同じように、スマートフォン用に配信を開始した家庭用ゲーム機の大ヒット作といえば『ドラゴンクエスト』シリーズが挙げられます。作品によって価格差はありますが、こちらもすべて追加課金なしの売り切りタイプ。堀井雄二氏はスマホ版『ドラクエ』をF2P(基本無料)の追加課金タイプにしなかった理由を「ストレスを感じて、それを理由にゲームをやらなくなる人もいると思うから」と語っています。
そもそも、売り切りのゲームソフトは「商品の提供」であり、F2P(や月額制のオンラインゲームなど)は「サービスの提供」であるという根本的な違いがあります。商売の仕方が変われば、お金の払い方も変わってくるのは当然のこと。ですが、F2Pのソーシャルゲームなどに多く見られる"行動力・スタミナ"システムは「能動的にゲームで遊ぶ時間を作る」情熱を持つゲームファンほどストレスを感じやすいのもまた事実です。
「商品の提供」と「サービスの提供」は性質が異なりますので良し悪しを決めるのは難しいことですが、今日のスマホゲーム市場のように、「どちらか一方が圧倒的に多い」のはバランスがよくないとは言えるでしょう。
堀井氏は「(今はまだ)スマホはスマホであってゲーム機ではない」と語り、『MHP2ndG for iOS』を手がけた伊津野英昭エグゼクティブディレクターも、「スマートデバイスをゲーム機にしよう」という思いが移植のきっかけであったと語っています。
スマホのゲームは大きな市場を持ちますが、それは「スマホはゲーム"も"楽しめる」のであって「スマホがゲーム機になった」とはまだ言いがたいという印象があります。ですが、こうした優良な売り切りタイプのゲームが続いてくれれば、遠くない日に携帯ゲーム機と肩を並べて「ゲーム機になった」と言える日が来るのかもしれません。
スマホ版『ドラクエ』のリリースはこれからも続きますし、『MHP2ndG for iOS』の伊津野エグゼクティブディレクターも、売り上げ次第でプレミアム感のあるスマホゲームの第2弾、第3弾の可能性を示唆しています。さらにHORIが『MHP2ndG for iOS』に対応した、スマートデバイスで使える本格的なゲームパッドの開発をしているなど、上向きの材料が増えてきました。大手メーカー・スクエニとカプコンが築いた橋頭堡が、スマホゲーム市場にどのような道を切り開いていくかに注目です。
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