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【OGC2008】JESPA設立準備会、特別顧問に森喜朗元総理を迎えるなど組織作りに着手

2007年のアジア室内競技大会にEスポーツが採用され、北京オリンピックの公認イベントにEスポーツトーナメントが予定されるなど、世界的に「ゲーム競技会のスポーツ化」が進んでいます。取り残された感のある日本のEスポーツはどうなるのでしょう。昨年に旗揚げされた「JESPA(日本Eスポーツ協会)設立準備会」の委員長補佐のひとり、平方彰氏が講演しました。

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2007年のアジア室内競技大会にEスポーツが採用され、北京オリンピックの公認イベントにEスポーツトーナメントが予定されるなど、世界的に「ゲーム競技会のスポーツ化」が進んでいます。取り残された感のある日本のEスポーツはどうなるのでしょう。昨年に旗揚げされた「JESPA(日本Eスポーツ協会)設立準備会」の委員長補佐のひとり、平方彰氏が講演しました。

JESPA設立準備委員会 平方彰氏


平方氏はまず、Eスポーツの世界史を簡単に紹介。1980年代にコンピュータゲームが誕生し、1990年代には日本に格闘ゲームブームが起こりました。この頃、欧米ではプロゲーリーグがスタートしており、韓国ではプロゲーマー誕生しています。WCG(ワールド・サイバー・ゲームズ)など世界的規模のオンライン対戦ゲーム競技会が企画され、そのキーワードとして「Eスポーツ」という言葉が定着しました。以降、中国では99番目の体育種目となって、ロシアで政府後援の大会が開催され、2007年にはアジアオリンピック評議会によってEスポーツが認められ、アジア室内競技大会の種目となりました。

JESPAの設立の目的として、平方氏は「アジア室内競技大会に選手を送り出す目的だった」と語りました。結果として2007年のマカオ大会には選手派遣が実現しませんでしたが、JESPA誕生のきっかけについての公式コメントはこれが初めてです。また、設立準備に電通社員の平方氏が関わっている経緯について「アジア大会に送る選手はJOC(日本オリンピック委員会)が選定します。したがってJOCに加盟または準加盟するか、日本を統一する団体が必要でした。電通はアジアオリンピック評議会の唯一のエージェントであり、JOCのマーケティングパートナーであるため、日本の統一Eスポーツ団体設立に着手したのです」と語りました。平方氏は電通スポーツ事業局企画業務推進部長の役職を持ち、日本国内のスポーツイベントのほとんどに携わってきたという手腕が、JESPAに活かされることとなりました。

JESPA設立のきっかけはアジア室内競技大会だった


JESPA設立準備委員会は昨年12月に旗揚げイベントとして日韓戦を開催しましたが、その後は目立った動きがありませんでした。しかし、この間に組織作りの基礎固めを行っていました。JESPA設立準備委員会の発足記者会見では衆議院議員の西村康稔氏が委員長として紹介されていましたが、その後の組織体制として、特別顧問に元総理大臣で日本体育協会会長の森喜朗氏が決まりました。また、理事として衆議院議員の馳浩氏、委員長補佐として平方氏のほかにエンターブレインの浜村弘一社長が就任しています。

特別顧問に元総理も参加


一方で、競技人口の拡大策、地区ごとの加盟団体の設置や既存団体との連携、協議会の開催については具体的な動きは報告されませんでした。設立準備委員会から正式な統一組織になるには財団法人化する必要がありますが、その財源などについても未定です。平方氏は「韓国で開催されたEスポーツカンファレンスに参加するなど、国際的にJESPAの知名度は上がっており、WCGなどの海外の大会の日本予選をやってほしい、という申し入れもあります」と明かし、JESPAの早期設立が急務であると強調しました。

プレイヤーの環境整備を進める


続いて平方氏は電通でのスポーツ事業の経験から「Eスポーツはコンピュータゲームの延長というだけではなく、スポーツコンテンツとして魅力のあるビジネス」とEスポーツを分析。その上で、JESPAが考えるEスポーツについて述べました。「スポーツにはジョギングなどのレクリエーションスポーツと、競技会などのチャンピオンシップスポーツがあります。ビデオゲームはレクリエーションとして発展していますが、そこにスポーツという概念はありませんでした。チャンピオンシップスポーツ面は海外で認知されているが、日本では(そもそもスポーツとしての)概念がありません」という現状の元で、平方氏は「JESPAはビデオゲームにチャンピオンシップスポーツという概念を植え込み、発展させていく」という考えを示しました。

JESPAの掲げるテーマ


ゲームが持つネガティブな側面をスポーツマンシップによって払拭し、そのためにEスポーツは「ゲーム業界の意識改革の手段」になります。平方氏はさらに、「Eスポーツのを日本の新しいエンターテイメントにするために、ゲーム業界だけではなく、国策として考える必要がある」と訴えました。韓国や中国のように、政府が積極的にゲーム産業に力を入れている国はEスポーツも発展しています。日本もそれに倣うべきだという考え方です。いや、倣うどころか日本が主導権を握る可能性もあるらしい。それは世界のEスポーツが抱えている「弱点」を日本が解決できるかもしれないからなのです。

Eスポーツはゲーム産業に寄与


Eスポーツの弱点とは「ゼネラルルールの不在」。世界共通の競技タイトルがなく、競技会の開催がゲームメーカーの意向で左右されてしまいます。また、国際統一組織がなく、日本どころか世界各国でも統一組織がないことです。実は、世界のEスポーツは企業主導のものが多く、国単位の統一組織はほとんどありません。唯一韓国にはeスポーツ協会がありますが、韓国政府が積極的に関与しています。つまり、JESPAは世界でも初めての民間主導のEスポーツ国内統一組織になるのです。もしJESPAが日本で活動を開始し、国を代表する組織として地盤を固めた場合、日本や韓国を中心とした世界統一組織の実現性も高くなります。現在、日本には世界のスポーツ統一組織の本部が置かれていません。柔道ですらソウルにあるのです。JESPAが成功すれば、世界のEスポーツをリードする立場になるかもしれません。世界のEスポーツにとってワールドスタンダードの確立とゼネラルルールに基づいたゲームソフトの開発は急務であり、そのためには世界各国に国単位の統一組織を作って、世界の意見を取りまとめる存在が必要となります。

さらに平方氏はJESPAのやるべきこととして、従来のスポーツにならったジュニア層の育成を挙げました。授業、課外授業、地域、クラブスポーツへの取り組みは他のスポーツ組織でも行われており、その推進力となる要素が「スポーツ界のスーパースター」と「国をあげて代表を応援するという意味でのナショナリズム」です。そのために平方氏は「中学、高校での部活動として採り入れてもらい、国体のような国内大会を実施する」、「日本国内のゲームメーカーと協同で"国技"となるゲームを開発する」、「これまでEスポーツを支えてきたプレイヤーと協力し、未来のEスポーツ開発へと繋げていく」などのアイデアを披露しました。

やることは多いが組織作りはこれから……


しかし、これらのアイデアや理想を具現化するためには、まず財団法人化への取り組みが必要で、そのためにはパートナーやサプライヤー、個人会員の募集も着手する必要があります。「知恵も志もあります、でもお金がありません」という状態なのです。JESPAの設立はプロゲーマーを目指すプレイヤーにとって福音ですが、その前途は厳しいといえます。

「Eスポーツのメリットをアピールし、いかに支援者を獲得していくか」これが早急の課題となっているようでした。
《杉山淳一》
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