『源平討魔伝』や『スプラッターハウス』など全58タイトルが収録されているため、かつて「PCエンジン」を遊んだ世代を中心に大きな期待が寄せられています。一方で、遊んだことがない若い世代にとっては、面白さが十分に伝わっていないかもしれません。
そこで、2019年10月からアニメ第2シーズンが放送中の漫画『ハイスコアガール』を通して、「PCエンジン mini」収録タイトルをピックアップして紹介します。同作は、格闘ゲームブームが巻き起こった1990年代を舞台に、ゲームが大好きな少年・「ハルオ」と、「大野」「日高」という二人の少女の三角関係を描く90年代アーケードラブコメディー。作中ではアーケードゲームだけでなく、ハルオが愛した「PCエンジン」のゲームタイトルも多く登場しているのです。
※『ハイスコアガール』にて各ゲームタイトルがどのような形で登場したかを書いていますが、ネタバレには触れていません。
■THE 功夫（1巻・2巻登場）
1987年発売のアクションゲーム。拳法家である王（ワン）が暗黒大帝に乗っ取られた中国功夫界を救うため、様々なライバルを倒していきます。
『ハイスコアガール』では、熱で寝込んだハルオにプリントを届けに来たヒロイン・大野が初めて遊んだ「PC エンジン」ゲームタイトルでした。ハルオはステージで浮いているウーロン茶を攻撃すれば体力アップする点をプッシュしており、「ウーロン茶がフワフワ浮いてくるんだぜ・・・!?もう病みつきさ」と熱弁していました。
その後、ハルオが再度風邪を引いた際に、見舞いに来たもう一人のヒロイン・日高が遊んだのも同ゲームでした。作中では、特にピックアップされた「PC エンジン」ゲームタイトルの一つと言えます。
■源平討魔伝（1巻・2巻登場）
1986年にアーケードゲームに登場し、後に「PC エンジン」に移植されました。鎌倉時代の源平合戦を題材にした浄瑠璃『出世景清』をモチーフにした横スクロールアクションゲームで、復活した主人公・平景清が、三種の神器を集めながら平家の仇敵・源頼朝を倒すために鎌倉を目指します。
一般的な横スクロールアクションゲームとは違い、横モード、キャラクターが大きくなるBIGモード、トップビューである平面モードなど複数のステージで構成されているのが醍醐味。アイテムを獲得できる「つづら」があるのですが、黄泉の国の閻魔大王の周りにあるつづらは特殊でした。開けると「生」「死」のどちらかの文字が表示され、「死」だとゲームオーバーになってしまいます。
『ハイスコアガール』では、何故か一度も遊んだことがない日高が『源平討魔伝』の世界に入り込んでしまう夢を見ました。
■PC原人（1巻登場）
1989年に発売された横スクロールアクションゲーム。ゲーム誌『月刊PCエンジン』に連載されていた4コマ漫画が原作で、主人公の原人が恐竜王国に平和を取り戻すため、そして悪の大王を倒してプリンセス・ドラゴンを救出するために戦います。その後も様々な家庭用ゲーム機に移植され、人気シリーズとして定着しました。
『ハイスコアガール』では、ハルオのおすすめタイトルとして紹介されました。
■スプラッターハウス（1巻登場）
1988年に発売された横スクロールアクションゲーム。映画『13日の金曜日』（1980年公開）に登場するジェイソンを彷彿とさせる主人公・リックが、さらわれた恋人ジェニファーを救出するため、館に巣喰う化け物を倒していきます。
ホラー系で残虐かつグロテスクな演出がされているのが特徴で、それまでの横スクロールアクションゲームとは一線を画していました。2010年11月には最新グラフィックでシリーズ最新作となる「Splatterhouse」が発売されて話題になりました。
『ハイスコアガール』では、大野がホラー苦手というのもあり、ハルオに「お前が嫌いな『スプラッターハウス』もご在宅だぜ」とからかわれるシーンも印象的でしたね。
■ドラゴンスピリット（2巻登場）
1987年6月に発売された縦スクロールシューティングゲーム。復活しようとする闇の魔王の生贄として連れ去られた姫を救うため、国境守備隊長のアムルが太陽神アーリアによってブルードラゴンとなり、旅立ちます。シューティングゲームとしては、ファンタジー風な世界観、飛行機ではなくドラゴンが自機であることが斬新でした。
『ハイスコアガール』においては、ハルオの家にやって来た日高が「これはこれは？どんなRPG？」と興味を寄せていました。
■ときめきメモリアル（6巻登場）
1994年5月に「PCエンジンSUPER CD-ROM2」向けに発売された恋愛シミュレーションゲーム。言わずもがな日本を代表する恋愛シミュレーションゲームシリーズですが、当時はゲームにアニメーションオープニングが付く発想がなく、キャラクターが活き活きと動き回る姿や、詩織役の声優・金月真美さんの歌声に多くのユーザーが衝撃を受けました。
これまで様々な家庭用ゲーム機に移植され、同時に多くの派生作品を生み出しています。なお『ハイスコアガール』にてハルオがプレイしたのは、プレイステーション版。大野のお姉さんに「ハルオ君はもっと女心を勉強しなきいけないっぽいからそれやって精進しな!!」とプレゼントされました。様々なジャンルのゲームを得意とするハルオも、お目当ての女性攻略にはかなりの苦戦を強いられたようです。
『ハイスコアガール』は人と人を繋いでくれるものとして、ゲームの素晴らしさを伝えてくれています。「PCエンジン mini」の発売が大きな話題となるのも、収録されたゲームタイトルそれぞれに、当時遊んだ人々の思い出が付随しているからでしょう。
まだ収録タイトルに触れたことがない人は、ぜひこの機会に遊んでみてはいかがでしょうか。名作が一度に遊べるので、おすすめですよ。
「PCエンジン mini」は2020年3月19日より10,500円（税抜）で発売予定。発表済タイトルの内訳等は公式サイトからご確認ください。
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(C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会
