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尖りすぎた名作はなぜ今、リロードされたのか? 『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』のキーマンを直撃【インタビュー】

『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』はなぜ、このタイミングでリマスター版の発売に至ったのか。キーマンにお話を伺ってきました。

ソニー PS4
尖りすぎた名作はなぜ今、リロードされたのか? 『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』のキーマンを直撃【インタビュー】
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◆銃を扱うがゆえに生まれた、“10円サッカー”のような戦闘システム



──当時、あの独特な戦闘システムが衝撃的でした。どういう経緯で出来上がったんですか?

向峠氏:ああ、それは僕も聞きたい。

勝呂氏:作っていったら、自然とそうなったっていうのが正しいのかも。結局、メイン武器が銃じゃないですか。従来のRPGでいう剣とは違って銃は遠距離攻撃になりますし、普通に撃つだけじゃ派手なアクションも無いというところから、あのような形になりました。

──システム自体は、凄く複雑ですよね。慣れてくればその複雑さが味になってくるのですが。

勝呂氏:作っているときは複雑っていう印象は無かったんですけどね。似ているゲームは無いなとは思いました。

向峠氏:複雑というか、わかりにくいんですよね。用語も難しめだし。「レゾナンスアタック」って言われてもなんだろう?と。その概念を説明するチュートリアルはあるんですが、そこを理解して乗り越えるというハードルが高いんですよね。もちろん、わかってからは面白くなるんですけど。言ってること自体は、そんなに難しくないんです。ただ走りながら撃たないと駄目とか、これまでのRPGにはない概念じゃないですか。

勝呂氏:そうですね、もともとのコンセプトが「戦闘の演出を派手にしましょう」というもので。ただ、作品のテーマである銃を止まって撃つと、剣とかと比べて地味ですし、だから走って攻撃しましょうと。そのあたりから普通のゲームとは違う操作性や、ゲームシステムが生まれたのかなって思います。


──凄く新鮮な体験ではありました。

勝呂氏:最初に決まっていたのは「走りながら攻撃する」、「演出を強化する」って所ぐらいで。キャラクター3人が三角形を描いてグルグル回るっていう要素は、開発終盤に入りました。おはじきみたいに、キャラクター2人の間を通って~というのは、結構初期の段階から入っていたんですけども、それを三角形で締めるっていうのはギリギリで思いつきました。

向峠氏:10円サッカーみたいな要素がレゾナンスアタックの概念にくっついたのは、本当に最後だったんですね。

勝呂氏:それを思いつくまでは、10円サッカーシステム自体入れるのやめようかなとも思っていました。

◆独創的なマップやカスタマイズシステムは、まったく悩まずに出来上がった



向峠氏:原作は、当時にしてはネットを上手く使ってプロモーションしてますね。YouTubeに動画を投稿しているし、Twitterも頑張ってた。今なら普通なんですけどね。『EoE』は、色々と先取りしすぎで、時代が追いついてきたっていうのがすごいです。

勝呂氏:当時は、セガさんもノリノリで「こんなんやったら面白いんじゃないか」とかいうのを積極的にやっていきましたからね。

──キャラクターやストーリー、あとワールドマップも独特でしたね。

向峠氏:あれはあれで、別ゲーでしたね。RPGなのに、なんでマップをヘキサにして広げてくのかな?と。

勝呂氏:マップシステムやカスタマイズシステムは苦労せず、パッと思いついたんです。一日二日で仕上げて、「こんな感じで」みたいな。戦闘の三角形グルグルに比べたら、本当まったく悩んだ覚えがないですね。しかもそんなウリになるとは思ってなかった。

──武器のカスタマイズが凄かったですね。スコープにスコープを乗っけて、さらにスコープを…(笑)。

勝呂氏:銃って、マニアが見ても変なところがないようにモデルとかもきっちり作ってあるんですよ。なのにカスタマイズシステムがこんな形にしたらマズいかなと色々あったんですが…。まあ、ゲームだしと。

向峠氏:「まあゲームだし」って割り切ってますよね。銃の話もそうですけど、マップをヘキサで広げていくっていうのも、そもそもゲームの話だし。バトルだって、なんで真ん中通っていくと良いことになってんのっていう。

勝呂氏:設定はみんな後付ですしね。

向峠氏:そこを振り切っちゃってるのが良いんですよ。設定を重視しておきながら、遊びが縛られないっていうところがスゴい。それでいてシナリオもシリアスかと思いきや、コミカルもあるという。ほんと、独創的なんだよね。

勝呂氏:当時、セガさんとは「まず、コアユーザーが満足できるようなものを」という話をしていました。振り切ってもあまり文句は言われなかったというか、「こんなんライトユーザーは無理ですよ」みたいな話は一切無かったです。

向峠氏:当時のコンシューマーだからアリなのかなって思うんですよね。今、スマホとかで無料のF2Pでとりあえず触らせてって、つかみが良くないとユーザーがその時点で離れちゃうんですよ。まあそういうビジネスなんで、それはそうなんですけど。でもコンシューマーゲームって先に買うじゃないですか。買ってからやっぱ難しくて投げる方もいると思うんですけど、面白いかどうか少し頑張ってやってみるっていうところもあるんで。

勝呂氏:昔はそういうユーザー、今で言うPCゲームユーザーに近いのはありましたね。

向峠氏:原作は体験版で分かりにくいという声もあったけど、「あれ、実はこれ面白いんじゃないか」っていうユーザーも出てきて、じわじわと評価されていきましたよね。そういうところがコンシューマーにはあるのかなと。


勝呂氏:そこで言うと、チュートリアル的なプレイってよくあるじゃないですか。できることを絞って、だんだん広げていくという。実は最初、戦闘はそういう作りにしてたんですよ。けれど、「銃を撃ちまそう」「次は走ってみましょう」とか、まどろっこしいなって。コアユーザーがターゲットなら、最初から全部開放しておいて、自分らでやってくれるほうがいいやっていうことで、やめました。

向峠氏:段々やらせていくと、その面白さに到達するまでに少し時間かかるよね。『ラビリンスの彼方』(※2012年にトライエースが開発し、コナミより発売されたニンテンドー3DS専用タイトル。数字を絡めた独特の戦闘システムが特徴的)はそうじゃなかった?

勝呂氏:あれは逆に、チュートリアルが長過ぎた…。

向峠氏:反省を活かして、今度逆行きすぎちゃうパターンですね。

勝呂氏:違うんですよ。あれはバランス調整しきれなかったんです。ぶっちゃけ、もう半分くらいの長さでよかったですね。

向峠氏:『EoE』には闘技場にチュートリアルがありますけども、あれを頑張って乗り切らないといけないじゃないですか。ここ、もう少し何かできたんじゃないかなって。

勝呂氏:そうですね、時間の限り頑張ったんですけどね。なかなか制作時間の都合上、あれが限界でした。

次のページ:“ヴァシュロンダンス”に隠された裏話とは…
《編集部》
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