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『ミストトレインガールズ』を支えるチームの“熱意”とは―チームくまさん・長谷川Pインタビュー

長谷川P「純粋に“楽しんでもらえれば”という思いでコンテンツを作っています」

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『ミストトレインガールズ』を支えるチームの“熱意”とは―チームくまさん・長谷川Pインタビュー
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DMM GAMESより配信が予定されている『ミストトレインガールズ ~霧の世界の車窓から~(以下、ミストレ)』。DMM GAMES内に新しく設立された「クリエイティブチーム くまさん(以下、チームくまさん)」が手掛ける本作は、霧に侵食される世界を舞台に、主人公と少女たちが「列車」に乗って世界をめぐり、問題を解決していくRPGです。

本作のプロデューサーおよびクリエイティブディレクターを務めるのは、チームくまさんの立ち上げを主導した長谷川雄大氏。『フラワーナイトガール』『ガールズシンフォニー』といったタイトルを手掛けてきた長谷川氏に、チームくまさんの処女作となる『ミストレ』へどのような思いを込めているのか、そしてリリース直前となった本作の魅力を伺いました。

――まず、長谷川さん自身について教えてください。

長谷川DMMに入社して6年目になります。前職ではKADOKAWAさんに在籍していました。弊社に入ってからは、最初はサポート的な形で色々なタイトルに関わっていましたが、その後『フラワーナイトガール』ではプロデューサーとして、『ガールズシンフォニー』『リブレス』ではクリエイティブ面でガッツリと携わっています。

今回の『ミストレ』は、初めてクリエイティブチームの立ち上げから携わり、私自身もプロデューサー/クリエイティブディレクターを努めていくタイトルになります。


――今回立ち上げられた「チームくまさん」ですが、設立の経緯は?

長谷川先程プロデューサーやクリエイティブ面を見てきたと話しましたが、実はほぼ私一人でやっていまして。私自身「一人でも大丈夫」とは思っていたのですが、やはりひとりでできることって限界があるんですよね。そこで、私がいなくてもしっかりとした物が作れるチームを立ち上げたいと、弊社の代表へ持ちかけたのがきっかけですね。

代表へ話をしてから一ヶ月位でチームを立ち上げられるようになり、メンバー集めもできるようになりました。『ミストトレインガールズ』も最初は私一人で進めていましたが、(立ち上げ)のOKが出たこともあり、2019年のTGSで発表される2,3ヶ月前には本格的にチームで動き出すことができました。

『ミストトレインガールズ』は、チームくまさん・DMM GAMES・KMSの共同で制作が進んでいますが、今後も社内・社外問わず様々な会社さんとご一緒させていただき、その中でしっかりとクリエイティブを作っていければと思い、今回改めて「チームくまさん」立ち上げの発表をさせていただきました。

――「チームくまさん」のメンバーについても、少し教えていただけますか?

長谷川メンバーとしては私の他に、『ミストトレインガールズ』のPVにも出ている、かんなぎれい・メロントマリという2人のイラストレーター(企画・ディレクション等も兼任)に加え、今の所は他に2名ほど在籍しています。まだ出来たてのチームなので、ひとまず『ミストトレインガールズ』でちゃんとしたものを作ろうと日々動いているところですね。


――では「チームくまさん」が手掛ける第1弾タイトル『ミストトレインガールズ』について聞いていければと思います。まず目に入るのが、シナリオ面ではKADOKAWAさん/日日日(あきら)さんが参加されていますが、どのような経緯でお願いすることになったのでしょうか。

長谷川KADOKAWAさんについては、前職でともに走ってきた仲間という縁があり、日日日さんについても、前職からずっと作品を拝見してその実力を感じていました。今回、日日日さんの他に、『フラワーナイトガール』等でもシナリオをお願いしている川添枯美さんというライターも一緒に入っていただけるとのことになりまして。KADOKAWAさん・日日日さん・川添さんと是非一緒に仕事をしたいなと思ってお願いしました。

正直、日日日さんについては、R-18版もあるので難しいかなと思っていて。我々も(R-18版の)広告などではお名前を出さないようにしていたのですが、ご本人は意外と気にしていなくて(笑)。Twitterなどでも「エロゲ初めてです!」みたいなことをつぶやいてくれたのは、我々も驚きました。

最初はどこまでやってもらえるのかわからなかったのですが、日日日さんも川添さんも、かなりの熱量を持って書いてくれています。メインストーリーのみならず、本当に細かいところまで見てくださっていて、とても感謝しています。

※シナリオを担当する川添氏、日日日氏からのコメントも掲載!
■川添枯美さん
キャラ設定からメインシナリオ、イベントと、シナリオに関する重要な部分に関わらせて頂いています。
この幻想的な世界観にユーザー様が入り込めるよう、日日日さんと色々と相談しながら割と思い切って書いています。

■日日日さん
本作ではキャラ設定やシナリオ、ボイスなどを作成してます。
川添さんが築きあげた美しい世界観をさらに広げ、深める、という名目でわりと好き放題にやってます。
宇宙人を出してみたり。

――設定とかもすごく練られていますよね。実際、どのくらいのボリュームがあるのでしょう。

長谷川実は、最初の企画段階ではとてもタイトなスケジュールで設定を出す必要に迫られてまして……。骨子の部分だけ見ると、ボリューム的にはすごく少ないところから始まっています。

ただ、その骨子の状態から、シナリオチームやKMSさん、サウンドチームなどからのアイディアを元にどんどん設定を加えています。キャラクターの設定にしても、びっくりするくらい細かなところまでまとめられているので、今まとめるとものすごい量になるでしょうね(笑)。

――紙にまとめたらどのくらいの枚数になるか、気になりますね……。ゲームのテーマ的には「列車」ということになるのでしょうか。

長谷川テーマの一つとしてはそうですね。列車を使って特色のある様々な国をめぐり、各国ではその国のエッセンスを散りばめたキャラクターたちが登場します。よく勘違いされるのですが、列車の擬人化、というわけではないです。


――「列車」をテーマの一つに据えた理由というのはあるのでしょうか。

長谷川KADOKAWAさんの方と私で「あれやりたい、これやりたい」と話していたのですが、私はずっと「スチームパンク」というか、煙った世界観の作品を作ってみたいなと思っていまして。それなら、「列車」「汽車」というのが合っているのではないかと。ちなみに、KADOKAWAさんも私も、某ゲームがとても好きでして。某ゲームへのリスペクトも入っています。

――某ゲーム……。なんとなく察しました。ストーリー構成としては、メイン+キャラストーリーのような形になるのでしょうか。

長谷川そうですね。メインストーリーを進めると、どんどんキャラクターたちの関係値が見えていきます。先程キャラごとの設定が細かいと話しましたが、キャラ同士で様々な関係がありますね。

――すり合わせが大変そうですね。

長谷川そうですね。でも、そのあたりは、KADOKAWAさん・日日日さん・川添さんがガッツリ作られているので、大丈夫だと思います。

設定も多いですが、サービス開始時点で実装されるシナリオもかなり多くなっています。ライトノベル何冊分になるんだろうこれ、みたいな(笑)。

――ボリュームありますね!物語としては、国をひとつひとつ回っていく形になるのでしょうか。

長谷川物語はセントイリスから始まり、様々な国を回りながら、国境にそびえる巨大樹の調査をし、問題解決の糸口を探っていくというのが大まかな流れになります。巨大樹は世界を脅かす「霧」の原因とされています。様々なモンスターが出てきますが、「霧」を利用しようとする人間も敵として登場します。


――プレイアブルキャラクターは、サービス開始時点で何名ほどになるのでしょう。

長谷川40人程度になると思います。多いほうかなとは思うのですが、ゲームのシステム上、キャラクター一人一人の深堀り要素も多くなっています。お気に入りのキャラクターをより深く理解することができると思いますよ。

――ちなみに、男性キャラクターって主人公以外にも存在するのでしょうか。

長谷川物語的にはもちろん登場します。ただ、プレイアブルとしては女の子だけです。普通に男女存在する世界観なのですが、(プレイアブルとして出すのは)ユーザーさん的にも求められてないかなと。

――キャラクター同士の掛け合いも凝られているとか。

長谷川そうですね。特定の場所を切り出して紹介するのが難しいのですが、関係性はやはり重視しています。この辺りは、実際にゲームをプレイして読んで頂くのが一番ですね。

――キャラクタービジュアルも特徴的ですね。今回はみんな制服、ということになるのでしょうか。

長谷川『ミストトレインガールズ』は、ストーリーにもある通り、軍学校を舞台にしているように学園のモノに近くなっています。ゲーム中で回ることになる5つの国(セントイリス、アイゼングラート、ヴェルフォレット、ニシキ、フレイマリン)では、大地を侵食する霧に対処するための精鋭を養成する軍学校を設立しています。各国の軍学校から特にエリートな精鋭が「特鉄隊」という部隊に配属され、車掌を務める主人公とともに各国を旅することとなり、霧への対処法やこの世界の謎を探っていくというのが大まかなストーリーになっています。

物語のスタート地点・セントイリス

雪と鋼鉄の国・アイゼングラート

――しかし、様々な国から多くのキャラクターが出るとなると、統一感、みたいなものを出すのは結構大変だったりするのではないでしょうか。

長谷川テーマ制の部分で「霧に対処する部隊」としての統一感は出したいと思っていました。今回は、「セントイリス」の制服と、ナビキャラ・パディントンの車掌服、海の国「フレイマリン」の制服は、かんなぎれいさんがデザイン。「アイゼングラート」の制服はメロントマリさんがデザインと、それぞれで担当が違うのですが、最初に制服デザインから始めることで、学園モノとしての統一感をだしています。もちろん、キャラクターそれぞれ、ある程度の着崩しやアレンジは許容していて、「このキャラならこう着崩すかな」というのを考えながらデザインしています。

セントイリス制服。左が「騎士科」、右が神託を受けた「神子」専用のもの

アイゼングラート制服(左)、ヴェルフォレット制服(右)

ニシキ制服(左)、フレイマリン制服(右)

――ナビキャラのパディントンは、名前や服装にクマの意匠が入っていてかわいいですよね。「チームくまさん」だからだったりするのでしょうか?

長谷川そうですね(笑)。実は、もともと私が別タイトルでユーザーから「くまさん」と呼ばれていたり、かんなぎれいさんのクマ好きもあって「チームくまさん」というチーム名になっています。じゃあ、せっかくの処女作なので、クマのモチーフも入れていこうと(笑)。かんなぎれいさんがデザインした他のキャラクターとかにもクマのモチーフが入っていたりしますね。

ナビキャラクター・パディントン

――キャラクターのお話について、もう少し伺えればと思いますが、長谷川さんのお気に入りの娘はいますか?

長谷川ヤクーツクという銀髪のロリっ娘ですね。最初はお姉さんタイプだったのですが、私がシナリオチームに無理を言ってロリっ娘に変えてもらいました(笑)。すごくかわいいキャラクターになったので、思い入れの深い娘です。ちなみに、メロントマリさんはルーアン、かんなぎれいさんはパディントンがお気に入りみたいですよ。

ヤクーツク(左)、ルーアン(右)

――今回、キャラクターの表現の一つとして、アニメタッチで描かれる「ARイラスト」というものが入ると思うのですが、改めてこの「ARイラスト」について教えていただけますか。

長谷川今回ストーリーがかなり面白くなっていて、なるべく没入感を持ったまま、一つの作品として楽しんでいただくことを目指しているので、採用しました。私自身が直接筆を入れて制作していますが、通常の立ち絵とかとはかなり違って、本当に一つのアニメ作品のような形で世界に浸れると思っています。ARイラストのデザインをベースに、戦闘中のカットインを作ることもあるので、かなり力とこだわりを入れて作っていますね。

ヤクーツクとルーアンのARイラスト。
上に掲載したイラストと比べると、よりアニメ調になっていることがわかる

――ストーリーを読むのが楽しみになりますね……!メディアミックス的な展開も考えているんですか?

長谷川そうですね。いくつかは考えていて、まだ確定しているわけではないのですが、メディアミックスも行っていく予定です。

――いろいろとこだわりが詰め込まれた『ミストレ』ですが、制作していて特に「楽しい!」と思うところはありますか?

長谷川今まで自分一人で色々と手掛けることが多かったのですが、それをチームとして「あれをやりたい、これをやりたい」とワイワイと支え合いながら作り上げていくのは楽しいですね。やっぱり一人でやっているときは大変な部分も多くあったのですが、『ミストレ』に関しては全てが楽しくて、「チームで作るのってこんなに楽しいのか!」と喜びに満ち溢れてます。

今回、チームくまさんだけでなく、KMSさんやベイシスケイプさんといった実績のある会社さんと共に制作しています。本当にみなさん熱意を持って制作に取り組んでいて、本来動くはずのものではないものが動いたりとか、私の想定を超えたものができるようになっているのも、本当に楽しいですね。

このゲームを通して世に伝えたいものがあるかと言われるとそんなこともなくて、純粋に「楽しんでもらえれば」という思いでコンテンツを作っています。チームも開発会社さんも、ひとりひとりが熱意を持って制作しているので、今まで私が手掛けたタイトルを遊んでくれていた方々も、初めての方も、ぜひ楽しんでもらえればと思います。


――楽しみにしています。ちなみに、この『ミストレ』以外にも、チームくまさんで動いてるものはあるんですか?

長谷川ありますよ。『ミストレ』の他に制作に入っているのが2つ。まだ企画段階ですが、かんなぎれいさん主導のものと、私が主導のものがそれぞれ1つずつありますね。『ミストレ』がまさにそうだったのですが、世の情勢的にも、小出しにしていくよりはある程度完成が見えてからきちんと発表しようと思っています。

――チームくまさんの今後にも期待ですね!本日はありがとうございました。




『ミストトレインガールズ』は現在事前登録を実施中。対応機種はブラウザ(PC、スマートフォン)および「DMM Android」で、基本プレイ無料のアイテム課金制です。

『ミストトレインガールズ』公式サイト
すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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