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『ららマジ』サントラ発売記念―西村悠氏&いとうけいすけ氏による「全曲解説ライナーノーツ」をお届け【Disc2】

『ららマジ』サントラ発売に合わせて、メインシナリオ・西村悠氏&BGM作曲・いとうけいすけ氏による、全曲ライナーノーツをいただきました。こちらの記事ではDisc2に収録された29曲+ボーナストラック1曲分の解説をお届けします!

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17.三嶋 蒼のテーマ


西村氏:
導入のヒーリング音源のような音。
蒼のエピソードを書く際にヒーリング系の音源をよく聴いて、蒼のイメージを膨らませていたことを思い出します。
時計の音は、ひとりで考え事をしているとき、ふとその存在を感じる、あの感覚を再現しているように思います。思考に埋没していく雰囲気に少女らしさを感じるメロディーが入り込んで、キャラクターをよく表しているように思います。

いとう氏:
彼女は一風変わった理系女子?でそんな蒼先輩の傷ってなんだろう?哲学かな、科学かな、とあれこれ考えながら、いずれも先人達の発明や思想の歴史の上にあるかなりスケールの大きな傷になるんじゃないか、その長い時間のなんと幽玄なことか、そんなことを考えながら時計の針の音をしのばせてみたりしてます。
どっぷりと思考に浸るような曲にしたいなと思っていました。




18.ギャラクシー大戦


西村氏:
壮大な宇宙を背景に、世界観を表す説明が字幕になって一気に流れるような曲がほしいです、というような指定をさせていただいたのですが、見事に応えていただいたように思います。
壮大さだけではなく、途中で穏やかな曲調になったりと、色々な表情が見えて、まさしく、SF冒険映画のテーマ!という感じがすごくよいです。

いとう氏:
だいぶギリギリを攻めたパロディでしたね。
この辺は7幕の時と同じで、遊び心に応えるというつもりで作っているので、あまりキャラクターの心情などは考えていません。
シナリオの出来栄えは素晴らしいに決まっているので、あとはBGMが全力で呼応出来ればきっと良い結果になると信じてましたね。



19.陽の構え


西村氏:
宇宙SFで、最大の敵が出てくるような雰囲気の曲を、というようなイメージをお伝えしていたかと思います。
制作していただいた楽曲もすさまじい脅威が現れた!という迫力を感じます。
一方で、脅威が現れるのだけど、その脅威に対して不思議と嫌悪を感じないのも、蒼のストーリーに寄り添う上でポイントになっているように思います。

いとう氏:
ギャラクシー大戦同様にこちらもパロディ。
まさに西村さんの思われた意向どおり、私も勧善懲悪な「悪のテーマ」はイヤだなーと思っていて、スペースオペラを演出することだけに注力した記憶があります。
ああいうストーリーでああいうラスボスになるとは思っていなかったので、やっぱり悪い曲にしなくて本当に良かったです。



20.閃光と共に


西村氏:
こちらも9幕で使われました。グリムゲルデが初めてチューナーの前に姿を現すシーンで使われています。
使用されている状況を考えればもっと激しく勇壮なものになりそうなのですが、そうではなく、どこか悲し気な雰囲気を漂わせているのは、グリムゲルデのキャラクターそのものを、この曲が表そうとしているからだと思っています。

いとう氏:
たぶん今までで1度しか流れていないんじゃないでしょうか。
戦乙女グリムゲルデ…一体何者なのか…。
色々と思いを込めて作りましたが、正体が伏せられたキャラクターについては話しにくいですね。
全く話が変わりますが、今回のサントラのジャケット画像を飾るキャラクター・百花先輩を強烈に推したのは実をいうと私です。




21.向井 春香のテーマ


西村氏:
10幕は全体として、ほのかな不安や悲しさを積み重ねるようなイメージで執筆していました。
悲しみの積み重ねを徐々に強くして、最後にそれが爆発して、そして今度は少しずつ救いが重なって、少女が解放されていくようなエピソードの作りです。
この楽曲はそれをそのまま音楽で表現しているように思っています。

いとう氏:
「雨だれ」このキーワードだけで全編を貫く音楽のイメージはすぐに決まりました。
ただ春香お姉ちゃんと「雨だれ」という単語がらあふれ出るどこか陰りがあって灰色なイメージが結びつかなくてどんなお話が繰り広げられるのか10幕がひたすら待ち遠しかったです。
またこの10幕から更に新しい運営さんの技が登場します。
プレイヤーのセリフ送りのタイミングでBGMをコントロールする技術です。




22.過去の後悔


西村氏:
こちらは10幕の春香の回想において使われる楽曲です。
10幕のストーリーはそのタイトル「雨だれ」に表現されるように、強烈な心の傷があるわけではなく、なんとなくの不安、なんとなくの違和感、なんとなくの憂鬱さが静かに迫ってきて、身動きができなくなっていく話なのですが、その中で揺れ動く少女の心を、うまく表しているなと思います。

いとう氏:
過去の後悔というワードは作曲時にいただいており、あの春香お姉ちゃんがいったいどれほどの後悔を?
とやきもきしていました。過去を後ろ向きに振り返るイメージで陰鬱な曲を作るのは簡単なのですが、いや違う、また西村さんにしてやられる、と気を取り直して、「後悔」から限りなくネガティブな印象を取り払い、過去に残るほんの小さなしこり、とかそんなイメージで出来るだけやさしい後悔になるようにしています。



23.美しい思い出


西村氏:
10幕の救いのシーン、屋上での演奏練習のシーンで使われている楽曲です。
10幕は、これが救いというようなエピソードをほとんど明示的に描いてはいません。
少しずつ演奏がうまくなって、最後は皆と合奏できるようになる。
それだけの移り変わりに込めた意味を、ユーザーさんにきちんと届けられたのは、この美しく伸びやかな曲があったからこそだと思っています。

いとう氏:
私はりょーくんとあーちゃんのシーンが思い出深いです(名前間違ってたらごめんなさい)。
今までになかった弦楽のみのBGMなので、使われたシーンの印象が際立ったと思います。
雨だれを端的に表しているピアノの粒立ちとは違って、弦楽によるやわらかい持続音は色んなものを優しく包み込んでくれますね。




24.tear drop A


西村氏:
10幕、バトルステージ用の楽曲です。静けさの代表のような雨音を表現しつつ、きちんとバトルを盛り上げるという、どちらも両立させる、アクロバティックな曲になっているような気がします。
リズムを構成する音によって、静けさだけではなく、熱さを醸成するという狙いがあるように思いますが、いかがでしょうか?

いとう氏:
雨の音を全編に渡ってばらまいています。水琴窟の音色をちりばめたようなイメージです。
最初はリズムすらなくて本当に雨の中で戦う感じでした。
さすがにそれだと戦闘感が出にくいということで後にリズム入りに修正となりました。
戦いに赴くキックの4つ打ちに降りしきる雨音をブレンドしてみましたが、この種の音楽はジャンルで表しにくく、実験的な側面が大きかったです。



25.tear drop B


西村氏:
10幕、ディスコード戦で使用された楽曲です。「tear drop A」のアレンジ版です。
特にギターの強い主張に、少女を救うヒーローの存在を感じました。
うまく言えないのですが、曲の中で、救いを待つ少女と、それを助けに行く英雄、というような役割分けをされているように思います。実際のところはどうなのでしょう?

いとう氏:
最後の戦いでは涙の雨音を一掃する強い音を、ということでエレキギターで薙ぎ払ってもらいました。
この曲、実はゲーム中では流れていなくて、実際はtear dropのAとBが同時に鳴っているんです。
A曲で道中を進んで、ボス戦に突入すると同時に繋ぎ目が分からないようにB曲を被せて再生してるんですね。
またまた運営さんの新技術が発揮された場面です。



26.亜里砂・エロイーズ・ボー=ボガードのテーマ


西村氏:
トランペットの音が高らかに響くこの曲は、己の道をしっかりと進む亜里砂のキャラクターそのもののような、自由さや強さ、前向きなエネルギーを感じます。
独力で傷と向き合おうとしていた亜里砂のキャラクターの本質を捉えるような曲だと思います!

いとう氏:
菜々美、紗彩につづいて久しぶりに演奏家のお話が展開するのかなと期待に胸躍らせていた11幕。
亜里砂はすでにプロとして活動しているし、そんな彼女の傷というのはもうこれしかないだろう、ということで「孤高とそれゆえの孤独」というのを押し出すことにしました。
最初から最後まで意地でもトランペット一本で旋律を取っています。凄すぎてだれもハモってきません。




27.memoir


西村氏:
亜里砂が器楽部のメンバーに腕前を披露する際に吹いた曲、という設定で作っていただきました。
高度な技術がなければ旋律をたどることさえ難しい曲を軽々と吹く亜里砂を音の演出で支えたい、というようなことをシナリオ上でお願いしていました。
まさかオリジナルの曲を作っていただけると思っていなかったので、とても嬉しい驚きでした。

いとう氏:
さらっと披露する超絶技巧モノということで作ってみました。
亜里砂はおそらくHigh.F~Gくらいまでなら軽々と出します。
あとは分かりづらいですけども亜里砂はおそらく肺活量もすごいです。
たぶん…そうだと思います。



28.冷たい誓い


西村氏:
11幕ラストの裁判のシーン、亜里砂の意志を引き継いでのバトル、そしてラストのディスコード戦にまたがって3段階で変化する曲です。ストーリーに沿う形で音楽が展開するこの曲。
ユーザーの感情にぴったりと寄り添い、そして盛り上げてくれます。
特にラストバトルでの盛り上がり!鳥肌が立ちました!
この幕で追加された楽曲には悲しみを誘う曲が1曲もない、というのも、亜里砂という少女の性質を象徴している気がしています。

いとう氏:
まさに西村さんのおっしゃる通り、この11幕にはスローバラードが一切ないという、そんな運営さんからの受注内容で11幕の内容はかなり推し量れました(笑)。
亜里砂のテーマでは彼女の孤高を打ち出すために終止トランペットソロでしたが、こっちではユニゾンしている仲間の存在があります。



29.wonderland


西村氏:
10幕、11幕とまたいで公演の準備をしてきた器楽部「アリス公演」。
その公演のシーンで使用された曲です。オープニングは派手に、その後少し絞った展開があって、というように、物語仕立てになっている雰囲気があるのも「アリス公演」であることを意識してのことでしょうか? 少し伺ってみたい気もします。

いとう氏:
劇中劇であるアリス公演をしっかりと意識しています。
「幼稚園で公演する」「11幕のフィナーレも受け持つ」どちらも内包した曲にするために舞台組曲のように冒頭は華やかなファンファーレがあって、導入のメロディがあって展開しながらハッピーエンドを思わせる幸せな音楽に仕立て上げました。
また、はじめて調律済みメンバーだけで楽曲構成してみようとした曲でもあります。
かなえ(ピアニカ)が調律済みで本当に助かりました。
こだわりポイントは、「サビ前でサスシンからシンバルへの移行にもたついて鳴らすのが一瞬遅い萌」です。




30.ボーナストラック 始まりの唄 Piano Version


西村氏:
Disc1の1曲目、始まり唄のピアノバージョンですね。柔らかく、優しいメロディーが素敵です。
少し何かを思い出すような雰囲気で、けれど、穏やかに次の一歩を、という気持ちになれるというか。
こんなに雰囲気が変わるものなんですね。このサントラの最後に相応しい曲だと思いました。
本当に、素敵な曲たちをありがとうございます。

いとう氏:
せっかくの機会ですし1曲作ってみようかなと思いまして「始まりの唄」をピアノでしっとりと弾いてみました。
サントラ冒頭は「始まりの唄」のイントロから入り、Disc2ではそのイントロで終わります。
いつかきっと器楽部のみんなで音を重ねようね、という静かな誓いでもあり、その時みんなで今までのいろんなことを思い出しては語りあい、そんな結末を夢見て。

本当に、素敵な物語たちをありがとうございます!




Disc1のライナーノーツはこちら
《編集部》
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