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【CEDEC 2013】リハビリ用ゲーム『リハビリウム起立くん』から見た、介護施設へのゲーム導入とその可能性

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【CEDEC 2013】リハビリ用ゲーム『リハビリウム起立くん』から見た、介護施設へのゲーム導入とその可能性
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九州大学大学院芸術工学研究院の講師、松隈浩之氏はCEDEC 2013において、九州大学と長尾病院による共同開発のリハビリ用ゲーム『リハビリウム起立くん』の開発、並びに施設における利用状況についての発表をCEDEC 2013で行いました。

『リハビリウム起立くん』は2009年に発足したプロジェクト。2012年リリースの『樹立の森リハビリウム』を経て、2013年に正式リリースとなりました。前身である『樹立の森リハビリウム』も、本作『リハビリウム起立くん』も、リハビリ訓練の基礎である「起立訓練」を扱ったソフトウェアで、Kinectセンサーで訓練者の動作を読み取り、音声で訓練をサポートします。単調になりがちな起立訓練を、ゲームを通じて気軽に取り掛かれるというのが最大のウリです。

『リハビリウム起立くん』ではバーコードリーダーを用いて、訓練者ごとのデータ保存ができるようになっており、加えて施設内でのランキングデータ作成も可能だということ。ランキングはあくまで起立の回数、すなわち努力の回数を可視化したもので、誰でも気軽に訓練に望めるのが本作の強みです。

また、本作の目的は遊ぶことではなく、健康回復・維持のために訓練であるため、訓練の継続性が重要になります。そこでこれまでの経過を確認するスタンプラリーのようなシステムを備え、起立回数が特定数に達すると認定証が表示され、「起立九級」や「起立横綱」といった称号を得られるようになっています。結果、ランキングや認定証、スタンプラリー形式の履歴シートといった形で努力が目に見える形になり、それが家族から褒められることが訓練者にとって最大のモチベーションとなっているのだそうです。

導入施設からの評価も上々で、特に訓練者のデータを管理するIDカードの追加注文が予想以上に多いとのこと。「運動カロリーの計算値の表示がほしい」、「クイズのようなレクリエーション要素を取り入れてほしい」といった施設からの要望も期待値の裏返しととることができるでしょう。さらに「体調がよくなった」、「認定証などのシートを楽しみにしている」といった利用者の声もあり、施設はもちろん、利用者からの評価も高いことが伺えます。一方で、丸背の利用者や補助バーのような障害物によってKinecetの認識機能がうまく作動しないというのが現在の課題だということでした。

セッションの最後には、『リハビリウム起立くん』について、介護老人保健施設デイケアみのりを例にその効果の検証結果が発表されました。これは『リハビリウム起立くん』の介入前後での身体機能と認知機能双方を比較したものです。ゲームでの訓練を自ら進んで行う利用者である「自主群」とセラピストなどによる促しがないと利用しない「促必群」の2群間でのデータを比較しています。

注目すべきは「延べの起立回数」です。ゲームに消極的な促必群が423回だったのに対し、ゲームにはまった自主群が1491回とリハビリ量にかなりの差が現れました。身体機能として10m歩行の速度データも提示され、自主群においては本作の利用から5ヶ月後には歩行速度が上がり、有意な差が得られています。認知機能(HDS-R)においては認知機能の維持期ということで改善したかどうかの検証は行わなかったそうですが、自主群と促必群間で比較すると自主群のほうがスコアが高い傾向にあったそうです。

利用者にゲームについての感想は、以下の3つの側面に大別することができるそうです。

ゲームコンテンツ
・週間ランキングや段位の取得がほかの利用者に対する競争意識となる
・ゲーム中の樹が生長していくことやゲーム内の女性が応援してくれることでついついがんばってしまう

利用環境
・1人で取り組めるので、誰にも気を使わなくいい
・専用のIDカードでピッとスキャンする行為そのものが楽しい。また、スタッフやほかの利用者から褒められるのが励みになる

身体機能の変化
・足が太くなって長く歩いても疲れなくなった
・車椅子から歩行器を使って歩けるようになった

これらのことから、プロジェクトの当初の目的どおりゲームの提供するコンテンツと利用環境によって、起立訓練への意欲が高まり、結果として身体機能によい変化が生じていると言えます。

松隈氏は、超高齢化社会に向けて『リハビリウム起立くん』を改良し、多くの場所で利用されるようにしていきたいと考えているとのこと。また、太極拳のゲームや半側空間無視という症例を訓練するゲーム、厚生労働省の進めるロコモティブシンドローム対策のゲームの導入考えており、介護施設へのゲーム導入をさらに進めていきたいと語りました。
《千葉芳樹》

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