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【インタビュー】『ツリー オブ セイヴァー』は環境整備から改善フェイズへ ― 今の課題と今後のアップデート情報を運営に訊く

 

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【インタビュー】『ツリー オブ セイヴァー』は環境整備から改善フェイズへ ― 今の課題と今後のアップデート情報を運営に訊く
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ネクソンが運営するPC向けMMMORPG『Tree of Savior(ツリー・オブ・セイヴァー)』の正式サービスが2016年9月28日からスタート。初となるゲーム内イベントが実施され、今後のアップデート予定も明らかとなり、今後の展開から目が離せません。

そこでサービス開始から1ヶ月となるタイミングにあわせて、現状の把握と今後の注目ポイントなどを知るため、『Tree of Savior』プロジェクトマネージャーの今濱隆一郎氏にインタビューを実施。現役プレイヤーである筆者も気になっている「アドオン」についての見解から、12月に予定している大規模アップデートの内容、新コンテンツの詳細について、詳しく話を聞いてきました。


なお、本作はグローバル・ワンビルドというコンセプトを掲げており、全世界どこのサービスであっても同じバージョン・ビルドで展開。開発は韓国のゲームメーカーIMC Gamesが手掛けています。そのためゲーム内容について日本独自の調整などは行われず、各国の運営から寄せられた意見がIMC Gamesに集められ、協議・検討が行われた後、世界全体でアップデート・バランス調整が行われるようになっています。

構成・文:haruyasy(@haruYasy
企画・編集・聞き手:栗本浩大(@koudai5511

◆OBTでやろうとしたこと、その反応は?



――正式サービスが始まりました。やっと一段落といったところでしょうか。

今濱:そうですね。多くのユーザーから注目されているタイトルだと認識していたので、ネクソンとしても最大限の準備をしていたのですが、想定していたよりも多くのユーザーが集まったなと感じています。その増えた分をどうするかというところで、新サーバーを用意するとともに既存サーバーも増強することになり、他の地域で実施されているサービスを参考に限界ギリギリまで増強しました。

しかしながらゲームサーバー自体は十分に余裕があるものの、代わりにチャットが処理しきれないですとか、全サーバー共通で使用するインスタンス用のサーバーがパンクしてしまったり……それらが連鎖してしまったり……。そういった問題に対して一つひとつ対応を進めてきましたが、今はそれがようやく一段落といった感じですね。正式サービスへの移行もギリギリまで検討していました。予定日の直前になって、延期するか否かの決断ができて、無事に正式サービスを開始できた感じです。

――サービスイン後の反響はいかがですか。

今濱:まずは私たちがOBTで「やりたいこと」として考えていたのは、「環境を整える」「ゲーム内のユーザーのプレイ動向を収集し、問題点を改善する」でした。ところが、「環境を整える」というところだけで約1ヶ月のテスト期間をまるまる使ってしまって、ユーザーのみなさんとしては、ゲーム内容はOBTと正式サービスであまり変化は感じられないと思います。

ですので、ユーザーの反応としては、正式になったから良い反応を得られたというよりも、OBTから引き続き楽しんでいただいているという印象ですね。そもそものコンテンツ量が十分にあったということもあると思います。とは言え、運営がまだ時期的に話題に上らないだろうと考えていた情報をすぐユーザーのみなさんがディスカッションしていたりして、情報の伝達のはやさに驚かされています。

◆これからの取り組みと課題



――日本の運営チームとしての方針について聞かせてください。

今濱:まずOBTまでは「他国で運営されている本作を、不足のない形で日本のユーザーに届ける」というのを重視してきました。そのために「環境の整備」を最重要課題として、作業を進めてきました。

そして、正式サービスへ移行して、これまで「テスター」だった人たちが「プレイヤー」になりましたから、今度は運営と開発だけでなくプレイヤーの要望を基点にした開発の必要性も大きくなってくるので、そこを重視するようにシフトしています。

プレイヤーのみなさんから集まった感想や要望を元に、より『ToS』を楽しんでもらえるように検討を重ねて、開発と協議していくのが運営の役目であり、責任だと捉えています。

――現状で最も多い要望は何でしょうか。

今濱:OBTから正式にかけての要望としては、主にレベリングについて「1本道」という評価があり、敷かれたレールの上を走るように進めていくような、お膳立てされすぎていて、それをなぞるだけのゲームになってしまっているのが「つまらない」という声を頂いています。なかでもレベル差による補正がキツいという反応が多くて、それが「1本道」という印象を与えてしまっている原因のひとつだと思っています。そこで、プレイに新しい選択肢を提案できたらと思い、プレイヤーのみなさんの新しい狩場となるものを12月のアップデートで実装できるように開発を進めています。

次いで多いのが「UI」の改善についての要望ですね。とにかく使いづらいという声をたくさん頂いていまして、それの大規模な改善も近々実施する予定です。あとは「BOT」や「不正ユーザー」などの問題。もっとしっかり対応してほしいという声を頂いておりますが、こちらについては手動による目視判断を行える体制が整って、随時対応している状況です。月に数万件規模で停止対応などしているのですが、プレイヤーのみなさんからは減ってないぞと言われてしまっていますね……。


――対応件数はかなり多いですね。

今濱:サービスイン前から注目度が高かったので、なんというか……相手も本気だなという印象ですね(笑)。実際のところ「BOT」や「不正ユーザー」については、アクションが起こされてからでないと対応できません。「コイツ、怪しいぞ?」というだけでは、運営として何もすることができません。実際にシャウトなりでアクションが起きてから、調査して、判断するという「事後対応」でしか動けません。

そのため対応完了までに作業時間も当然必要となりますから、プレイヤーの目には「BOT」や「不正ユーザー」を放置しているように映ってしまうかもしれませんが、開発と協力して次の対策も含めてしっかりと体制を組んで対応しておりますので、ご安心いただければと思っています。

――ちなみに日本の運営として、アドオンについてはどのように考えられていますか?サービス地域によって対応が違うようですが。

今濱:プレイヤーのみなさんから聞かれたりもしましたが、インタビューなどでこうしてずばりと聞かれたのは初めてですね(笑)。日本の運営としては「アドオン」については「ノーコメント」です。グローバル版のサービスについては「運営」が「開発」と同じなので開発側の見解も含めた形で公表されていますが、我々は「運営」であって「開発」ではありません。サービスやサポートの範疇となるのはあくまで日本のネクソンが提供する形の「ToS」ですので、プレイヤーのみなさんが個人の環境で「ToS」に影響を与えた部分への責任を取ることはできないのです。なので、聞かれれば駄目と答えますし、聞かれなければ「ノーコメント」のまま…というところで察していただければ。

――日本ユーザーのプレイ傾向について、他国サービスとは違いはありますか?

今濱:キャラクタービルド(育成の方針など)のバリエーションが豊かですね。海外だと効率重視のビルドが多いのですが、日本では自分らしさやコンセプトを持って育成しているプレイヤーが多いなと感じています。

――「コミュニティ」の育ちにくさを感じていますが、何か対策は検討されていますか?

今濱:最も効率良くレベリングすると、やはり「クエスト」が一番の近道になるのですが、それだけですとどうしてもコミュニティが育ちにくい、プレイヤー間のコミュニケーションが発生しづらいというゲームの構造上の問題があるというのは認識しています。なので、開発側と連携を取り、今後のアップデートで強化していきたいと思っています。

また我々運営だけで行える取り組みとして、他ユーザーとのコミュニケーションを取りやすくするために、公式サイト上にゲームにログインしていなくてもフレンドやギルドメンバーなどと連絡が取り合えるコミュニティページを11月下旬くらいに実装・公開しようとしています。こちらは既にあるフォーラムとは別物です。

そしてギルドやPTの機能も拡張や改善を予定しています。ちなみに現状のチャット機能でも設定を工夫することで、複数のメンバーが参加する「グループチャット」のように利用できるシステムになっていて、ログアウトしてもPT同様に参加した状態が維持されるので分かればとても便利なのですが、いまいち使い勝手が良くなくて、あまり利用されていません。そういった機能の周知も課題だと思っています。

◆今後のアップデート



――では今後のアップデートについて詳しく聞かせてください。

11月9日に小規模なアップデートが予定されています。こちらはイベントの追加がメインとなりますが、ジェムやエンチャントオプションのパラメータ調整も予定しています。

大規模なものとしては11月下旬から12月にかけて予定しているアップデートです。こちらでは8次職の追加、レベルキャップ330の開放。新しいマップなど、ボリューミーなコンテンツ群の実装を予定しています。また先ほども話にありました、「狩り」をメインにした新ダンジョン「侵食ダンジョン」をここで実装したいと考えています。狩りをテーマにデザインされたダンジョンで、フリー入場のフィールド型ダンジョンです。ここには一切のクエストがなく、本当に狩場として楽しんでいただければと考案しました。開発チームには「ここは一切のクエストを入れないで」と念押しして計画を進めています。ここに登場するモンスターについては、プレイヤーのみなさんがプレイを始めたころに見かけたであろうモンスターたちが登場します。見た目は同じでも、その中身は別物といっても過言ではないほどに強化されていますが(笑)。

また新しく「鑑定」というシステムも用意していて、「侵食ダンジョン」のモンスターからドロップする装備品の一部に「未鑑定」という状態が付与されたものがあり、それにはポテンシャルやソケット数の値などにランダム要素があって、街に戻って鑑定することでパラメータが明らかになるという、MMORPGにおける「狩りの醍醐味」のひとつを楽しんでもらえるようになっています。

さらに「オプションジェム」という、現状の頭装備に付与できる「エンチャントオプション」に似た能力を装備に付与できるアイテムが実装予定です。これは既存のジェムと同じく、ソケットに装着するタイプです。

――ボリューム感もすごいですが、スピード感もあるアップデートスケジュールですね。

今濱:本当はもっと腰を落ち着けた感じで、3ヶ月に1回くらいのペースを想定していたんですが、気がついたら現状のスケジュールになってましたね。プレイヤーのみなさんに楽しんでもらうために頑張っていますが、ハイペースすぎると、プレイヤーのみなさんを混乱させてしまうかもしれませんので、来年はもう少しだけ落ち着きたいところです。

――ちなみに8次職の実装タイミングで隠しクラスも実装されるんでしょうか?

今濱:これまで隠しクラスについて、公式で触れたことはないんです。「隠し」クラスなので。ですので、実装されるか否かについては現状申し上げることは難しいですね。とりあえずは「ご期待ください」ということで…。


――なるほど。あとスキルなどのバランス調整についてはいかがでしょうか。

グローバル・ワンビルドというコンセプトを掲げていますが、クラスのバランス調整に関しては、現状は日本と他国のサービスで仕様が違っていて、あっちでは修正後、こっちでは修正前……というようなチグハグとした状況になってしまっています。しかし、日本の運営チームとしては短期間で何度も修正を入れるのはプレイヤー視点で考えても嬉しくないという判断から、「修正が落ち着いたところでまとめて(調整を)持ってきてください」と要望を出しています。

正式サービス開始以降、それを次に反映するタイミングが12月のアップデートということになります。8次職も実装されるので、どう考えてもビルドに対して少なくない影響が出てしまいますが、救済策として初期化スクロールを配布するので、ある程度は柔軟にご対応いただけるのではないかと思っています。

――今後の情報発信はどのような場所で行われているのでしょうか。

今濱:アップデート情報に関しては、定期的にニコニコ生放送などでも発信していく予定です。またある程度アップデートが落ち着きましたら、オフラインイベントの開催も検討しています。

――因みにグッズ展開の予定はありますでしょうか。

今濱:韓国では画集やサントラが販売されているので、日本でも何か展開したいと考えています。お話できるタイミングになりましたら、またご連絡しますね。

――最後にプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

今濱:OBT開始以降ずっとドタバタしてしまい、プレイヤーのみなさんにはご不便をおかけしてしまいましたことを重ねてお詫びします。しかし、それを乗り越えたことでようやくゲーム内で「攻め」の要素を提供していけるようになったところです。とくに12月予定の2つのアップデートでは、OBT開始当初のゲーム性に違和感があったプレイヤーの方にも新しい形の楽しみ方を提供できるものになりますので、ぜひまた進化を続ける「ToS」の世界を覗きに来ていただければと思います。

――ありがとうございました。
《haruyasy》
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