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作曲時のレアエピソードも!「FACE to FACE vol.1 ~Kenji Ito & Stella Magna~」ライブレポート トーク編

2019年1月19日、満員札止めの日本橋三井ホールで行われた「伊藤賢治スペシャルバンド」と「Stella Magna」のライブイベント「FACE to FACE vol.1 ~Kenji Ito & Stella Magna~」ライブレポートです。

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作曲時のレアエピソードも!「FACE to FACE vol.1 ~Kenji Ito & Stella Magna~」ライブレポート トーク編
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2019年1月19日、「伊藤賢治スペシャルバンド」と「Stella Magna」のライブイベント「FACE to FACE vol.1 ~Kenji Ito & Stella Magna~」が満員札止めの日本橋三井ホールで行われました。
「FACE to FACE」は、日本最大規模のゲーム音楽ライブイベント「JAPAN Game Music Festival」(以下「JGMF」)の流れを汲んだスピンオフイベントで、今回が初の開催です。


第1回目となる今回は『サガ』シリーズや『パズル&ドラゴンズ』などを作曲した伊藤賢治氏率いる「伊藤賢治スペシャルバンド」と、
『グランブルーファンタジー』や『FINAL FANTASY XV オンライン拡張パック:戦友』などを手掛けた成田勤氏率いる「Stella Magna」のツーマンライブです。

当日の様子を、伊藤賢治氏と上倉紀行氏との音楽ユニット「Trimonia」として活動し、植松伸夫氏が代表を務めるDog Ear Recordsの元スタッフとして、「EARTHBOUND PAPAS」デビュー前の成田勤氏を知るアネモネ・モーニアンがレポートします。

前回レポート「『ロマサガ』や『聖剣伝説』も!「FACE to FACE vol.1 ~Kenji Ito & Stella Magna~」ライブレポート 「伊藤賢治スペシャルバンド」編」
「伊藤賢治スペシャルバンド」が全7曲を披露しステージを終えると、伊藤賢治氏(以下・伊藤氏)と、「JGMF」のサウンドプロデューサーでもある上倉紀行氏(以下・上倉氏)、成田勤氏(以下・成田氏)のトークコーナーに。


ライブを終えたばかりの伊藤氏は、「登場したら黄色い声援が飛んできて、いやー若返る。Stella Magna効果かな?JGMFでは我々もStella Magnaも最終日のトリとトリ前同士だったんだけど、当時も彼らには黄色い声援が飛んでいたもんね。」と、自身のライブではあまり見られない観客の反応についてコメント。そして「インサイドの事前インタビューでもいったけどアイドル性があるよね……成田くんのこと格好いいと思う人!」と観客を煽ると、会場からは黄色い声と力強い雄叫びが返ってきました。

このリアクションに、思わず照れまくる成田氏。そこに上倉氏も「今日もクマがでているみたいですけど、寝不足だったみたいですね。何で寝不足かはみなさんご存知ですよねー?」と続けます。すると成田氏は、「19時からイベントがあるから……冷戦募集、条件反射」と自身の『グランブルーファンタジー』(以下『グラブル』)ヘビープレイヤーっぷりを告白。

今までも”作曲の報酬で『グラブル』ガチャを回して還元”など、数々の武勇伝が語られている成田氏。その、ライブ当日もゲームを気にする様子を見た上倉氏は、「ステージにスマホかタブレットを持って出て、弾かないところは『グラブル』をやればいいんじゃないか」と提案し、来場していた騎空士(*)たちの笑いを誘いました。
(*)編集注: 『グラブル』プレイヤーの総称として使われる。

また、「自分で作曲もして、ゲームのプレイヤーでもあり、バンドでも演奏して、これ以上いうことない立ち位置だよね……銅像でも建ててもらえば?」と伊藤氏の提案に、「え?実費でですか!?」とうろたえる成田氏。そこに上倉氏が「気にするのそこなの!?自腹かどうかなの!?」と会場全体の意思を汲んだかのようにツッコみ、3人の仲がいい様子が垣間見えました。

また、伊藤氏からは、「プレイヤーでもあり曲も作るとなると、先の話も分かっちゃうじゃない」という質問も。作曲の際にそのような葛藤があるかについて成田氏は、「確かに資料を見ないと作曲できないのですが、気を遣ってか最低限の情報しかおりてこないんですよね…」と、制作陣から気を使われているらしいことを明らかに。「作曲の資料では、敵の名前と、ある程度のバックグラウンドは教えてもらっています。”メインクエストのラスボスはこれです”といわれると、確かにネタバレで見られないですね…」と、プレイヤーならではの気持ちを告白しました。

今度は成田氏から「イトケンさんは自分の作ったゲームに対してどうなんですか?」と質問が飛ぶと、伊藤氏は「うわ、自分に返ってきた!」とブーメランを悔いつつ、「自分のゲームは難しい。RPGゲームはレベル上げがね…」と、あまりRPGが得意ではないことを告白。

「スクウェアに入社した1990年代、『FF3』が数か月後に発売という時期、社内にむき出しのROMがあるわけだ。 “研究も含め差し込んでプレイしなさい”といわれて遊ぶも、”なんとかのくも”が倒せなくてねえ……。そのあとの『FFV』でも、どうしても先に進めなくなってプログラマーに助けを求めたら、ブレイブソード(*)の攻撃力をみて”どれだけ逃げたんだ!”と呆れられて……そのあとニンジャに投げさせられました。自分のゲームテクニックはそのレベルです」と当時の貴重なエピソードを披露しました。
(*)編集注: バトルから逃げた回数に比例して攻撃力が下がる武器

ほかにも、勝ったらイトケンさんからお年玉がもらえるという『マリオカート8 デラックス』大会が上倉氏の家で行われ、家主の上倉氏が優勝したという話も。そんな上倉氏もかなりのゲーマーであり、自身が編曲参加した『サガ スカーレット グレイス』を「2~3日でクリアした」と語ると、伊藤氏は「面白かったでしょ!僕、ストーリーは読んでますから!」とRPG苦手キャラ全開でコメント。上倉氏と成田氏からは「すごいなあ」「ひどい(笑)」と愛のあるツッコミが飛びました。

幼い頃からゲーム好きだったと語る成田氏は、「ほかには『モンハン』も遊ぶし、根っからゲーム大好き。特にRPGっ子」とゲーム愛を語ります。特に「レベル上げが超好き!」「攻略本の推奨レベルより10上げてボスに挑むのが好きなんですと、伊藤氏と真逆の意見を強めに発すると、観客は大笑い。「いつもと同じ要領でモブと戦いまくっていたら、ウォッチマンが倒せなくて……最初のダンジョンで洗礼を受けてやり直しました」と話し、ゲームは詰めど、観客との距離はしっかりと詰めていました。

『ロマサガ』トークの流れになると、伊藤氏は作曲していた当時のレアエピソードを披露。
「初めてのスーパーファミコンでの作曲だった『ロマサガ』のあとに燃え尽きて、『2』はスランプだった。何とか焚きつけて作ったんだけど、あれは苦しい期間だった」と語ったのですが、客席からは「おい「七英雄バトル」がスランプ時の作品なんてウソだろ……」「信じられん」というつぶやきが聞こえました。

「『3』は担当作品ではスーパーファミコン最後で、『2』を引きずってボヘーっとしてたら、同じ年のグラフィッカーが部屋に来て、“なんで戦闘曲でエレキギター使わないの?”と聞いてきた。倍音いっぱいあるのでギターはノイズになっちゃうから難しいと答えたら“やるのかやらないのか”と問い詰められて……そういわれて作ったのが「四魔貴族」でした。」という誕生秘話も。

伊藤氏いわく「サガ」シリーズの作曲は特にハードルが高いそう。そんなシリーズも今年で30周年。「何かやらないんですか?」と成田氏が問いかけると観客からは「ライブやってー!」と熱いリクエストが。成田氏と上倉氏を横目に見ながら「君たちにも関わってもらって、お助けマンとして呼ぼう!」と伊藤氏が提案すると、2人は笑顔で沈黙していました。

惜しまれながらもトーク終了の時間になり、伊藤氏と上倉氏は大きな拍手を受けながら退場。成田氏が「準備ができたようです!お待たせしました!改めて、Stella Magnaの皆さんです……って他人事か!」と、これから始まる激しい第2部に反して、微笑ましいバンドの呼び込みをし、ライブはいよいよ後半戦に突入します。

イベント概要
「FACE to FACE vol.1 ~Kenji Ito & Stella Magna~」

開催日: 2019年1月19日(土) 開場 17:00 開演18:00
会場: 日本橋三井ホール
主催: 株式会社ナウ

出演者:
「伊藤賢治スペシャルバンド」
伊藤賢治(Key.)
上倉紀行(Gt.&Key.)
宮崎大介(Gt.)
アベノブユキ(Ba.)
岡島俊治(Dr.)
伊藤友馬(Vn.)

ゲストボーカル:
MICHI

「Stella Magna」
成田勤(Gt.&Key.)
宮崎大介(Gt.)
アベノブユキ(Ba.)
藤岡久瑠実(Key.)
岡島俊治(Dr.)
伊藤友馬(Vn.)
遠藤フビト(Vo.)

ゲストボーカル:
STEVIE(44MUGNAM)
CHiCO(ACE)
霜月はるか

セットリスト
M1 『パズル&ドラゴンズ』より「Fight The Fanatics」
M2 『ブレイブフロンティア2』より「闇との決戦」
M3 『カルドセプト セカンド』より「Bookmark」
M4 『あかねさす少女』より「いけない世界」
M5 『乖離性ミリオンアーサー』主題歌「Million Ways=One Destination」
M6 『聖剣伝説~FF外伝~』より「最後の決戦」
M7 『ロマンシング サ・ガ2』より「七英雄バトル」

トークパート

M8 『GRANBLUE FANTASY』より「ユグドラシル・マグナ」
M9 『GRANBLUE FANTASY』より「リヴァイアサン・マグナ」
M10 『GRANBLUE FANTASY』より「プラチナ・スカイ」
M11 『GRANBLUE FANTASY』より「二十二の使徒」
M12 『GRANBLUE FANTASY』より「新世界秩序」
M13 『GRANBLUE FANTASY』より「ローズクイーン」
M14 『GRANBLUE FANTASY』より「ラスト・グローミング」
M15 『GRANBLUE FANTASY』より「ジ・アルティメット」

アンコール
『Canvas』より「Red Nail」
『サガ スカーレット グレイス』より「冥魔・堕されしものども」
『GRANBLUE FANTASY』より「バトル3」
『GRANBLUE FANTASY』より「黒銀の翼」


ライブ写真撮影: 中村ユタカ (Twitter: @yutamacaron)

■著者紹介: アネモネ・モーニアン

ボーカリスト。愛称 アニモ。作曲家 伊藤賢治・上倉紀行とのユニット「Trimonia」や、小寺可南子とのツインボーカルユニット「コテアニ」として活動中。ドラマー岡島俊治氏と共にMCをつとめる「オカジモネ~JGMFへの道~」の次回開催もお楽しみに。(Twitter: @animo_miyusic)

《アネモネ・モーニアン(アニモ)》

ボーカリスト アネモネ・モーニアン(アニモ)

"アニモ"の愛称で親しまれるボーカリスト。カナダで培ったグローバルな感性を駆使した歌唱・音楽制作を得意とする。 その多様性を尊重する精神、そして英語力、また、映像作品・ゲームに対する愛から、時にライター・通訳・翻訳家としても活動している。

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