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ゲームの特許は「仁義」によって守られていた?【オールゲームニッポン】

テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。

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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。


山﨑:2018年がはじまりました。本年もよろしくお願いします。

安田:こちらこそ、よろしくお願いします。

平林:新年早々からゲーム業界ではいろいろな出来事がありましたね。

山﨑:私は台湾、初めての台北ゲームショウ取材から帰国しました。30万人を超える来場者で熱気ムンムンでした。日本に戻ったら寒すぎて思わず笑いが出たほどです。


さて、今月はお話をうかがいたいことがありまして、任天堂とコロプラの一件です。任天堂がコロプラに対して特許権侵害を理由に『白猫プロジェクト』配信などの差し止めと、44億円の損害賠償を求めて提訴しました。今年のゲーム業界はこのニュースとともに明けた印象です。ゲームメディア以外でも大きく報じられました。果たして何が起きていて、これからどうなるのでしょうか?

平林:裁判の詳細はわからないので、あくまでも傍観者としての感想ですが「これって仁義の問題?」と思いました。

山﨑:仁義? どういう意味ですか?

平林:日本にゲームセンターが普及していった頃、アミューズメント業界では特許紛争がしばしば起きていました。ご存知のように特許は機器を製造したメーカーでなくても、申請者が取得できますよね。この制度を使って製造者以外、まったくの部外者がヒットゲームに関するさまざまな特許を取得してのトラブルもあったんです。このような特許紛争を防ぐために、『スペースインベーダー』の登場直後から、当時のゲーム会社はあらゆる創意工夫を特許として押えていく風潮が生まれました。


安田:特許の外部流出を防ぐために、自社特許の申請件数を増やすことはビジネスの世界、特に製造業では珍しいことではありませんね。他社からの特許侵害訴訟を防ぐために出願するので、「防衛出願」「防衛的特許出願」などと言われています。会社によっては特許出願を社員に奨励して報奨金を支払うケースなどもあります。

平林:はい。企業が他者に特許を取られないように、言い方は悪いですが、なんでもかんでも特許出願しておく。そういう業界慣習のようなものが当時のアミューズメントマシン業界に広がっていきました。で、たとえばアーケードゲームのタイトル画面ですね。タイトル画面は新日本企画(社名は当時)が特許を持っていたそうです。ハイスコアを出したプレイヤーがネームエントリーできるゲームがありますが、あれも当時のナムコ(当時)が特許出願していたと聞いたことがあります。

山﨑:そんな経緯があったんですか! 言われてみるとゲームの題名とコイン投入枚数が書かれたタイトル画面は初期のアーケードゲームには無かったですね。

平林:はい。その他にも「ミニゲーム」「召喚魔法」など、あちこちのゲームで見かけるシステムは、じつはどこかの企業の特許だったりします。にもかかわらず、なぜ激しい訴訟合戦が起きなかったかというと、ゲーム業界の企業同士の間で「仁義」を守っていたからです。あなたは私の特許を侵したかもしれないが、私もあなたの特許を侵したかもしれない。あるいは今後、侵すかもしれない。つまり、「お互い様」の価値観が働いていたわけです。さらに、タイトル画面が良い例ですがどんなゲームに取り入れられても自然なものは、あえて自社の特許を主張しない。つまり、あくまでも「防衛出願」なので、それを攻撃手段としては使わないという「仁義」もまた守られていたと思うんです。

山﨑:なるほど。「仁義」の意味がわかってきました。

安田:正式なビジネス用語では、相互に特許を持っているので「クロスライセンス契約」や「特許のバーター取引」と言いますが、日本のゲーム業界の場合、もっと土着的な香りがするので、あえて「仁義」と呼んだわけですね。


平林:「仁義」を守って訴訟合戦を起こさないという価値観は、特許だけではなく商標でも同じようなことが起きているかと思います。現在、ソーシャルゲームでよく使われる用語「ガチャ」。そもそも「ガチャ」はカプセル玩具の機構を示しているので株式会社タカラトミーアーツの自動販売機に関する商標でした。その商標権をゲーム(法的には電子出版物の提供等)の分野ではNHN JAPANが取得しました。ですが、今現在多くの会社が「ガチャ」の用語を使っていますよね。

山﨑:確かに。「ガシャ」「ガチャる」と「ガチャ」を避けた表記があるいっぽうで、多くのゲームで「ガチャ」の用語が使われています。あれはNHN JAPANが「商標権侵害で訴えることはない」という「仁義」を信頼して使われているんですね。

平林:……そう考えるのが自然ですね。で、任天堂とコロプラに話しを戻しますが「仁義」に対する見解の違いがあったような気がしてならないんです。長らくゲーム業界特有の「仁義」の世界にいた任天堂、ドライに法的に考えるコロプラ。どちらが正しいか、裁判で勝つかはさておき企業の歴史の違いが今回の事件に発展したのかも、と勝手に想像していました。

山﨑:ありがとうございます。特許紛争について新しい視点ができた気がします。年頭には特許紛争がありましたが、月末になって一気に話題になったのが仮想通貨でした。仮想通貨取引所大手のコインチェックが580億円分の顧客資産が流出しました。ところで、おふたりは仮想通貨については詳しいですか?


平林:すいません。最近、仮想通貨を発行して資金を調達するICO(Initial Coin Offering)について聞かれることが増えましたが、まったく詳しくないです。

安田:仮想通貨については、ただいま鋭意研究中です。今はコインチェックの一件で大きな騒動になっていますが、もう少し動静を見守りたいですね。刻々と変わる世界各国の政府や中央銀行の規制の動向などを踏まえて、改めて語らせてください。

山﨑:では最後に、今月、何か気になったゲームはありましたか?

平林:任天堂が発表した『Nintendo Labo』です。発表と同時に驚きの声が挙がりましたが、私はじつに任天堂らしい発想、Nintendo Switchが目指す次世代ゲームの姿だと思いました。デジタルとアナログが融合した、とても今年らしい製品だと思います。


安田:僕は『モンスターハンター:ワールド』ですね。今のところ海外レビューの評価も高いようです。日本国内のPSPから火がついたモンハンが、世界市場のコンソールゲーム市場でどこまで売れるのか注目しています。


山﨑:どうもありがとうございました。2月に入るとeスポーツ新団体が結成されて「闘会議2018」が開催されますね。また来月もよろしくお願いします!
《平林久和》

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