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プラチナゲームズを徹底攻略 稲葉敦志プロデューサーインタビュー(1)・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第41回

ゲームビジネス 開発

プラチナゲームズを徹底攻略 稲葉敦志プロデューサーインタビュー・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第4回
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  • ベヨネッタ
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ライトでポップなカジュアルゲームが巷にあふれる中で、『無限航路 -Infinite Space-』、『ベヨネッタ』と話題作を矢継ぎ早に切り出し、多くのゲーマーがガッツりプレイできる作品を提供してきたプラチナゲームズ。2010年には、ハードコアアクション好きの大人向けゲーム、『MADWORLD』が控えています。これまでの作品群で、みごとに自らのスタンスを明確にしたゲーム開発スタイルがとても気になり、早速訪問してきました。ここではその模様をお届けします。

稲葉敦志プロデューサー


■『ベヨネッタ』から、プラチナゲームズのアクションゲームに対するこだわりを感じ取ってほしい!

―――中村彰憲:これまで話題作が目白押しなわけですが、プラチナゲームズの目指すゲームとは何でしょう?

稲葉敦志プロデューサー(以下、稲葉):ゲームであるからには、「やってみたら面白いんだけどな」ではダメです。とはいいながらも、CM見て「すげえなっ!」って思って、映画を見に行ったら、CMが全部だった、なんていう映画もけっこうありますが、これもダメ。プラチナゲームズは、CMや雑誌でゲームを見て凄いなと思って買ってくれた皆さんが、ゲームを実際に触ったときにその期待感を凌駕するクオリティを目指しています。

―――『ベヨネッタ』はまさにそんな感じでしたよね。

稲葉:『ベヨネッタ』に関しては「全部入り」というのがコンセプトですから、もうお腹いっぱいになるまで許さない、という勢いで全てを入れました。サントラ(オリジナル・サウンドトラック)CDも150曲を収録しています。曲にこだわりの強い神谷英樹ディレクター(以下、神谷ディレクター)の意向であのようになりました。スタッフも音楽好きですからね。サントラは作品を気に入ってくれた皆さんが購入するわけなので、「完全なモノを提供したい」という思いからあのようになりました。ゲームは、買った人全員が最後までクリアするわけではないので、5000円出したのであれば、それ以上の価値があるものがいいわけです。途中でやめても、支払ったお金分の価値はあると感じさせるには、それ以上の価値を入れるということがサービスとしては適切かと思います。これはサントラについても同じ事ですね。



―――ベヨネッタもキャラクターとしてとても魅力的でしたね。

稲葉:『ベヨネッタ』は当初からスタイリッシュなセクシーさを前面に押し出すというコンセプトのもと開発されました。このスタイリッシュアクション系ゲームの開発経験は、過去にも神谷ディレクターをはじめ、本作品を手掛ける多くのスタッフが関わってきたものの、『ベヨネッタ』は、プラチナゲームズの中でゼロから開発しているということもあり、過去のしがらみが無く開発が出来ました。コンセプトにもクライマックス・アクションとあるように、映画におけるクライマックスが連続であるような、どこまでがデモシーンで、どこまでがプレイアブルなのか見分けがつかないような壮大なスケールの作品としてつくりあげました。映像としての迫力というよりは、体感する迫力という意味で新たな標準を確立できたと思っています。

■黒は今世代機だからこそ映える表現。本作品における神谷ディレクターの絶対的なこだわりがこの色にはあります!

ベヨネッタ


―――『ベヨネッタ』は色にも大変こだわっていますよね。

稲葉:魔女という設定もあるので、黒と世界観は切っても切り離せないというのもありますが、黒という色は今作において神谷ディレクターが譲らなかったところです。黒を主人公のカラーにしたい、というのはどんなクリエイターでも欲求をもっていると思います。黒はカッコよく且つ一番スタイリッシュにしやすい色なので。ですが、見えにくい。暗い(笑)。主人公がどこにいるか分からなくなってしまう。特にアクションゲームでそれは致命的です。動きが生えない、存在認識が出来ないということで、プレイステーション2の世代までは、それを生かすまでのグラフィック描画能力が無かったんです。今回やっと神谷ディレクターが以前からやりたいと思っていた、黒をモチーフとしたキャラクターを主人公に据えたアクションゲームが出来たのです。黒をゲームで使うことについては、周りの人も反対しました。リスクを感じるのは確かなので。ただ、結果としては成功したので本当によかったです。

―――設定についてはいかがでしょうか?

稲葉:『ベヨネッタ』の面白さは、いわゆる勧善懲悪ではなく、それを逆転させたことにあります。悪の象徴である魔女が善の象徴である天使を倒しにいくというのが、面白さにつながるわけです。このギャップ、または新鮮味が神谷ディレクターの狙いです。天使のデザインについても、攻撃でやられていく度に、装甲がはがれていくイメージにしました。醜い中身が序々に浮き彫りになっていく感じですね。これは、外見は綺麗でも内面は禍々しい様態を示すためです。

―――ベヨネッタの影が蝶を模っているわけですがこの発想はどこからきたのでしょう?

稲葉:これも神谷ディレクターのこだわりですね。

―――ローディング時間にチュートリアルを入れるといったアイデアは秀逸ですね。

稲葉:ローディング時間はゲームという側面で見るとムダな時間なので、なんとか何かを入れたいと思うわけですが、ゲームを遊ばせるという特許は他社が既に取得しているので、それ以外の方法を考えた結果、チュートリアルが生まれました。これで何気にコントローラを触っているだけも楽しくなったと思います。

―――ここまで爽快感あるアクションを生み出した秘訣というのはなんでしょう?

稲葉:やはり経験値のあるスタッフの存在です。ゲームにおける爽快感は、インターフェイスのしくみをつくりだすプログラマーと、キャラクターの動きを示すモーションデザイナーやアニメータとのやりとりで全てが決まるといても過言ではありません。ある程度の方向性はディレクターが決定しても、ひとつひとつの細かい動きを決めていくのはアニメータなので、そのコンビネーションが重要だということが言えるかと思います。

*  *  *  *

インタビューでも「全部入り」と言っていましたが、プラチナゲームズの『ベヨネッタ』にかける思いは、作品をやりこめばやりこむ程、その真意を実感することが出来ます。ゲームクリアのその瞬間まで、「手にとって遊ぶことのエンターテインメント性」について改めて納得させられるのです。そのような意味でも是非、エンドクレジットまで進んでもらいたい一作ですね。次回は、『MADWORLD』にプラチナゲームズが託した思いについて掲載する予定です。

中村彰憲氏による「ゲームビジネス新潮流」のバックナンバーは、姉妹紙「GameBusiness.jp」で読むことができます
《中村彰憲》

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