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【GDC08】 『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』がゲーム・ディベロッパーズ・チョイス・アワード受賞

全世界のゲームクリエイターによる投票をベースに受賞作品が決まる「ゲーム・ディベロッパーズ・チョイス・アワード2008」で、大賞の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」に、Valveがリリースした『ポータル』が輝きました。また携帯ゲーム機部門では任天堂の『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』が受賞しました。国産ゲームとしては、これが唯一の受賞作となります。

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全世界のゲームクリエイターによる投票をベースに受賞作品が決まる「ゲーム・ディベロッパーズ・チョイス・アワード2008」で、大賞の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」に、Valveがリリースした『ポータル』が輝きました。また携帯ゲーム機部門では任天堂の『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』が受賞しました。国産ゲームとしては、これが唯一の受賞作となります。

同賞は「ゲームのアカデミー賞」という位置づけで、毎年テレビゲーム開発者向け技術会議「GDC(ゲーム・ディベロッパーズ・カンファレンス)」で発表されます。今年は2月20日(現地時間)に表彰式があり、新機軸のパズルゲーム『ポータル』(Valve、Windows PC)が、ゲームデザイン部門・イノベーション部門を含む3冠に輝きました。下馬評として人気の高かったFPS『バイオショック』(2Kボストン/2Kオーストラリア/2K Games、Xbox360)は、オーディオ部門・ビジュアルアーツ部門・ライティング(シナリオ)部門と同じく3つの部門賞に輝きましたが、大賞は逃しました。

『ポータル』は近未来の全体主義的な世界観を持つSF風味のFPS『ハーフライフ2』の追加シナリオ『オレンジボックス』の1コンテンツとしてリリースされている、新感覚のパズルゲームです。「ASHPD」と呼ばれる「携帯型ポータル装置」で壁や天井に穴を開けたり、重力を制御する「グラビティガン」で周囲の物を動かし、先に進んでいきます。海外ではバルブ社が展開するオンラインプラットフォーム「Steam」でダウンロード販売されています(国内ではサイバーフロントより日本語版が追加パック「オレンジボックス」に収録されてパッケージ発売中。単体版も4月4日に発売予定)。

また、任天堂の宮本茂氏が昨年受賞した「ライフタイム・アチーブメント(生涯功労者賞)」には、『シビライゼーション』シリーズなどのゲームデザイナーとして著名なシド・メイヤー氏。昨年まで「ファースト・ペンギン賞」という名称で知られ、新ジャンルを確立したクリエイターに送られる賞としては、新たに「パイオニア賞」という名称が設定され、ラルフ・ベア氏が受賞しました。ベア氏は『ブラウンボックス』というプロトタイプを経て、『オデッセイ』という家庭用ゲーム機の第一号を開発した「テレビゲームの父」と言える人物で、米国でテレビゲーム産業を想像したアーケードゲーム機「ポン」にも多大な影響を与えました。ゲーム産業に貢献するなどした人物に送られる、新設の「アンバサダー賞」には、IGDA(国際ゲーム開発者協会)事務局長のジェイソン・デラ・ロッカ氏が受賞しました。

このほか、デビューゲーム部門は『クラックタウン』(リアルタイムワールド/マイクロソフト、Xbox360)、ダウンロードゲーム部門は『FLOW』(ザットゲームカンパニー/SCE)、テクノロジー部門には『クライシス』(クライテック/EA、PC)が、それぞれ輝いています。

同賞は「全世界」と言いつつ、国内での知名度が低いことから、実際には欧米のディベロッパーの投票がベースとなって選出されています。そのため『ポータル』が大賞に輝いた背景には、欧米のディベロッパーのリスペクトがあると言えそうです。

これは筆者の推測ですが、欧米においてもPS3・Xbox360における大作主義の進展と、それに伴う行き詰まり感、一方でWiiの大成功や、PopCap GamesをはじめPCのカジュアルゲームサイトの急成長などから、EAなどのメガパブリッシャーが、昨年大きくカジュアルゲームに舵を切り替えました。これに対する開発者の複雑な気持ちが、ハイエンドPC向けのゲームで、シェーダーや物理エンジンなど高度な技術を用いていながら、骨太のゲームデザインで、かつ手軽に遊べる『ポータル』を支持した、と言えるかもしれません。

もっとも、この受賞トレンドは毎年異なっており、昨年はXbox360向けの超大作『Gears of War』(マイクロソフト)が受賞しました。一昨年は『ワンダと巨像』(PS2、SCE)が作家性が高く、日本ならではのタイトルとして大賞を含む4部門を受賞。さらに2005年は物理エンジンを遊びに取り入れ、新しい流れを作った『ハーフライフ2』(PC、バルブ)が受賞しています。ゲーム・オブ・ザ・イヤーの受賞作品は、その年の欧米ディベロッパーのトレンドを反映しているといえそうです。また日本ゲーム大賞などと異なり、携帯ゲーム機向けのソフトの受賞歴がないことも、欧米の開発者のマインドセットを計るうえで、おもしろい点でしょう。

国産ゲームの中で来年度の対象作品としては、『大乱闘スマッシュブラザーズX』『Wii Fit』(任天堂、Wii)などがあります。発売日は未定ですが『メタルギアソリッド4:ガンズ オブ ザ パトリオット』(コナミ、PS3)などにも期待したいところです。国産ゲームと海外ゲームは互いに刺激を与えながら発展していくものですし、最近では国産フランチャイズにもかかわらず開発が海外だったり、その逆の例も見られたりするなど、開発のグローバル化が進んでいます。おもしろいゲームが全世界で楽しまれるためにも、日本のゲーム開発者においても、より一層の努力に期待したいところです。

■第8回までの歴代受賞作
1st シムズ(マクシス)
2nd グランセプトオートIII(DMAデザイン/ロックスターゲームズ)
3th メトロイドプライム (レトロスタジオ)
4th スターウォーズ:ナイツ・オブ・ザ・オールド・リパブリック(バイオウェア)
5th ハーフライフ2(バルブ/ビベンディ・ユニバーサル・ゲームズ)
6th ワンダと巨像(SCE)
7th ギアーズ・オブ・ウォー(マイクロソフト)
8th ポータル(Valve)
《小野憲史》
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