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Nintendo Switchは真のeスポーツの扉を開けた【オールゲームニッポン】

ゲームビジネス その他

Nintendo Switchは真のeスポーツの扉を開けた【オールゲームニッポン】
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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。

===== ===== =====

土本学(以下、土本):安田さん、平林さんご無沙汰してます。今日は新製品をおふたりに見てもらおうと思っておじゃましました。

平林久和(以下 平林):おっと、インサイド前任編集長の土本さん。お久しぶりです。

安田善巳(以下 安田):もしかして新製品とは、前回の収録で谷さんが言っていたVRでアイドルと出会える、あのサービスですか?

土本:はい。VR+仮想現実映像サービス、「トキメキメテオ」が完成しました。当社はメディアをつくる会社なので360度映像にも挑戦中です。自動車の360度映像も開発していますが、まずはわかりやすいアイドルの映像でノウハウを貯めています。

安田:ちょっと被ってみていいですか。

土本:どうぞ試してください。

(2人で『トキメキメテオ』が再生されたゴーグルを被る)

安田:うわっ! かなりリアルですね。

平林:すごく生々しい。


土本:撮影を繰り返すうちにちょっとしたコツをつかんで、このリアリティが表現できるようになりました。

平林:なんでしょう? この生々しさがにじみ出る秘訣は。……女性(星名美津紀)から見下ろされるような設定になってるからでしょうか?

土本:はい。カメラアングルも工夫した点ですが、もっと効果的だと思われるのは被写体との距離ですね。心理学のパーソナルスペースの理論を応用しました。人間って他の人との距離に敏感じゃないですか。親しいと近くなり、親しくないと遠くなると言われています。

平林:身体の距離は心の距離。

土本:そうなんです。普通の人間関係よりも一歩近づくことによって親密感が出てくる。そんな仕掛けをしています。

平林:タメになるなー。通常の映像ではクローズアップ、アップ、バストショットのように平面の面積で考えるけど、VRでは被写体との距離によって映像の印象がかなり変わるんですね。

土本:ということで、これからもVRのコンテンツを開発していくのでご期待ください。

谷理央(以下 谷):では、本題に入りましょうか。今月のゲーム業界の動向といえば、やはりNintendo Switch発売ですが、ご感想は?

安田:発売以来ずっと品切れが続いてるようで、売り上げ好調じゃないですか。しかも、日本だけではなく世界市場でも売れていますね。


平林:まだソフトが少ないこの時期に、真っ先にNintendo Switchを買うお客さんはゲームファン、任天堂ファンのなかでもかなりの「物好き」だと思うんです。「物好き」はネガティブイメージなので、正確に言い直しますと「Nintendo Switchの将来に期待感を持っている層」は分厚かったんだな、という感想を持ちました。

谷:ソフトはどうでしょう? 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は最高傑作とも言われてますが……。

平林:まったくその通りですね。ですが、オールゲームニッポンで語りたかったのは『1-2-Switch』です。ハードと同時発売ソフトにありがちな、技術デモ的なソフトととらえるむきもありますが、『1-2-Switch』はそんなんじゃない。いきなり結論を言ってしまうと、『1-2-Switch』は真のeスポーツの扉を開けたと思うんです。

谷:eスポーツですか? またどうして?

平林:画面を見ないで相手の目を見て戦う。これこそスポーツの自然な姿だと思います。最近何かと騒がれているeスポーツですが、私は昔から懐疑的でした。素直に「ゲーム大会」と呼べばいいものを、あえてスポーツと呼んで誰かを言いくるめている感じがします。そもそもゲームは野球、サッカー、将棋、囲碁とは違ってルールが普遍的ではない。というか、流行りすたりが激しい。このようなルールの根底が移ろいやすいものをスポーツ、そのプレイヤーをプロフェッショナルと呼んでいいのか? 疑問に思っていました。


安田:好きなゲームをやってお金を稼げるプロゲーマーに憧れる人もいるでしょう。そういう夢を与えているとも言えますが、やはり現実は厳しいんですよね。

谷:過去に何人かプロゲーマーを取材しましたが、選手寿命の短さを痛感します。ゲームによっては20代半ばがピークとも言われ、どれだけ練習しても、アップデートで頻繁に仕組みやルールが変わるため、勝ち続けるのは困難という話をよく聞きます。賞金を稼いで生活できる人はほんの一握りだと思います。

平林:私はeスポーツの賞金って、本当に賞金なんだろうか。その賞金はプロゴルフの賞金と同じなんだろうか、とも考えてるんです。ある種目を多数のファンとスポンサーが支え、なかば永続的に支払われていくのがゴルフのようなプロスポーツの賞金と定義します。だとすると、ゲームの場合は特定のタイトルの一時的な宣伝費の感じがしません? 今期の予算はあるけど来年はどうなるかわからない不安定なもの。 あ、すいません。熱くなって持論を語ってしまいましたが、話を元に戻しますね。そんな既存のeスポーツには否定的な見解を持っていますが、人間が人間と目を合わせて戦うとなると見方は変わります。これならば、本当にスポーツのようなことができると思うんですね。

安田:対戦者が画面を見て横並びになっているとゲーム大会、対戦者が向かい合っているとeスポーツ。そんなイメージですか?

平林:シンプルにまとめるとそういうことです。人間に何かを持たせることによって、スポーツは生まれます。新しい道具を創作して新しいスポーツを考える。デジタルだからこそできる道具って何? 新スポーツって何? そんな方向もあるのかなと思います。というわけで、最近は新しいスポーツを創作して活動している「世界ゆるスポーツ協会」に注目しています。


安田:ところで、対戦者が向かい合う……といえば相撲でしょう。

谷:今月は稀勢の里の優勝で大いに盛り上がりました。

平林:そういえば、日本は相撲が国技の国だから既存のeスポーツはなかなか流行しない、なんてことを考えたこともありました。日本では勝者の価値が他の国とは違う、という意味です。

安田:勝っても「横綱らしくない」と非難されることがあり、逆に「負けて天晴(あっぱれ)」なんて言い方もあります。「敗者の美学」「判官びいき」など、敗者に対して感情移入しますよね。そもそも相撲は審判の合図によらず、競技者同士の合意によって競技が開始される、稀有なスポーツだそうです。

平林:そういえば以前、安田さんに教えていただいた映画。島根県隠岐の古典相撲を題材にした映画は何でしたっけ?

安田:渾身」ですね。オオクニヌシの次男、タケミナカタが相撲をはじめたと古事記にも書かれていて、島根は相撲の発祥の地とも言われています。今でも隠岐では相撲が盛んで、神社の祝い事があると夜を徹して相撲を取ります。で、勝負のしこりを残さないように一勝一敗の引き分けで終わるという独特のルールがあるのですが、この相撲を描いた映画が「渾身」です。隠岐の古典相撲で使われた柱は、今でも両国国技館の地下に展示されていますよ。

平林:一勝一敗の引き分けにする古典相撲、じつに日本的ですね。現代の大相撲でも勝った力士は負けた力士を手で差し伸べるのが礼儀ですよね。柔道でも剣道でも将棋でも囲碁でも、勝者は敗者に礼をします。日本のゲーマーはPvPのゲームをあまり好まないというデータもあるのですが、そんな引き分け好きな気質が関係しているのかもしれません。

安田:3月は『スターリーガールズ』の「演習」β版を実装しました。そこで寄せられたユーザーさんの声を読むと、勝ちや負けの表記には気を使うべきだなと感じているところです。

谷:3月、ほかに注目すべきニュースは何かありましたか?

安田:GDC 2017に行った開発スタッフから話を聞くと、次世代Xbox、プロジェクト「Scorpio」の評判が現地では高かったそうです。

平林:『1-2-Switch』のようなゲームのeスポーツ的な発展に期待していますが、じつはマイクロソフトが提唱するMR(Mixed Reality)にも期待しているんです。4Kのディスプレイ対応にはあまり心は躍りませんが、MRの専用デバイス「ホロレンズ」が使えるXboxはおもしろそうです。土本さん、自分の部屋にアイドルがやってくる混合現実の時代が来るかもしれないですよ。

谷:こうして見渡すとゲーム専用機の市場は相変わらず元気ですね。ある大手チェーン店にバイヤーさんを取材したのですが、最近のお客さんは、新しいハードにとても敏感で、よく予約をしてくださるそうです。PlayStation VR、ニンテンドークラシックミニ、PlayStation Pro、そしてNintendo Switchと品切れが続いているので「ゲーム機は売り切れるので早めに予約する」というイメージが広がっているのでしょうか。今月も楽しいお話、ありがとうございました!
《平林久和》

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