ダウンロード販売が主流になることで、ゲームの小売店はその役割を終えるのではないかという声もあります。EA SPORTSの最高責任者であるPeter Moore氏もゲーム販売の主流がダウンロードに移行するとする意見を持っています。しかし、ダウンロードが主流となりつつある音楽業界でCDショップがiTunes Music CardやコンサートのDVDを売るように、ゲームの小売店も役割を失うことはないとしています。
では、ゲームの小売店に求められる役割とは何でしょうか。案外「対面販売による安心感とトラブル対応の早さ」なのかも知れません。
フロリダ在住のJodi Wykleさんは16歳になる息子のために小売店でニンテンドーDS Liteを買いましたが、箱の中に入っていたのは何と「中国の新聞に包まれた石ころ」。Wykleさんは返金を求めましたが受理されず、仕方なく店頭で箱を開けて貰って中身が石ころでないのを確認した上で新たなニンテンドーDS Liteを買ったと言います。
小売店は後に返金しましたが、封印シールも施された箱の中に石ころが入っていたのがショックなら、小売店が最初は返金を拒否したのもショックでしょう。小売店はWykleさんに対し、任天堂にコンタクトを取るよう通告したそうですが、これでは店頭で物を買っている意味はありません。
逆に、二台目のニンテンドーDS Lite購入時に箱を開けて確認して貰えたのは店頭ならではのサービスでしょう。こうした対応には人間が店頭で物を売っている意味があります。Wykleさんが次にこの小売店で物を買うかどうかは分かりません。しかし、最初の時点でスムーズな交換があればWykleさんはこの小売店のお得意さんになったのではないでしょうか。
通販やダウンロード販売が勢力を増している今、店頭で求められるのは安心感と個別の対応ではないでしょうか。自分のことを知っていてくれる主治医や行きつけのお店からは離れようとは思いません。ゲーム屋にしても同じでしょう。ゲーム機の区分が複雑となり、各機種のユーザーの振るまいが異なっていることが明らかになりつつある今だからこそ、機種の特徴にあわせた売り場作りとお客さんへの細かな対応といった人ならではのサービスが求められているのではないでしょうか。
ぜひゲーム業界や小売店の今後についてコメント欄やメールでご意見ください。
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