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『マギレコ』キャラの価値を高めて広がる2Dアートワークの世界─f4samurai佐藤允紀氏が“これまで”を振り返る【aliveレポート+インタビュー】

2Dイラストの魅力を活かしながら立体的な動きと結びつけるソフトウェアなどで知られているLive2Dは、2D表現に携わるクリエイターに向けて行うリアルイベント「alive」を定期的に行っています。

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『マギレコ』キャラの価値を高めて広がる2Dアートワークの世界─f4samurai佐藤允紀氏が“これまで”を振り返る【aliveレポート+インタビュー】
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2Dイラストの魅力を活かしながら立体的な動きと結びつけるソフトウェアなどで知られている株式会社Live2Dは、2D表現に携わるクリエイターに向けて行うリアルイベント「alive」を年に1度行っています。

この「alive」では、2D表現の最前線で活躍を続ける方々を招いたセッションや、成果が一目で分かる様々な展示などが行われ、2D業界の技術と情熱を共有することができます。今回は、ベルサール秋葉原にて12月3日に実施。『モンスターストライク』といった人気タイトルにおける制作事例などが紹介されました。

数多くの講演が行われましたが、その中でも大きな注目を集めたもののひとつが、株式会社「f4samurai」の佐藤允紀氏によるセッションです。前回は、“Live2Dを始めるのに苦労すること”が語られましたが、今回は「『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』にみる2Dアートワークとその広がりについて」と題し、『マギレコ』の通称でも親しまれている本作の制作を通じて実感した、キャラクターを中心とした2Dワークの広がりについて語りました。

登壇した佐藤氏はまず、今年の講演について、「昨年話したことがどれくらい出来たのか、自分を省みる意味も含めて受けさせていただいました」と、オファーを受けた理由を明かします。また、来場した2Dクリエイターの方々に向け、「世界に、“一番のワクワク”を届ける」「お客様にとって一番/自分たちにとってのベストを目指す」といったf4samuraiの企業理念も改めて紹介しました。

秋葉原UDXに居を構えるf4samuraiは、150名規模で開発に当たっています。このうち45名ほどが『マギレコ』の開発を担当しており、シナリオやキャラクターデザインを内製しているほか、背景チームを立ち上げる動きもあるとのこと。今年の8月に1周年を迎えた『マギレコ』を更に加速させるべく、開発体制が適時拡大してきた様子が窺えます。

f4samuraiは、『マギレコ』以外の代表作も複数あり、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』が今年の4月に3周年を迎えました。そして、2013年12月に始まった『アンジュ・ヴィエルジュ』は、なんと5年にも及ぶ長期サービスを実現。これらのタイトルに続く作品となる『マギレコ』にも、必然的に高い注目が集まります。

『マギレコ』に欠かせない要素のひとつとして、魅力的な魔法少女たちの存在が欠かせません。テレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』で活躍した鹿目まどか、暁美ほむら、巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子などが出演するのはもちろんのこと、本作の主人公を務める環いろはや、彼女と共に戦いへ臨む七海やちよなど、『マギレコ』オリジナルの魔法少女も多数登場します。

そんな“魔法少女”1体を作るにあたり、「1.ストーリー(武器、テーマ色、魔法少女になった「願い」)、「2.キャラクター設定やカードイラスト、Live2D原画」、「3.SD原画、攻撃モーション」、「4.エフェクト、変身アニメーション」と、大きく分けても4項目に渡って制作する必要があると解説。なお、この数字は制作工程における大まかな順番となっています。

1については、システムボイス(メインストーリーはフルボイス)の収録・調整やイベントのデザイン周りなども含まれており、2に関してもLive2Dモーションの作成や着せかえ工程などが盛り込まれています。3の「攻撃モーション」も、通常・マギア・ドッペルが必要と、実際の制作内容がより細かく多岐に渡っていることを窺わせます。

更に、「ケアしないといけないこと」として、いくつかポイントを紹介。開発工程におけるストーリー内容の変更など、かなり抜本的な部分についても触れ、「(こういった状況も)なきにしもあらず」と、対応力の高さを求められる現場の在り方を想像させます。また、運営を続けると必然的に魔法少女の人数が増えていくため、成長の変化や性格、表現の幅などもケアする必要があると示しました。

続いて、「ゲーム会社に求められること」として、ストーリーとギミックで価値づけたキャラクターを提供するゲームモデルは日本ならではの“お家芸”と説明。その価値観を高めるため、ツールの導入判断や習熟を短期間で行う必要についても言及しました。例えば、Live2Dなどのソフトウェアのアップデートを待っていると、そのタイミング次第では開発が止まってしまうケースなどもあると述べ、舵取りの重要性を明示します。

また、『マギレコ』のLive2D素体が300体以上になっており、その容量問題にも取り組んでいる最中だと告白。大きく削減できました、といった告知ができるように頑張っていると、現状についても明かします。そして、こういった取り組みを行う上で、「技術的な方面について、今まで以上にアンテナを立てていかないと」と、自ら襟を立てる姿勢も顕わとします。

「今日来ているプロクリエイターの方々には、わざわざ見せる必要はないんですが」と断った上で、「2Dクリエイター全般」と題するスライドを表示。この「alive」で面談を行ったところ学生の方も多く見受けられたため、急遽このスライドも盛り込んだと説明します。

状況次第では、2Dクリエイターが創造したキャラクターに合わせてシナリオが作られるといった場合もあり、「こういった形は今後増えていくかもなと思っている」と補足しつつ、キャラクターをより深く理解し、表現することが大事だと佐藤氏が指摘。その際に、「描き起こす力」「作画の力(モーションに起こした時におかしい箇所がない等)」といったスキルが求められると解説しました。

最後に、「開発者に求められること」について、量産・計画性・拡張性といったビジネスとしてゲームを捉える視点が求められるとし、これらを吸収した上で「品質に向き合う“時間の調整力”と“表現力”」が大事だと明かします。“時間の調整力”については一例として、「これだけの時間しかない」と“制限”で捉えるか、「これだけ時間がある」と考えるかで、同じスキルの持ち主でもアウトプットされるものが結構変わってくる、と補足。この一年を振り返るだけでも、実感する場面があったと述べました。

こうした開発を続けてきた『マギレコ』は、ぬいぐるみやフィギュアといった立体化、キーホルダーやタペストリーなどのグッズ化、さらにnanacoやTカード、コラボカフェといった多彩な商品化ならびに展開と結びつきました。

また、コミカライズや舞台化も実現し、2019年にはTVアニメも放送予定。ゲームアプリ自体も海外に広がりを見せるなど、その躍進ぶりは広く知られている通りです。TVアニメという2D表現から始まった『魔法少女まどか☆マギカ』を原作とし、Live2Dを通じて2Dイラストの魅力とモーション表現で融合させ、ユーザーが期待するクオリティを目指し続けた『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』。本作の2Dアートワークは、表現だけでなく活躍の場を広げる大きな一助になったとも言えそうです。

こうして、セッション「『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』にみる2Dアートワークとその広がりについて」が幕を閉じましたが、今後も『マギレコ』に対して高い関心が寄せられることでしょう。そこで、講演が終わったばかりの佐藤氏にお時間を頂き、この一年の振り返りや現在の心境などに関するインタビューを行いました。『マギレコ』の現状について、より深く知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。

◆“まどか先輩”や「百江なぎさは願いを叶えた」に関する裏話など、気になる点に迫る佐藤允紀氏直撃インタビュー


──まず、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』がリリースされて1年4ヶ月ほど立ちましたが、改めて振り返ってみていかがですか?

佐藤允紀氏(以下、佐藤氏):(昨年の)「alive」で講演させてもらったのが良かったのかなと思っています。「ダレずにやる」とことが重要とお話した以上、「ダレてるんじゃないか」と言われるわけにはいかず(笑)。

『マギレコ』は8月~9月の1周年も盛り上がりましたし、お客さまの熱量をここまで持ってこれたことはよかったと思っています。その分、「ここからの1年を頑張らないとな」みたいな気持ちの方が強いですね。

──ひとりのプレイヤーとして見ても、この1年を振り返ってみると色々ありましたよね。「マギレポ」とコラボした「FM神浜 ~聖電波発信所~」で、まどか先輩を実装したり。あれって、いつの魔法少女とは作り方とかも違いましたか?

佐藤氏:そうですね。PAPA先生が制作に大きく踏み込んで関わってくださったのが大きかったです。実はPAPA先生とは、「京まふ」でのサイン会まで直接お会いしたことはなかったんです。なので、PAPA先生が実際にどれくらいお願いをして良いか、『マギレコ』に関わってくだされるのかが(当時は)手探りだったんです。

シナリオ、SDの仕様などもゲーム側の話が絡むため、なかなかお願いしづらいのですが、PAPA先生に「こういうイベントをやりたいです」と相談させていただいた時は、SDに置き換えた場合の攻撃モーションや必殺技などの案出しを弊社からしつつ、ご協力お願いしたところ・・・あの「まどカリバー」頂きまして(笑)。

──こういう言い回しで申し訳ないんですが、“あんなキャラ”なのにモーションがすごく凝ってますよね。



佐藤氏:制作チームがマギレポ好きということもあって、非常に沢山のカットシーンをPAPA先生と一緒に制作いたしました。

──去年の『マギレコ』は、リリース直後ということもあり、地盤を固めているような印象もありました。そして今年は、「こういうこともできます」といった応用とでもいいますか、可能性の広がりを見せてもらったように感じています。

佐藤氏:ありがとうございます。


──『マギレコ』で、百江なぎさの物語が描かれたのも驚きました。彼女が魔法少女になる前のお話って、「百江なぎさは願いを叶えた」が初ですよね?

佐藤氏:劇団イヌカレーさんのシナリオとなります。劇団イヌカレーさんご自身も「是非やりたい」と仰っていた部分だったので、『マギレコ』で出来たことが嬉しいですし、本当に凄いなと思うばかりです。

──なぎさは、劇場版にしか出ていないので、モーション作りとか苦労されたのでは?

佐藤氏:はい、仰る通りです。あと『魔法少女まどか☆マギカ』自体が色んなスマホゲームとコラボしているので、「他のコラボに負けちゃダメ」というプレッシャーがありました(笑)。


──これまで1年4ヶ月続いてきましたが、Live2Dの習熟も含め、開発における技術的なレベルの向上は実感されていますか?

佐藤氏:そうですね。メンバーも習熟していますし、『魔法少女まどか☆マギカ』関係者の方々にもご満足いただける事が増えたのではないかと思います。そういう意味では、初期のロンチ時のキャラクターがまた出る機会があれば、(今の技術力で)もうちょっと頑張りたいなと思います。

──星5のいろはも見たいですしね。

佐藤氏:2019年にはTVアニメもありますし、9章まで来たメインストーリーもかなり佳境なので、(来年は)驚きの展開などが出せるといいなと思っています。

──振り返ってみて、制作上思い出深いキャラはいますか?

佐藤氏:印象に残っているのは、粟根こころのドッペルですね。SDのありがちな表現ではないこだわりを出せているかなと。

もちろん、まどか先輩もですし、あとバレンタインの時に登場した黒(匿名希望)も印象的ですね。全然弱いんですけど、ほむらにコネクトするとほむらが強くなったりして。そのバレンタインのストーリーも含めて、思い出深いです。


──そういえば、ホワイトデーはやりませんでしたよね? 他のゲームだとよくありますが、敢えてやらなかった『マギレコ』はブレてないなと感じました。

佐藤氏:あくまで魔法少女たちの物語なので。

──コラボなども含めて、『マギレコ』でこれからやっていきたいことなどはありますか?

佐藤氏:ユーザーさまの思い出につながるような、誰かと共感したくなるイベントやストーリー、そして改善などを続けていきたいですね。

──それでは最後に、これからの『マギレコ』についての意気込みなどをお聞かせください。

佐藤氏:そうですね・・・2周年に向けて頑張ります、というのと、大変ですが開発者としてダレないようにしないとです。

──本日はありがとうございました!


《臥待 弦》
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