEDZONE蒲田店を末永く続けていくことではなく、LAN&PCエンターテイメントの「カウンターストライクNEO」を成功させることにありました。全国90ヵ所に設置されたいま、その目的は成功したと見るべきでしょう。まるで実験室で収穫した種子を各地に運んで蒔いたように、「カウンターストライクNEO」は各地で芽を出し、花を咲かせました。LEDZONE蒲田店だけでは抱えられないほどのユーザーが全国で「カウンターストライクNEO」を楽しんでいます。しかもその根っこはネットワークで繋がっています。カウンターストライクは日本でも受け入れられました。

LEDZONE蒲田店が甲子園のような存在になる高校野球型から、地域性を重んじ各地に拠点を設けてJリーグ型に移行したとも言えるでしょう。あえて中心を取り去り、地域ごとの拠点で地元のプレイヤーが他の地域と戦うようにする。これはナムコにとって、全国規模に拡大させた実験の第2段階かもしれません。この第2段階では全国から優秀な人材が発掘されるかもしれません。これはこれで楽しみがひとつ増えたと言えそうです。
《杉山淳一》

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