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貧困家庭の少年が野球を進化させた!『パワプロ』にも反映されている“野村の考え”

『パワプロ2024』をプレイしつつ、野球の長足進化を促した野村克也監督の功績を振り返っていきます。

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貧困家庭の少年が野球を進化させた!『パワプロ』にも反映されている“野村の考え”
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『パワフルプロ野球2024-2025』(以下パワプロ2024)は、シリーズ30周年を記念する作品です。

2等身キャラという見た目に反して、野球という競技を緻密に再現した『パワプロ』シリーズは、それまでの野球ゲームの構造を根底から覆しました。ピッチャーの投げる球の左右だけでなく、上下即ち高低差を再現し、さらに個々の球種まで実装するという挑戦。それは日本球界が長年に渡って培ってきた理論をゲーム化するということでもありました。

投球の種類と高低差を再現する。これにより、「野村スコープ」に基づいた配球理論を実施できるようになりました。今回は『パワプロ2024』をプレイしつつ、野球の長足進化を促した野村克也監督の功績を振り返っていきます。

◆貧困から這い上がった少年

1935年、京都府竹野郡網野町(現在の京丹後市)に生まれた野村監督は、丹後ちりめんの生産で賑わう地元にいながら貧困に苦しむ少年時代を送りました。

父は野村監督の幼少期に戦病死し、母は癌を患い高額の医療費負担を背負ってしまいました。野村監督は家計を助けるため、小学生時代から新聞配達やアイスキャンディー売りを行います。この時代に蓄積した「大金を稼ぎたい!」という願望が、プロ野球の球場で爆発することになります。

野球に自分の人生を見出した野村監督が、捕手としてパ・リーグ南海ホークスに入団したのは1954年。年俸8万4,000円、契約金なしのテスト生という身分です。月割で計算すると、この当時の大卒初任給くらいはもらっていますが、プロ野球選手としては最底辺クラス。来年は自由契約になっている可能性が高い身分です。

実際に野村監督は、プロ生活1年目の終わりに球団から解雇を言い渡されたことがあり、「そうなったら南海電鉄に飛び込む」と言って何とかクビをつないだエピソードもあります。

◆「球種を読む」ことを確立した捕手

そんな野村監督は、本人も生前語っていたように「才能に恵まれている選手」というわけではありませんでした。

この時代の野球は、投手の投げた球に対して反射神経で打ち返す競技です。今のように「このピッチャーはこの場面で必ずこの球種をここに投げる」という推測は、「ヤマを張っている」と言われて邪道と思われていました。さらに、当時の捕手はあくまでも「投手の女房」。試合の組み立て方を主導する役割も、攻撃時のクリーンナップとしての役割も与えられていませんでした。

しかし、野村監督は先進的な指導者に恵まれました。

当時の南海ホークスの監督・鶴岡一人はスコアブックの重要さに目をつけ、日本球界で初めて専属スコアラーを導入した人物。データ野球の先駆けです。野村監督はそんな近代的思考をさらに発展させました。さらに、面識のない野球ファンに訳してもらったメジャーリーグの名選手テッド・ウィリアムズの著書『The Science of Hitting』(日本では『バッティングの科学』と呼ばれています)を読み、「ピッチャーは投球する前から既に球種を決めている(投球動作にそれが出てしまう)」ことを知ります。

次の球種を読むことは恥ではない。それを知った野村監督は、野球を「データを蓄積する競技」に変貌させる第一歩を踏み出しました。

◆捕手・野村克也を越える者はいなかった!

このピッチャーは、このスコアの時は必ずここへ投げるだろう。そうしたことを徹底的に調べ上げつつ、対戦バッターの癖や得意・苦手コースも洗い出して「打たれない配球」を随時指示する野球は、1960年代から確立されていきます。

1956年から1977年の長きに渡り南海の正捕手の座に君臨し続けた野村監督。その間に捕手が38人入団しますが、何と22人は一度も一軍に昇格せず引退します。一軍で100試合以上出場したのは、野村監督の前の正捕手松井淳と、野村監督とまったく同じ方向性のデータ野球を駆使した柴田猛のみ。

野村監督以上の野球理論で正捕手の座を奪った選手は、ついに登場しませんでした。

◆第二の革命「野村スコープ」

そんな野村監督は現役引退後、野球解説者として「現役時代の野球理論を茶の間に伝える」という第二の革命を起こしました。打者のストライクゾーンを四角で囲んで分かりやすく表示する「野村スコープ」です。

それまでの野球解説は、あくまでも「直後に発生した展開を後追いで説明する」ものでした。しかし、野村監督は「これから起こり得る展開」を極めて高い精度で言い当ててしまいます。決して明瞭とは言えないボソボソ声の解説に、全国の野球ファンは真剣に耳を傾けました。

野球は運動神経だけでやるものではなく、蓄積したデータの分析力が物を言う。貧困家庭出身のテスト生は、野球を知的なスポーツに変貌させたのです。

◆パワプロが再現した「駆け引きの野球」

『パワプロ2024』でも、野村監督が一生涯を費やした「駆け引きの野球」がしっかり再現されています。

ここに投げれば、とりあえず抑えられるだろう。しかし、ピッチャーのコントロールが低いせいで時たま外れてしまう……という現実のプロ野球と同様の駆け引きがそこにあります。

また、野村監督や鶴岡監督が強く胸に刻んでいた「グラゼニ(グラウンドには“ゼニ”が落ちている)」要素も。野球選手としての人生を体験できる「マイライフ」で、弱肉強食のプロ野球界で活躍する(もしくは夢半ばで敗れ去る)こともできます。

今年の夏は、野球しようぜ!


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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