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今どきゲーム事情■中村彰憲:Steamってなんだ?!〜Valve Softwareの展開する、ブロードバンド時代の新プラットホーム〜

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■デジタル流通と店頭販売はこれからも共存していくよ
『Half Life』シリーズのブレイクで、FPSゲームのトップ企業として、Epic Games(『ギアーズ・オブ・ウォー』)、id Softwareと並び称されるValve Software(以下Valve)。ですが、ゲームタイトルとは別に、Valveがゲーム業界を賑わしている理由があります。それが「Steam」です。Steamとはブロードバンド対応のコンテンツ配信システムです。最近はカプコンが北米で展開しているゲームタイトルをSteam経由で販売すると発表して話題になりました。そこで、今回はValve広報担当のダッグ・ロンバルディ氏にこのサービスの現状と今後の展開について伺いました。


Valve広報担当のダッグ・ロンバルディ氏 ※クリックで拡大画面を表示




中村:まず、Steamなどのデジタル配信システムを開発した経緯を教えてください。

ダッグ・ロンバルディ氏(以下、ダッグ):これまで、結構多くのひとたちが「デジタル配信によって、既存の流通を殺すつもりなのでは!?」と気にかけていたけど、そのような意識はないよ。僕たちのタイトルは、一般流通で2000万本も売っているんだ。こんな貴重な存在を潰そうと考えること自体、おかしいよね。むしろSteamは、自分たちのゲームをより良くしたい、という気持ちから生まれたんだ。これでオートアップデートもできるし、海賊版防止にもなる。そして週末だけゲームを開放して、デモ配信でユーザーにお試し期間を与えるといったことも実現できるようになったんだ。

中村:Valveにもたらした恩恵は何だったんですか?
ダッグ:さまざまな統計データだね。たとえば、どこでゲームを購入したのか?ゲームを最後までプレイできたのか?ゲーム完了までの平均的な所要時間は?といった、プレイヤーのプレイ履歴のことさ。たとえば、『Half Life2:Episode1(以下、Episode1)』では、プレイヤーの平均所要時間は5時間半だった。『Episode1』のあるステージでは、地下で暗闇の中、コンバインの攻撃に耐えながらエレベーターなしに上へと登るステージがあるんだけど、作品をリリースしてから4〜5日後に、プレイヤーにとって明らかに難しすぎたということが分かった。多くのユーザーがその場所から進めなくなっていたのさ。ライフもライトも十分じゃなかったんだね。だからすぐにライフとライトを少し追加したよ。その直後、ここで必要以上に時間を費やすプレイヤーがほぼ皆無になった。パッチを配信してすぐね。

中村:なるほど!

ダッグ:Steamは凄くパワフルなんだ! Valveでは毎年2回、ハードウェアサーベイを実施するんだけど、それで、全世界計数千万人のうち80万人のPCスペックを確認してるんだ。当然、個人情報とかではなく、PCに関する情報だけだけどね。通常PCスペックについて、メーカーは誰が何をもっているのかを推測するばかりなんだけど、Valveでは、DirectX 9はもう問題がない、Windows 98へのサポートは必要ない、幾人かは、DirectX 10のカードを導入しはじめている、Vistaへの切り替えも徐々に行われている、といったことがすぐに分かったんだ。80万台のうち、20%がDirect X 10用グラフィックカードを導入していて、Vistaへの切り替えをしたひとたちはおよそ5%。だからゲーム開発のときも、DirectX 10仕様に切り替えるか、DirectX 9対応のみで行くのか、ということを決断できるんだ。当然こういった情報は自分たちだけでキープするだけじゃなくて、公開しているよ。

中村:ゲーム開発という側面からSteamを導入したメリットは?

ダッグ:少しずつ、コンテンツを開発し発信できる、っていうことだね。『Half Life2』は開発から発売まで6年もかかったんだよ。6年は本当に長い! 大学に入学した人も作品がリリースされるころには卒業して社会人になっているぐらいの長さだからね。結婚しちゃう人も出てくるぐらいさ。だから、それをやった後には、絶対にこの体制を変えなければと実感していたんだ。だから「よし、エピソード型で行こう」ということになった。そうすることで、ポジティブなフィードバックとして、「最後までゲームができたよ!」という意見が多くなったんだ。当然プレイヤーがあまり気に入らなかった部分も見つけ出すことができた。マルチプレイヤーを欲していたし、より長い時間プレイできる作品も望んでいる。『Episode1』では平均プレイ時間は5時間半なので、続編となる『Episode2』では、平均所要時間が8時間から9時間になるように調整中さ。またマルチプレイヤー用ゲームの『Team Fortress2』もバンドルしてる。これに加えて『Portal』も入れているので、そこからも何か学べるものあるはずさ。

Valveはいまでもプレイヤーから学んでいるよ!『Half Life』の開発期間は2年で、『Half Life2』は6年。このままいけば、次の作品は10年かかってもおかしくなかったよ。それはゲーム開発としてありえない話さ。『Episode3』のプリプロダクションも進んでいる。『Episode2』は10月9日にリリースされるから、『Episode3』の開発があまり進んでいない状態で、いまプレイヤーが何を求めているかが明確になるはずさ。それは僕らにとってボーナスなんだ。そこにこそ、僕らが生み出したゲーム開発の新しい方法論があるんだ。もし、僕らが次の作品を6〜7年後にリリースするのであれば、ここで収集した情報も意味のないものになってしまう。でも1年後であれば収集した情報に意味があるし、今後の動向も推測しやすいよ。


《中村彰憲》

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