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海外パブリッシャー向けの営業とは・・・IGDA日本グローカリゼーション部会 特別セミナー

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海外パブリッシャーとビジネスを始めるには・・・IGDA日本グローカリゼーション部会 特別セミナー
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IGDA日本グローカリゼーション部会(SIG-Glocalization)は特別セミナー「海外営業の必勝法!」を23日、都内で開催しました。セミナーでは海外受注で高い実績を持つナウプロダクションの大信英次氏が講演し、米GDC向け営業ノウハウを明らかにしました。

ナウプロダクション 大信英次氏セミナーは約10名と小規模で行われた


GDCには本来の技術カンファレンスとは別に、さまざまなイベントが併設されます。仏リヨンに本部を持つGameConnectionもその一つで、パブリッシャとディベロッパのマッチングイベントです。ここにブース出展することで、国内のディベロッパでも海外パブリッシャやディベロッパと直接商談できます。ただし、そのためには互いの商習慣や、ゲーム開発の壁を乗り越える必要があります。

ここにナウプロダクションは2006年から挑戦し、ゼロベースから受注に成功しました。直近タイトルではアクティビジョンより今秋、PS2、PS3、XBOX360、Wii、DS向けに発売されたアクションゲーム「Bakugan Battle Brawlers」が、北米で100万本に迫る勢いとなっています。本作はセガトイズから玩具展開され、日本を除く全世界でアニメが放映中です。なお具体的な取り組みについては、本誌でも過去にレポートしていますので、ご参照ください。(http://www.inside-games.jp/article/2008/09/12/31160.html)

大信氏ははじめに世界市場の見通しと共に、世界の主要なゲームイベントを解説。現在はGDC(3月)、E3(7月)、GamesCon(8月)、東京ゲームショウ(9月)、GameConnection(12月)での商談を軸に、空いた日程で海外パブリッシャーやディベロッパーに定期的な営業活動を行っていると説明しました。ただし今年の海外出張は120日にも及びましたが、労力の90%を社内調整に費やすそうです。その上で開発に際しては、アジア圏を中心に分業体制を敷いていると説明されました。

■新規IPを商談材料にする

では、具体的に海外営業では、どのようなアイテムが必要なのでしょうか。大信氏は来春のGDC(GameConnection)にブース出展するとして、「英文会社案内」「過去の実績ムービー」「新規案件の企画書」「新規案件のキービジュアル」「新規案件のミニマム・プロトタイプ」が必要だと解説しました。

ここで新規案件が必要なのは、単純に会社概要を持って受注営業をかけても、相手に十分なメリットが伝わらないからです。海外の大手パブリッシャーでは中国・インド・東欧など10カ国以上に受託発注しており、日本は人件費が高いため、何か特別なメリットが必要になります。そこで鍵を握るのが、この自社提案というわけです。実際には提案が通らなくても、その過程で別タイトルの受注につながるのだとか。また、受注の合間に自社案件が通るケースもあるとのことでした。

なお、ここでのポイントが「求められる企画は何か」です。大信氏は「世界観やストーリーよりも、ゲームメカニクスとキービジュアルが重要」だとしました。その上で最低50万本の売り上げが見込める企画が求められるとのことです。そのためには日本で人気のある、たとえばRPGなどの企画は避けたほうが無難だとしました。その上で海外ディベロッパーと競合しないジャンルが望ましいとのことです。さらに固有名詞一つでも違和感を減らすため、海外企業と共同で企画を練り込むなどの配慮も求められます。もっともFPSなどの海外人気ジャンルでも独自の見せ方をすることで、可能性はあり得るとしました。

GDCでのブース商談は20分程度の時間しかないため、帰国後にフォローアップのメールをかわし、感触が良ければ現地に飛んで、本格的なプレゼンテーションを行うことになります。この際に必須となるのがNDA(秘密保持契約)の締結です。実際にはNDAを結ぶだけで、かなりの手間になりますが、これを結ばない限り先に進めないとのこと。また先方がNDAを結ぶか否かで、先方の本気度も測れるとしました。

この商談で必要なアイテムは「ゲーム仕様書」「制作予算の概算」「プリ・プロトタイプ」です。もっとも仕様書と予算概算はたたき台で良く、そこから商談の過程で、さまざまなアレンジが加わります。ミニマム・プロトタイプとプリ・プロトタイプの違いがわかりにくいですが、単純に「ゲームプレイの感触がわかるもの」で、最初から作り込みすぎないこと、と捉えると良いでしょう。少なくともプリ・プロトタイプがなければ契約はとれないと言います。

ここでパブリッシャーの承認が降りれば、晴れて本契約……ではなくて、本プロトタイプ契約です。ちなみに、これまでの段階はディベロッパーの持ち出し。ここからパブリッシャーの予算がつきますが、それでも15~30万ドルで、期間は約3ヶ月。そこでOKが出れば、晴れて本制作となります。もっとも、大手でも半数以上はプロトタイプで切られるそうで、非常に厳しい環境にあります。

海外受注にはノウハウが必要講演後はディスカッションが行われた


■日本の受注開発スタイルでは通用しない

生き残りゲームはさらに続きます。総じて開発のクオリティベンチマークは厳しく、α版以降も途中で契約が切られる例が少なくありません。一方でディベロッパー側はゲームを納期内で完成させるために必要な開発体制を組む必要があり、大きなリスクとなります。もっともパブリッシャー側にすれば、広告宣伝や返品、訴訟など抱えるリスクの量は同じで、売り上げは高くても利益はちょっぴり、と説明されるわけですが。ともあれ、日本的な「作っている間におもしろくなっていく」スタイルは通用しないと釘が刺されました。

もっとも、こうした工業生産品的な作り方が可能な背景には、欧米市場で売れるジャンルが決まっており、ある程度「お手本」があるから、という言い方もできます。それだけに、まったくのオリジナルタイトルが出にくいというわけです。しかも海外パブリッシャーにすれば、わざわざ日本に発注するからには、日本でしか作れない斬新な企画を期待したいのも事実。もっとも斬新すぎると売れ行きの予測がたたず、これまた難しい……。大信氏は対策として、開発側も海外市場の動向や他社のタイトルの動きなど、マーケティングに対するスキルが必要だと指摘しました。

ようやくゲームがマスターアップしても、それだけでは済まされません。企画仕様書と技術仕様書をセットで納品しなければ、入金されません。それぞれ英文で数十ページから数百ページにもおよび、ネイティブチェックが必須です。また海外案件ではほとんどがクロスプラットフォーム前提で、PS3、Xbox360、PS3を中心に5~6ラインという案件が多いとのことです。もっともハードの種類が増えても、開発予算はそれほど増えなかったりするので、いかにコストダウンするかが重要だとしました。

また、おもしろいのが海外では契約時にネットのゲームレビューサイトのスコアが重要視される点です。北米の大手レビューサイトの平均点が出される「metacritic」(http://www.metacritic.com/)で70点以上を獲得するのが一つの指標で、中には一定以上のスコアを取ることがインセンティブの対象になる例もあるそうです。北米ではレビュースコアと売り上げがある程度相関関係を持つと見なされており、大信氏も「耳が痛い指摘も多い」とコメントしました。またパブリッシャー側からメニュー構造が遊びにくいと、修正指示を出されることも多く、遊びやすさの研究もかなり進んでいるとのことです。

最後に大信氏は「今や日本のゲームビジネスの方が特殊になってきた」と指摘しました。クオリティ1番、予算2番、納期3番では対応が不可能で、納期と予算を守ることがビジネスの基本だと釘を刺します。実際にアジア企業はゲームのクオリティは低くても、ビジネススタイルは日本よりずっと進んでいるとのこと。その上で同社は、日本企業でも海外受注を行う力は十分にあること。そしてクロスプラットフォーム前提の現状では、1社で対応することが難しく、さまざまな企業との連携を模索しているとまとめました。
《小野憲史》

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