人生にゲームをプラスするメディア

『NieR:Automata』発売から6周年―ヨコオタロウ氏が「全ボツになった」と語るアニメのこれまでを振り返る

2023年2月23日に、発売から6周年を迎える『NieR:Automata』(以下、『ニーア オートマタ』)。今回はアニメについて語っていきます。

その他 アニメ
『NieR:Automata』発売から6周年―ヨコオタロウ氏が「全ボツになった」と語るアニメのこれまでを振り返る
  • 『NieR:Automata』発売から6周年―ヨコオタロウ氏が「全ボツになった」と語るアニメのこれまでを振り返る
  • 『NieR:Automata』発売から6周年―ヨコオタロウ氏が「全ボツになった」と語るアニメのこれまでを振り返る
  • 『NieR:Automata』発売から6周年―ヨコオタロウ氏が「全ボツになった」と語るアニメのこれまでを振り返る
  • 『NieR:Automata』発売から6周年―ヨコオタロウ氏が「全ボツになった」と語るアニメのこれまでを振り返る

『NieR:Automata』(以下、『ニーア オートマタ』)は、2017年にスクウェア・エニックスから発売されたアクションRPGであり、2017年2月23日に発売されると、特異な舞台背景と爽快さあるアクションゲームとして人気を博し、その後数年に渡って支持を集めるロングヒット作品です。

そんな本作品がアニメ化を発表されたのは、2022年2月23日の5周年特番番組でのこと。約1年後の2023年1月から『NieR:Automata Ver1.1a』というタイトルで放映がスタートしました。新型コロナウイルスの感染拡大によって制作スケジュールに影響が生じ、一時期放映がストップしていましたが、2月18日からふたたび放映が再開しました。

2月23日はゲーム発売からちょうど6周年を迎えるこのタイミング。いちどゲーム・アニメ作品についておさらいをしてみようと思います。

◆『ドラッグオンドラグーン』から派生するストーリー

元々『ニーア オートマタ』へと繋がっていく最初の作品として、『ドラッグオンドラグーン』があります。この作品で描かれるとあるエンディングから派生したのが「ニーアシリーズ」になります。

2010年に発売された『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』の2作が発売され、ここで描かれた時代から約数千年後の世界となるのが、本作『ニーア オートマタ』です。

異星人による侵略行為によって月へと追いやられてしまった人類。生まれ故郷である地球奪還を目指して生みだしたアンドロイド兵士たちと、異星人が生みだした機械生命体らが長きに渡って代理戦争をしつづけている世界が舞台となっています。

主人公であるアンドロイド兵士が「なぜ自分たちが生まれてきたのか?」「どうして戦いへと向かわざるを得ないのか?」などを深く思索しながら、さまざまな不思議な現象や謎が徐々に明らかになっていきます。

女性型AIのヨルハ二号B型(通称:2B)がメイン主人公、その相棒である男性型AIのヨルハ九号S型(通称:9S)とともにストーリーが展開していく内容です。

◆2B役と9S役の声優が語る、「演じ直し」で生まれた想い

『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマン役や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のヴァイオレット・エヴァーガーデン役で知られる石川由依さんが2B役を、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎や『東京喰種トーキョーグール』の金木研などで知られる花江夏樹さんが9S役をそれぞれ演じています。両者ともに「実力派」たる由縁を遺憾なく発揮し、切なくもドラマティックなストーリーをより一層印象深いものへと昇華しています。

今回のアニメ化で注目すべき点はいくつかありますが、まずは演技する声優、特に石川さん・花江さんについて記していきます。

ゲームの収録からすでに7年以上が経過していますが、折に触れてイベントが開催され、『NieR Music Concert ≪人形達ノ記憶≫』『NieR:Automata FAN FESTIVAL 12022 壊レタ五年間ノ声』などで朗読劇や音楽劇もこなしてきました。

「ゲーム収録の時は、まだ完成した画面を見られていなかったので、自分でシチュエーションを想像して表現していたところもあった」と花江さんが語れば、「朗読劇では一緒に演じたことがあったのですが、アフレコでは初めてだったので、すごく新鮮」「ついつい無邪気な9Sのテンションに引っ張られてしまいそうな時があって。9Sを身近に感じてしまうことで感情を出してしまいそうになるのをグッと堪えていました」と石川さんはアニメイトの取材で答えています。

隣に相棒がいながら交わす会話演技についつい当人らも引っ張られつつ、7年もの時を経ての「演じ直し」は新たな魅力となって作品・キャラクターに命を吹き込んでいます。

◆ヨコオタロウ氏が本格参戦……と思いきやあらすじが全ボツに?

気になるストーリーラインですが、『ドラッグオンドラグーン』から『ニーア』シリーズまでの全作品に制作参加していたディレクター兼脚本家・ヨコオタロウさんが、「ゲーム原作をぶっ壊す勢いのオリジナルストーリーを展開しよう!」と試みますが…1話のあらすじをゲームとは全然違うモノを提出したら全ボツになった模様。

アニメストーリーはゲーム原作をなぞりつつ、少々の変更点がなされたものとなっている模様。『NieR:Automata Ver1.1a』の「ver1.1a」には、そういったオリジナリティの意味合いがこめられています。

ヨコオさんの暴走(?)をアニメスタッフ陣が食い止めるという謎の構図が出来上がりつつも、実際に放映されたここまでの4話は、原作のゲームシーンに目くばせしつつ、アニメ作品らしいカット割りやアクションシーン、ゲームでは見せなかったようなちょっとした表情変化をうまく描写しています。

3DCGを使用したキャラクターモデリングやオープンワールド制を採用して廃墟・森林・砂漠とさまざまなロケーションで描いたCG美術・エフェクトで目を奪った原作ゲームとは違う、「アニメオリジナル」な作品へと仕上がっている印象です。

◆制作陣へのQ&Aも話題に

ちなみに制作スケジュールに影響が生じてテレビ放映が止まっていた約3週もの間、Twitter上でハッシュタグ「#ニーアアニメスタッフに質問」を通じてファンから質問を募集し、答えています。

その一部をピックアップしてみましょう。

【Q】ゲームの3DCGモデルは流用されているのでしょうか
【A】ゲームの質感を使用するものは流用になりますが、セル質感の物に関しては、作画と合わせた時の印象も考えてディテールの整理や追加が必要になるため、お借りしたモデルを参考に作り直しています。(CG/野間)

【Q】原作を知る人知らない人共に楽しめる工夫とは?
【A】初見の方には物語に対して引っ掛かりなく見れるように、かつゲームの知識がある方にはアニメ独自の展開や表現を配置することで、アニメも新鮮な気持ちで見ることができるように工夫しています。(監督/益山)

【Q】爆発や煙は専門に描かれる方がいるのですか?
【A】作品に合ったリアル目なエフェクト感をチョイスして反映できるよう作業しております。原作にあるエフェクトについてはあまり逸脱せず、その上でアニメ映えするように盛れるよう気を付けています。(AC監修/橘)

【Q】機械生命体は3Dベースですか?手描きですか?
【A】機械生命体は3Dの場合もあれば、手描きのことも多いです。シーンのまとまりやカットの内容ごとに使い分けています。手描きの際はご質問の通り、ゲームや3Dの動きをベースに描いています。(アニメP/藤井)

【Q】唇の色がツヤツヤで好きです。
【A】キャラデの中井さんの唇へのこだわりからアニメでの艶やかな唇が描かれています。色に関しての話では、作画的な都合もあるのですが、口紅ではなく「唇」としての色を意識して作っています。(アニメP/藤井)

【Q】第1話でこだわったシーンは?
【A】負傷した9Sの「その戦いに誇りを」のセリフ直後の、2Bの顔アップカットです。CGをアニメの絵に上手く落とし込むことができた自信のあるカットなので、第1話では特に気に入っています。(監督/益山)

【Q】構成はどうやって決めていったのでしょうか?
【A】シリーズ構成を決める上で、1話はゲームと同様にチュートリアル的なお話、そしてゲームの再現にこだわった話数にし、2話をアニメの物語の始まりとして描こうとした流れで、今回の構成になりました。(監督/益山)

【Q】もしかして工場廃墟なども手書きですか?
【A】工場などの背景も一枚一枚手描きで美術さんが描いてくださっています!ただ、背景も最近は3Dで起こしたり、このアニメでも出てきますが、空間自体を3Dで作って背景とする場合もあります。(アニメP/藤井)

益山監督が答えているように、アニメ第1話では同作品の舞台設定・2人の関係性・「アンドロイド兵士とはどういう存在か?」までがセンセーショナルに描かれており、初めて同作品を知る人も心奪われるはずです。

どのようなアニメーションや演技が表現されるのか?もしかしてヨコオさんによるアニメオリジナルの幕切れへと向かっていくのか?放送が無事再開した『ニーア オートマタ』を最後まで追いかけていきましょう。


ニーア オートマタ ゲーム オブ ザ ヨルハ エディション - PS4
¥4,155
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

その他 アクセスランキング

  1. 映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」本予告映像が解禁!“Ξガンダム”飾るIMAXビジュアルもカッコイイ

    映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」本予告映像が解禁!“Ξガンダム”飾るIMAXビジュアルもカッコイイ

  2. お前はガンダムではない…ガンプラコンテストに「中国製プラモ」がミキシングと偽って応募され騒動に

    お前はガンダムではない…ガンプラコンテストに「中国製プラモ」がミキシングと偽って応募され騒動に

  3. マクドナルドが『ドラクエ』とコラボか?なじみ深い「はい」「いいえ」のメッセージウィンドウで匂わせ

    マクドナルドが『ドラクエ』とコラボか?なじみ深い「はい」「いいえ」のメッセージウィンドウで匂わせ

  4. 漫画「機動戦士ガンダム サンダーボルト」最終巻直前までの全話無料キャンペーン開催!12月17日0時より48時間限定

  5. 映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」特報映像が解禁!今冬劇場公開へ

  6. 最新映像やキャラ、MSも解禁!映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」2026年1月30日公開決定

  7. 【総力特集】『ゲームキャラのお尻』を本気でレビューしてみた!

  8. 声優・ 高野 麻里佳さんが適応障害の診断を受け活動制限へ―『ウマ娘』サイレンススズカや『アークナイツ』ラ・プルマを担当

アクセスランキングをもっと見る