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【DEVELOPER’S TALK】100万ID突破!12年を経て登場したナンバリングタイトル『ファンタシースターオンライン2』で実現した「無限に楽しめるゲーム音楽」とは?

2000年にドリームキャストで登場した『ファンタシースターオンライン(PSO)』。そこから12年の時を経て、『ファンタシースターオンライン2(PSO2)』がリリースされました。

ゲームビジネス 開発
【DEVELOPER’S TALK】100万ID突破!12年を経て登場したナンバリングタイトル『ファンタシースターオンライン2』で実現した「無限に楽しめるゲーム音楽」とは?
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2000年にドリームキャストで登場した『ファンタシースターオンライン(PSO)』。そこから12年の時を経て、『ファンタシースターオンライン2(PSO2)』がリリースされました。ゲーム内容もさることながら、コンソールからPC・PlayStation®Vita・スマートフォン向けのマルチプラットフォームへ。そしてパッケージから基本プレイ無料タイトルへと、さまざまな意味で前作から大きな変化を取り入れたタイトルとなっています。

またサウンドにおいても、「無限に楽しめる音楽」というコンセプトのもと、プロシージャルなBGM制作が行われました。それを支えたのがセガ内製ツール「Sympathy(シンパシー)」と、CRI・ミドルウェアの製品群です。内製ツールとミドルウェアの組み合わせ方なども含めて、たっぷりと伺いました。



■参加者

酒井智史 『PSO2』プロデューサー。初代『PSO』からシリーズに参加。

小川卓哉 プランナー。『PSO2』ではアシスタントディレクター・サウンド企画担当で、サーバ周りの担当も務める。

小林秀聡 サウンドクリエイター。初代『PSO』以降、すべてのタイトルでサウンドを担当している。

今別府デニス幸生 プログラマー。『PSO2』ではサウンド、UIなどのシステムのプログラムを担当。

増田亮 プログラマー。『PSO2』ではUI、サウンドおよび関連ツールの作成を担当。

■聞き手

土本 学  インサイド編集長
CRI・ミドルウェア

■もっとオンラインに向き合ってみたかった

―――今日はよろしくお願いします。『PSO2』のプロシージャルサウンド表現については、CEDEC2012の講演「Phantasy Star Online 2におけるプロシージャルBGMシステム」でも発表されましたが、本日はその内容をふまえて、ミドルウェアとのかかわりなど、周辺領域についても、いろいろとお話をお伺いしていきたいと思います。

(※1)プロシージャルBGM:ゲームの状況に応じて自動生成されるBGM。決まったフレーズでBGMが変化するのではなく、フレーズの組み合わせ自体が変わるため、ダイナミックに変化する。

―――はじめに『POS2』開発の経緯について、改めてお願いします。

酒井氏
酒井: 12年前に『PSO』を発売してから、これまで多くの派生作品を作ってきましたが、そろそろ新規で、しっかりしたオンラインRPGを立ち上げたい、という思いが強まってきました。そこで『PSO』の意思を受け継ぐようなもの。具体的には、オンラインRPGをもっと多くの人に広められるようなものを作りたいと思い、『2』を企画しました。ナンバリングタイトルへの手応えもありましたし、もっとオンラインに向き合ってみようと。

―――オンラインに向き合うとは?

酒井: 最初からオンライン専用のゲームとして息の長いゲームにする、という意味です。それと共にPCをメインのプラットフォームとしました。セガはこれまでコンシューマ中心で、パッケージゲームを作ってきたため、かなり挑戦的なプロジェクトだったと思います。経営陣に企画のプレゼンをする時も、その点を意識しました。

―――『2』の「推しポイント」について教えてください。

酒井: 「飽きのこない無限の冒険を提供する」「オンラインRPGとして最高峰のアクションを目指す」「究極のキャラクタークリエーションで、自分だけのキャラクターが作る」という3点です。 僕らは「3つの革命」といっているんですが、最初からこの3点はぶれないように注意しました。

―――「飽きが来ない」というのは、どういうことでしょうか?

酒井: オンラインゲームは運営が重要だと言われますよね。もちろん、それはその通りで、『PSO2』でもさまざまなイベントや仕掛けを用意しています。ただ、昔と違って今はいろいろなオンラインのタイトルがありますし、ユーザの「消費」の速度も上がっています。それなのに運営の工夫だけでいいんだろうか。もっとシステム面でできることはないだろうか。そんな思いがあって、マップや敵がランダムに自動生成される、という仕組みを大胆に取り入れました。

また『PSO2』は、コンピュータRPGの元となった、テーブルトークRPG(※2)をモチーフにしています。テーブルトークRPGではゲームマスターが事前にシナリオを用意してセッションを開催するのですが、モンスターが強すぎてパーティが全滅したり、プレイヤーのダイス目が良すぎて強敵があっさり倒されたり、後々まで語りぐさになるような「伝説のセッション」がありました。そういうところも含めて、RPGの面白だと思うんです。
特にオンラインのコンピュータRPGでは、「あのゲームで、こんなことがあった」という体験を、友達と共有することが面白かったりします。そういう「仲間内で盛り上がるネタ」を常に提供できるゲームシステムって何だろうと。それが「インタラプトイベント」や「ランダムフィールド」といったシステムに繋がっています。

(※2)「テーブルトークRPG」…コンピュータを用いずに、会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶゲームのこと。(例:「Dungeons&Dragons」など)

公式ウェブサイト。「終わりなき冒険」がテーマ


―――ユーザの「消費」のスピード、といいますと・・・?

酒井: 上がっていると思います。一方で作るスピードは落ちているんですよ。昔と比べて2~3倍くらいの労力がかかっています。開発チームの規模も拡大していますが、なかなか「消費」のスピードに追いつけないのが、悩ましいところです。僕も『PSO』ではデザイナーとして参加していましたが、当時は一人でモンスターをデザインして、モデリングして、テクスチャーを書いて、アニメーションしてエフェクトを作って、それが普通だったんですよ。でも今はみんな分業化されています。その結果、『2』では開発スタッフも前作に比べて2~3倍になっていますね。

■PS Vita版のことは考えずに作った

―――開発スタートはいつくらいですか?

酒井氏
酒井: だいたい3年くらい前です。2009年の『ファンタシースターポータブル2』発売前後から企画が立ち上がり、そこから平行作業で進めてきました。最初は10名くらいのチームでしたが、だんだん他のプロジェクトが終わったスタッフをとりこんでいきました。今では運営スタッフも含めて、100人くらいのチームになっています。

―――基本プレイ無料という点に驚きました。

酒井: できるだけ多くの人に遊んでほしかったんです。また月額課金だと登録ユーザ数の増減が運営側に与えるインパクトが少なからずありますが、アイテム課金はその辺がコントロールしやすい側面があります。だったら、最初から基本プレイ無料が良いだろうと。

―――会員数は増えましたか?

酒井: おかげさまで、滑り出しは順調です。これまで『PSO』シリーズはPSPでの60万本が上限でしたが、もうすぐ100万IDに届きそうです(※3)。アクティブユーザーも相当な数になっています。これだけ多くの会員数を抱えたオンラインゲームは、日本では珍しいと思います。もっとも、順風満帆というわけにはいかず、さまざまなトラブルの連続でした。こちらも日々対応しているんですが、サーバが繋がりにくいなど、まだまだ改善をしていかなければいけません。

(※3)インタビュー時点(2012年9月)。現在は100万ID突破。

―――PCだけでなく、Vita、スマホでの発売も決まりましたね。

酒井: 『PS』シリーズはPSPで大ヒットしましたし、ちょうどPS Vitaが登場しました。PCとPS Vitaの両方で遊べるタイトルは新しいし、オンラインRPGを広める上でも良いだろうと思いました。

またスマートフォンやソーシャルゲームのユーザにも、本格的なオンラインRPGをプレイしてほしいという思いもありました。『ファンタシースターユニバース』では「PSU Mobile」というモバイル専用サイトを作りましたが、アクティブユーザのほぼ半分が利用するくらい、人気があったんですよ。

大前提として、PCオンラインRPGを遊ぶプレイヤーって、今はかなり固定化しているんですよ。これ以上増えないんじゃないかという人もいるくらいです。こうした現状を、なんとか変えられないかと思いました。スマートフォン版は今冬、PS Vita版は来春発売予定です。東京ゲームショウで出展したところ、どちらも評判が良かったので、楽しみですね。

■トランステクノの感じをゲームでも出したかった
《小野憲史》
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