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【ゲームニュース一週間】コミュニケーションゲームから忍び寄る魔の手

今週はコミュニケーション型ゲームに関するショッキングなニュースが飛び込んできました。

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今週はコミュニケーション型ゲームに関するショッキングなニュースが飛び込んできました。

米国の中部ミズーリ州インターネット犯罪特捜部は『街へいこうよ どうぶつの森』のようにメッセージを交換できるゲームが犯罪のターゲットとなると警告。
これらのゲームはコミュニケーションが中核となっているため、間違った目的を持った大人が子供に接近しやすいとしています。

米国テキサス州のサンアントニオに住む親子はニンテンドーDSの『ピクトチャット』で恐ろしい思いをしたそうです。
Liz Guzmanさんの娘が『ピクトチャット』で遊んでいたところ、突然「Brandon」と名乗る何者かからメッセージが入りました。気味が悪くなったGuzmanさんがメッセージを消去したところ、「あなたはゲームで遊んでいますか?」「どんなゲームをしていますか?動物と一緒のゲームですか?私は動物を持っています。あなたはペットを飼っていますか?」と第二、第三のメッセージが着信。不審に思ったGuzmanさんは外へ出て「Brandon」を探すも見つからず、その間にも「私は休暇中です。写真を見たいですか?私にあなたの写真を送って下さい」というメッセージが『ピクトチャット』に表示されます。Guzmanさんが「Brandon」に止めるようメッセージを送ってやっと送信は止まったと言います。

次世代ゲーム機にはオンライン機能が搭載されており、インターネットを介して一緒にゲームを遊んだりメッセージをやり取りしたりできます。『Halo』を切っ掛けに知り合ったカップルが結婚まで漕ぎつけるような美談がある一方で、11歳の少女にヌード写真を要求した男が捕まるなどの事件も起こっています。

「ニンテンドーWi-Fiコネクション」に対応した多くのゲームでは、信頼しあえる仲間の証として「ともだちコード」を交換しないとメッセージをやり取りできないなどの対策が施されていますが、色んな人とゲームをしたいので自らネット上で「ともだちコード」を公開する場合もあります。こうなるとセキュリティも無力となります。

中部ミズーリ州インターネット犯罪特捜部は、大人が『街へいこうよ どうぶつの森』のようなゲームを遊ぶ理由はないとしていますが、その一方で、ネットの向こうに居るのが本当に善意の大人プレイヤーである可能性があります。子供が遊んでいるのを切っ掛けにゲームを始めた親であったり、純粋にゲームに惹かれた人であったり。どちらかというと、ヌード写真を要求される確率よりは善意の大人プレイヤーである可能性の方が圧倒的に高いでしょう。

オンライン要素のあるゲームを立ち上げると、「オンライン上での体験はレーティングの範囲外である」旨が表示される場合もあります。オンライン上での体験に「適切な」レーティングを適用することは不可能です。文字もしくは声をやり取りできれば、どんなこともできます。レーティングを付けるとすれば18歳未満禁止を意味する最高ランクのものとならざるを得ないでしょう。これはオンライン体験においてレーティングがいかに無力なものであるかを示しています。

オンラインで辛い体験をした子供の多くが、「これは自分だけに起こっている特別なことだ」と考えて自分一人での解決を図ろうとするそうです。悪意の大人が巧妙に子供を脅すようなケースでは尚更でしょう。では、完全にオンラインを閉鎖するとなってもそれは難しくなりつつあります。携帯ゲーム機はワイヤレスでの通信を売り物とし、アクセスポイントへの「ただ乗り」も社会問題となりつつあります。システム側、メーカー側での対策には限界があるのです。

こうなると、大人が最前線に立つしかありません。
ただ、「特別なトラブルに巻き込まれている」と感じている子供が大人に相談できるかというと難しいのも事実。
「親の側に属している」のではないネットワークに詳しい大人が、必要であれば親に秘密で相談に乗ってくれる。時にはオンラインで悪意の大人にガツンと言ってくれる。そんな機関が必要となっているのではないでしょうか。いわば「オンライン子供会」。コミュニティを作って子供が安心して遊べる環境を作る、これをオンラインでも行うというわけです。

幸いにも日本ではこうしたケースはまだまだ問題になっていないようですが、問題になった時には誰かが犠牲になっているのです。世論は極端から極端に向かうものですから、オンライン要素の全面規制ということになる前に、「オンライン子供会」の試みにはメーカーも参加すべきなのではないでしょうか。
《水口真》
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