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困難に直面したとき、あなたは何を選ぶのか―スイッチ向けサイコロジカルホラーADV『Tokyo Dark -Remembrance-』プレイレポ&インタビュー

2019年11月7日よりニンテンドースイッチ向けに配信された『Tokyo Dark -Remembrance-』。PC版から進化したポイントや新要素を、プレイレポートとインタビューを交えて紹介します。

任天堂 Nintendo Switch
困難に直面したとき、あなたは何を選ぶのか―スイッチ向けサイコロジカルホラーADV『Tokyo Dark -Remembrance-』プレイレポ&インタビュー
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『Tokyo Dark -Remenbrance-』が描いたものとは?


さて、ここからはCherrymochiのCo-founder兼Producerのウィリアムズ真保氏(もう一人のCo-founderは夫でありディレクターのジョン氏)と、コンシューマーへの移植を担当したメビウスのプランナー・喜多村明夫氏へのインタビューをお届けします。

ウィリアムズ真保氏

――『Tokyo Dark -Remenbrance-』はいくつかのイベントで試遊出展されていましたね。反応はいかがでしたか?

ウィリアムズオリジナル版をプレイした方が来てくださったのはうれしかったです。初めてプレイした方も、ハンドヘルドがゲームに合っていると言ってくださいましたね。操作性も上がっていて、プレイしやすくなったようで良かったです。

――移植に際して、表現の修正はありましたか?

ウィリアムズありました。メビウスさんに移植をお願いしたときに、まず日本人アーティストの方にアートを見ていただいて、キャラクターにより深みが生まれるよう改良したり、より日本らしく見える背景に修正していただきました。その上で、変えておいたほうがいい点は喜多村さんの目でチェックしていただきましたね。

喜多村どこで怒られるかは大体わかっていたんですよ。表現的に引っかかりそうなところは修正したんですが、それでも引っかかりましたね(笑)。

――文章でも変更した箇所はあったのでしょうか?

ウィリアムズ日本語の文章もより読みやすく、かつきちんと辻褄が合うようになっています。意味が同じでも違う語彙で表現したり、柔らかくされていますね。

喜多村攻撃的な会話が多いのも、ある意味で今の東京っぽいんですよね。

――移植も含めて、開発の経緯を教えてください。

ウィリアムズオリジナル版は4人の外国人で開発していました。ジョンだけ日本にいて、キャラクターアーティストがイタリア、音楽担当がイギリス、スクリプトライターがアメリカにいます。


もともと、2Dに特化した「Construct 2」というゲームエンジンを使って開発していました。「Unity」などと比べると小さなゲームエンジンです。ただ、Construct 2はコンシューマーへの移植が難しいと言われているゲームエンジンなんですね。他の会社さんからもお話をいただいたんですが、「やっぱり無理です」と断られたこともありました。

なので、cherrymochiの中でコンシューマーへの移植はほぼ諦めていたんですが、メビウスさんからお話をいただいて、オリジナル版を引き継いですべて開発していただきました。

喜多村難しくないだろうと考えていたのですが、1年半くらいかかってしまいましたね……。

ウィリアムズ最初からUnityで作り直すより、Construct 2のスクリプトを使った方が早いだろうと進めたのですが、予期しなかった問題が多々出て、発売が延びてしまったんです。

喜多村Construct 2で作っていたものをUnityに持ってきたときに、バグが発生するケースがありまして、それが一番大きかったですね。

――最終的にはUnityで開発したんですか?

喜多村そうです。Nintendo Switch版もPS4版もほぼ同時期にリリースできるのはそのためです。

――具体的にはどういった点で苦労されたのでしょうか?

喜多村一部ぼかされたようなエフェクトや、水面のゆらぎを表現するエフェクトをUnityに持ってくることですね。Construct 2ではほぼデフォルトで表現できるんですが、Unityだと難しいんですよ。

ウィリアムズ提案されたものも、私たちが「雰囲気が違うから」とNGにしたものもあって、時間がかかりましたね。

喜多村逆にビジュアルなどはほぼ一発OKでした。エフェクトに苦労しましたね。

――そこはぜひユーザーさんに見ていただきたいですね。

ウィリアムズそうですね。普通にゲームをプレイしていたら気づかないところなんですが、あるのとないのでは深みが変わってくるので、妥協はしたくなかったんです。

東京のコントラストを描く


――改めて、『Tokyo Dark』のコンセプトを教えてください。

ウィリアムズジョンは、外国人から見た日本を創作物に落とし込みたかったようです。日本の文化やビジュアルノベル、アニメスタイルを盛り込みつつ、彼が子どもの頃からプレイしていたポイントアンドクリック形式を(オリジナル版で)取り入れるなど、自分の興味の対象を融合させたものを作りたいという思いがありました。

――物語は海外の刑事モノのような重さ、深みがありますね。刑事モノになった理由は何ですか?

ウィリアムズ強くて、独立した女性を描きたいという考えがありました。あとは『攻殻機動隊』の大ファンということもあります(笑)。ミステリーとして刑事モノは入りやすく、話を進めやすいということもあったと思います。

――序盤からハードなシチュエーションだったのが印象的でした。

ウィリアムズジョンは、最初の30分でプレイヤーを物語に引き込まないといけないと考えていました。物語を事件発生から淡々と描くのではなく、印象的なシーンを最初に持ってくることはディレクションで狙ったところだと思います。

――鎌倉も含めて、首都圏のさまざまな場所が登場しますね。

ウィリアムズ私たち夫妻が住んでいた鎌倉や横浜、東京で、自分たちの身で感じたことをふんだんにゲームの中に取り入れています。

最後のシーンで東京の地下に潜る場面があるんですが、先日の大型台風のときにも活躍した“地下神殿”(首都圏外郭放水路)に実際に行ってきました。長い階段を20分くらいかけて下っていくんですよ。暗くてジメジメしていて、圧迫感があって、その雰囲気も取り入れました。

――明るい街中とのコントラストがよく出ていますね。

ウィリアムズ日本の社会や街並みを見せるためにも、秋葉原などのポップなイメージの場所と、暗くて圧迫感のある場所の両方を取り入れたかったんですね。


――神社や能面が出てきますが、日本文化を積極的に取り入れたいという考えもあったんですか?

ウィリアムズ自宅兼オフィスが鎌倉にあったので、週末には鎌倉周辺をよくハイキングしていたんですね。そこでジョンが大好きになった場所が、北条氏の一族が集団自決をしたところで。そういう陰惨な歴史に惹かれて、鎌倉の歴史を勉強したり、平家物語を読んだりして、日本の歴史を取り入れました。

――ゲームボリュームはどれくらいですか?

ウィリアムズ読むのが早い方で5時間~6時間ですね。ただ選択肢によってプレイ時間も変わりますね。最後のエンディングもどれを選ぶかで1時間くらい違ってくると思います。

強く、自分の道を切り拓く女性


――絢美はどのようなイメージで描かれたのでしょうか?

ウィリアムズジョンが海外の人間というのもあると思いますが、絢美は彼が考える刑事像、女性像をふんだんに取り入れていますね。強くて自分の道を切り拓いていける女性というイメージがありました。外見も、ジョンのイメージをキャラクターアーティストに伝えて、3パターンくらい出してもらいました。

――ボイスも変わっているのですか?

ウィリアムズコンシューマー版では大原さやかさんに演じていただいています。私は『ファイナルファンタジーXIV』の大ファンで、ルキアの声を聞いて「この人が絢美をやってくれたら夢みたいだ」と思っていたんですが、メビウスさんが実現してくださいました。レコーディングは感動モノでしたね。


――メインキャラクター以外の人物も、とても日本人らしいですよね。電車に乗っている小学生とか、見覚えがあります。

ウィリアムズ開発スタッフは4人とも外国人ですが、全員日本に住んだことがあるか、長く滞在したことがあるんです。キャラクターアーティストも日本に長期間いながら、ずっと渋谷などでスケッチをして、それを元にアートを作っています。

――アニメーションも入っていて、演出にかなり力を入れていらっしゃいますね。

ウィリアムズアニメーションは当初のプランでは入っていませんでした。Kickstarterで予算を集めていた中に、「日本のアニメーション会社が制作したアニメが入る」というストレッチゴールがあったんですが、あっという間にそこまで行ったんです。

海外には、日本の会社が作るアニメーションの熱烈なファンがたくさんいらっしゃいます。彼らの熱い気持ちが、アニメーション制作につながりました。

制作はグラフィニカさんです。ジョンがラフなストーリーボードを考えて、それを元にグラフィニカさんが制作してくださっています。アニメーションを各所に散りばめることでゲームとしての重みも出ましたし、良いものに仕上がりましたので、グラフィニカさんにはとても感謝しています。

――お気に入りのキャラクターはいますか?

ウィリアムズ私はメイドの「♪♪あいこ♪♪」ちゃんですね。


喜多村日本文化を感じさせる言葉を話してくれる子ですね。

ウィリアムズあのぶっ飛んでいる感じが大好きです。

喜多村僕は駅員の間明(まぎら)さんですね。会話パートで、かみ合わないながらも頑張って話そうとするところが笑いを誘います(笑)。

――ありがとうございます。最後に、このストーリーで描きたかったことを教えてください。

ウィリアムズジョンの根底にあったのは、困難に直面したときにどう乗り越えるのか、他者に対して自分が何ができるか、だと思います。ぜひ最後までプレイしてみてください。
《ばかいぬ》
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