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バーチャルリアリティコンテストが岐阜県各務原市テクノプラザで開催〜優勝は腕をアリがはい回るあの作品に!

ここ数年、秋になると岐阜県各務原市のテクノプラザまで出かけている。国際学生対抗バーチャルリアリティコンテンスト(IVRC)を取材するためだ。全国の学生が手作りのバーチャルリアリティ(VR)作品を制作し、日本一を決めるもので、1993年に開催以来、今年で15回目となる。今年も全国32校の教育機関から約40件の応募が寄せられ、企画審査・プレゼンテーション審査・東京予選大会を経て、選りすぐられた4つの団体作品が11月2日・3日の本大会に駒を進めた。

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バーチャルリアリティコンテストが岐阜県各務原市テクノプラザで開催〜優勝は腕をアリがはい回るあの作品に!
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No.4 風景バーテンダー
(酒豪/北陸先端科学技術大学院大学 宮田研究室)

カクテルを作るように「風景の元」をシェーカーに注ぎ、激しくシェイクすることで風景画を作り出す作品。細部に渡って数多くの修正が加えられた。カウンターに液晶ディスプレイを埋め込み、アクリル版などで覆って、作成されたCG画像を手元で鑑賞できるように変更。あわせてスクリーンにも投影し、体験者も周囲も共に楽しめるようにした。シェーカー内に加速度センサー、グラスのコースター部分に磁気センサーを埋め込み、シェーカーの振り終わりと画像の表示を自動で検出。雰囲気を壊すことなく、自然な操作を可能にしている。CG映像の解像度も格段の向上を見せており、「風景画」と呼べる内容になった。ただし早朝にシステムトラブルが発生してしまい、充分に力が発揮できなかったのが残念だった。

(左上)液晶つきのカウンターバーがあれば、現実でも来店してみたいほどだ(右上)スライドショーで表示された完成CG。これがパラメータで自動生成される(左下)レシピ集の小冊子も自分たちで製作し、雰囲気が良く出ている(右下)ラベルがよく見えるように、ディスプレイの仕方も改良された


仏チーム タイムマシーン:ヴェルダン1916(タイムマシーン/ESCIN・ESIEA Ouest)

フランスのVRコンテスト、ラバル・バーチャルからの学生招待作品。タイムマシーンに乗って第一次世界大戦の激戦地、ヴェルダンの戦場を訪れるという内容だ。長椅子に寝そべって振動機能のついたストラップで体を固定し、眼鏡型ディスプレイとサラウンドヘッドフォンを装着して、4分間の映像作品を体験する。ディスプレイにはモーションセンサー機能があり、頭を動かすと周囲が見渡せる。CGはVirtoolsS社製のステレオ立体映像技術で製作されており、映像の奥行きがうまく表現されていた。体験者は戦場で負傷した一般兵という設定で、体の上をネズミが歩き回ったりする。仲間の兵士によって塹壕内に運ばれるが、そこに砲弾が落ちてきて、最終的にみんな死んでしまうというものだ。題材の特殊性から、12歳以上推奨となっていた。

(左)視覚・聴覚・触覚に加えて、風も吹き込んでくる(右)映像では通常のCGのようだが、立体視による作品となっている


以上が団体部門の作品だ。どれも東京予選から向上していたが、最も驚かされたのはフランスチームの作品だった。古典的なVR作品のように感じられるが、映像効果を初めとしたアプリケーションの作り込みが秀逸で、FPSなどでは味わえない、ユニークな内容になっていたのだ。立体視によるリアルタイムCGも自然で、解像度も高く、目が疲れない。戦場を俯瞰するだけでなく、負傷兵の立場になるという設定や、ストーリー性が含まれている点も良かった。やはりVR作品は、体験しなければわからない。

学生チームの一人、ジェレミー・アウトローさんに制作動機について聞いたところ、「第一次世界大戦の凄惨な記憶や体験をVRで残したかった」という答えが返ってきた。ヴェルダンの戦いは仏独あわせて25万人以上の死者を数える、大戦でも最大級の激戦地だった。しかし仏軍兵士の高齢化が進み、今では存命者も4人しかいないという。日本では戦争といえば第二次世界大戦を連想するが、欧州では二つの世界大戦が争われたことを、改めて感じさせられた。

ちなみに製作上で最も苦労した点を尋ねると、間髪入れずに「コミュニケーション」という返答がきた。本作品はインタラクティブデザインを学ぶESCINと、エンジニアリングを学ぶESIEAという2校の共同製作となっている。プログラムとグラフィックには摩擦がつきものだが、本作品では学校から異なるため、摺り合わせが大変だったとのこと。ポイントとなるのはどこも同じようだ。

会場では日仏の学生で作品を巡って様々な交流がなされた


■個人部門・招待作品


《小野憲史》
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